
ブラジルレアルで運用したいのですが、外貨預金とFXのどちらがいいでしょうか?

それでは、ブラジルレアルの外貨定期預金とFXの違いや特徴を理解していこう!
資産運用の中でリスクの低い「預金」を選択する人も多いと思いますが、現在の日本は超低金利のためにまったくメリットがありません。あまりにもローリターン過ぎるからです。しかし海外であれば金利の高い国もあるので、預金にもまだまだメリットがありそうです。
新興国として注目されているブラジルの通貨「ブラジルレアル」では、「外貨定期預金」と「FX」(外国為替証拠金取引)のどちらがよりお得なのでしょうか?
・ブラジル外貨定期預金の特徴が分かる
・外貨運用のリスクを把握できる
・外貨定期預金とFXのどちらが有利なのか分かる
ブラジルレアルの外貨定期預金の仕組み
2015年にかけてどんどん利上げされ金利が高くなったこともあり、ブラジルレアルの外貨定期預金を扱っている金融機関はいくつもあります。
日本との金利差
まずは、ブラジルと日本の金利について比較してみましょう。
日本の政策金利はもう10年間以上、0.10%を維持し続けています。その間のブラジルでは政策金利であるSelic(短期金利誘導目標)はかなり変動しました。
2008年9月には13.75%だったのが、2012年8月にかけて7.50%まで利下げが行われ、その後は一転して利上げが2015年の7月まで続きました。この時点で金利は14.25%となっています。その後4年ぶりに利下げに踏み切り、2017年には7.00%まで段階的に引き下げられてきています。2018年以降は6.50%で金利据え置きが継続している状態です。
2015年から比較すると金利は半分以下まで引き下げられていますが、日本よりかははるかに高い設定です。実に日本の65倍となっています。
日本の定期預金が0.01%に対して、外貨定期預金の金利はどのくらいなのでしょうか?
S銀行では、普通預金が0.25%、1ヶ月もので1.50%、3ヶ月もので2.60%です。J銀行では、普通預金0.20%、1ヶ月もので3.30%、3ヶ月もので3.80%です。普通預金はS銀行より低いものの、定期預金になるとS銀行よりも高くなっています。
もうひとつのS銀行では普通預金は0.30%、こちらは1年ものの定期預金だけを扱っており、1.50%という設定です。どこを選んでも日本円での定期預金よりも有利になっていることがわかります。
ブラジルの経済情勢
政策金利がこれだけ上下するということは、ブラジル経済が安定しないことを示しています。2014年にGDP成長率が0.5%だったのが、2015年にはマイナスに転落し、マイナス3.5%、2016年にもマイナス3.3%でした。インフレ率も10%を突破している状態だったのです。
健全化されてきたのは2017年からでしょう。インフレ率も2%に落ち着き、GDP成長率もプラスに回復、1.1%を記録しましました。2018年も同様にGDP成長率は1.1%です。
現状としての懸念材料は、ブラジルの輸出先1位の中国と2位のアメリカが貿易問題で紛争していることです。展開によってはブラジルの経済にも大きな影響を及ぼすことになります。
今後の発展を期待される新興国「BRICs」のひとつではありますが、ようやくどん底の状況から抜け出してきた感じです。2019年1月には、年金政策や財政健全化、汚職撲滅などの面で手腕を発揮してくれるだろうと期待されているジャイール・ボルソナーロ氏が大統領に就任しました。
はたしてブラジルの経済が今後どのように推移していくのか注目されます。
・ブラジル経済は安定しておらず、政策金利は過去大きく上下
・ブラジルの輸出先1位は中国、2位は米国
ブラジルレアルの外貨定期通貨のデメリット
政策金利がこれだけ上下するのですから、ブラジルレアルの通貨の変動も大きくなるのは仕方のない話です。つまりブラジルレアルに外貨定期預金をする際には、高金利以上に「為替リスク」を配慮しなければなりません。
しかも外貨定期預金では「為替手数料」もかかりますので、しっかりとマネジメントしなければ元本割れの危険性があるのです。
手数料はどのくらいかかるのか
先程紹介した3銀行の為替手数料を確認してみましょう。まずS銀行では基本の為替手数料が片道90銭(ステージがシルバーだと80銭、ゴールド60銭、プラチナ40銭)です。これはJ銀行の基本為替手数料と同額の設定です。
ブラジルレアル/日本円(BRL/JPY)が1レアル29円だとすると、為替手数料込みで29円90銭です。仮に10万レアル定期預金すると、299,000円必要です。これをすぐに日本円に替えた場合、1レアル28円10銭になりますので、281,000円です。つまり18,000円もの為替手数料を支払っていることになるのです。
もう一方のS銀行では片道1円の為替手数料となっています(ステージがゴールドだと80銭、プラチナだと50銭)。この場合だと同じケースで2万円の為替手数料を支払うことになります。
ブラジルレアル/日本円の推移はどうなっているのでしょうか?
利上げの真っただ中、2014年8月には1レアル46円台でしたが、ここから2016年にかけて円高が進み、2016年2月には28円を割り込む史上最安値をつけています。ここまで円高が進むと外貨定期預金の利息など簡単に吹き飛びます。
しかしGDP成長率がプラスに転じた2017年にかけては逆にレアル高となり、36円台まで戻しています。ただ、このタイミングでアメリカがどんどん利上げし、アルゼンチンペソやトルコリラなどの新興国通貨の価格が急落したことで投資家心理が冷え込み、ブラジルレアルも1レアル26円台まで下落しました。
2018年10月にかけて1レアル30円台に戻しましたが、2019年3月9日時点で28円74銭です。やはりボラティリティは高く、全体的には下落基調なのが気がかりです。アメリカ・中国の貿易紛争が長引き、ブラジル経済も足を引っ張られるようなことになると、さらに円高に傾く懸念もあります。
こうなると、ブラジルレアルの外貨定期預金では、高い為替手数料を支払いつつ、為替差損で損失を膨らませてしまうことになりますので注意が必要になります。
FXと比較してみよう
それではFXと比較してみましょう。ただし、国内のFX業者でブラジルレアルを取り扱っているケースはとても限定的です。
IG証券は、2016年4月からブラジルレアル/日本円の取引を開始しています。こちらのスプレッドが5.0銭という設定になっていますので、もし10万レアルの取引をした場合、売り買いで手数料は500円しかかかりません。スワップ金利からの収入ももちろん毎日期待できます。
定期預金だと自由に資金を動かせませんし、解約した場合は違約金を支払わなければなりませんが、FXではいつ買っても、いつ売っても自由なので、円高が急速に進む危険性がある時にはすぐに決済してしまうことが可能です。
外貨定期預金は預金保証の対象外ですが、FXであれば信託保全されているので、もしも取引業者が破綻しても全額保証されています。
為替手数料が高い外貨定期預金に大切な資産を預けるよりも、FXでレバレッジ1倍に設定して資産運用した方が、手数料を抑えられるだけでなく、リスクも軽減することができます。
ただし、ブラジルレアルを扱っているFX業者が少ないため、同じ新興国通貨であれば、トルコリラや南アフリカランド、メキシコペソの方が選択肢は広がるでしょう。そちらとの比較もぜひしておくべきでしょう。
・外貨定期預金は満期まで解約できないが、FXなら自由に決済できる
・外貨定期預金は預金保証の対象外、FXであれば信託保全されている
ブラジルレアルならFXがおすすめ
とうことで、定期預金という言葉から、多少高い手数料がかかっても安全だから仕方がないと考えるのは間違っているということになります。より安全で、より手数料のかからないFXがあるからです。
これから新興国通貨で外貨定期預金をお考えであれば、ぜひFXで資産運用していくことをお勧めさせていただきます。
ただし、どちらにせよ新興国にはカントリーリスクがつきものですので、許容できるリスク内で資産運用していくことが大切になります。


