2018年のドル円ですが、日経平均株価が幸先のいいスタートを切ったのとは対照的に、年初から円高地合いが強まっており、13日に心理的な節目となる111円台丁度を一時割り込む展開となりました。

今回の記事では、短期的なドル円の見通しと注目ポイントについて、ファンダメンタルズとテクニカル分析を踏まえて解説をしていきます。

円安派と円高派に分かれる2018年ドル円予想

金融機関の為替アナリスト・エコノミストの方々の2018年ドル円見通しを拝見すると、面白いくらいに円安派と円高派が分かれている状況がうかがえます。

実はこれ、2017年の見通しの時も同じで、当時は125円まで上がると予想していた円安派もいれば、100円まで下がると予想していた円高派もいました。

当時の円安派の主な根拠としては、①米国の利上げ(ペースの加速や、日米金融政策の方向性の違い)、②トランプ大統領の掲げた政策による米景気拡大、などでした。一方、円高派の主な根拠としては、①トランプ政権運営に対する不安、②米経済減速に伴う利上げ期待の後退、③欧州の地政学的リスク、等です。

結局、2017年のドル円相場はどうなったかと言えば、最高値は118円60銭、最安値は107円32銭と、上下10%未満の非常に狭い値動きに(下図チャート)。この理由としては、良くも悪くも、2016年のBrexitやトランプ勝利などのサプライズとなるイベントが無かったことが要因でしょう。
2017年前半には、欧州でフランスやイタリアなどで政治イベントがありましたが無難に通過し、北朝鮮ミサイル問題やトランプ政権運営に対する不安が高まった時期もありましたが、クラッシュするまでには至らず、無難に過ぎ去っている印象です。

さて、そのような中、2018年のドル円も一部ではボラが下がり、2017年のようなレンジ相場が続くとの声も聞こえますが、個人的には、どこかで拮抗が崩れ、上か下、どちらかにブレイクする可能性が高いと考えています。

円安材料と円高材料

では、2018年の今後のドル円相場を予想するために、ドル円が上昇する要因(円安)とドル円が下落する要因(円高)をそれぞれ整理してみましょう。ひとまず、可能性として考えらる主なものをリストアップしていきます。

 

ドル高円安要因
① 日米の金融政策の方向性の違い:日米金利差の拡大
② 米インフレ率の上昇による利上ペースの加速
③ 日銀の金融緩和スタンスの継続
④ 世界的な株高を背景としたリスクオン

 

ドル安円高要因
① 米経済や世界経済失速による米利上げペースの後退
② 日銀金融緩和の出口戦略への懸念
③ トランプ政権運営に対する不安
④ 日本の経常黒字継続
⑤ 資産バブル崩壊によるリスクオフからの円高

 

ドル高円安のシナリオについて

ドル高円安要因
① 日米の金融政策の方向性の違い:日米金利差の拡大
② 米インフレ率の上昇による利上ペースの加速
③ 日銀の金融緩和スタンスの継続
④ 世界的な株高を背景としたリスクオン

 

まず、2018年がドル高円安になるシナリオとして最も有力な根拠は、米利上げ継続による米長期金利の上昇でしょう(要因①、②)。

現在、米2年債利回りが2.0%付近まで上昇しており、イールドカーブはフラットニングしていますが、それは米インフレ率の停滞などから、今後も金利が継続的に上昇していかないと考えられていることが要因です。

しかし、1月12日に発表された米CPIは予想より強い数字が発表されており、今後、FRBが考えるインフレの上昇が現れてくると、米長期金利が上昇し、日米金利差の拡大からドル円が120円を目指して上昇する可能性があります。

そして、③の日銀の緩和スタンスの継続も、円安要因となります。

実は、2018年は2019年に向けて、日銀の緩和スタンスが出口に向けて変化すると予想されており、海外のヘッジファンドなどが円高を見越してドル円ショートを仕掛けてくる可能性が想定されます。

しかし逆に言うと、日本のインフレが2%まで高まらない中、日銀が現在の緩和スタンスの方針継続を強く打ち出せば、そのリスクが消え、再び円安圧力が強まる可能性も残ります。(個人的にはこのシナリオも結構あるのではないかと考えています。先の国債買い入れ減額がモロに円高へ影響しており、原油価格が上昇している中、日銀としても早々に出口に関して方向転換し円高にすることは避けたいのではないかなと思います。)

 

最後は、④世界的な株高に伴うリスクオンの円安です。

現在、NYダウが過去最高値を更新し続けている他、世界的にも株高が進んでおり、円などの低金利通貨を借りてリスク資産に投資するキャリートレードから円安が進む可能性も考えられます。

ただ、足元の動きを見ると、日経とドル円の正の相関が崩れており、単にリスクオンだからと言って、円が売られる地合いでもなくなってきている印象を受けますが(下図)。

 

なぜ、日経とドル円の相関が崩れているのか?多くの投資家が関心を寄せている問題ですね。

日経とドル円がリンクしなくなった要因として予想されるのが、外国人投資家が日本株に投資する時、為替ヘッジをしなくなったことが考えられます。

今までは、外国人投資家が日経などに投資する時、ドル→円のFXを最初にして、それと同時に将来お金を戻すときのために円→ドルの為替予約を行っていました。これにより、日経が変動すると、ヘッジ分の為替予約を調整するために、日経とドル円がリンクするという仕組みです。

しかし、現在、円の実質実効為替レートは歴史的な円安水準に位置しており、そこに目を付けたヘッジファンド勢が、為替ヘッジ無で日経を買っている可能性がマーケットでささやかれているのです。ヘッジファンドからすれば、日経が上がり、円高になれば、利益を二重取りできるからかなりおいしい状態。。しかも、日経が崩れた場合にはおそらく円高になるので、それはそれでヘッジになるスキーム。

(と全てを説明しだすと、やや専門的になりますので、これ以上は割愛します。)

ドル安円高のシナリオについて

ドル安円高要因
① 米経済や世界経済失速による米利上げペースの後退
② 日銀金融緩和の出口戦略への懸念
③ トランプ政権運営に対する不安
④ 日本の経常黒字継続
⑤ 資産バブル崩壊によるリスクオフからの円高

 

ドル安円高のシナリオとして、可能性が高い根拠としては、②日銀の金融緩和からの路線変更に対する懸念です。

欧米などの先進国が利上げに移行する中、日本だけが金融緩和を引き続き継続しており、取り残されている状況です。ここでもし、将来、再びリーマンショック級の新たな危機が来れば、日銀には打つ手なしで、日本はかなり危ない状況になります。当局者も金融関係者もそれはかなり気にしており、日銀の緩和スタンスが2018年にもタカ派的に変わる可能性があります。

実際に、9日に、日銀は国債買い入れを減額し、これがマーケットでは日銀が出口に向かって舵を切りだしたと受け止められ、円高が一気に進みました。

黒田総裁の任期は4月までで、2月にでも日銀総裁の人事が発表されます。今のところ、黒田総裁続投の見方が有力ですが、ここで黒田総裁が交代し、スタンスに変更があれば相場はかなり荒れる可能性があるので注意が必要です。

 

また、⑥の、過熱している株のバブル崩壊も可能性としては低いですが、リスクシナリオとして考えておかなければいけません。

NYダウは、リーマンショック時の価格を既に圧倒的に上回っています。もちろん、2018年もこのまま株高が続く可能性はありますが、このまま一生上がり続けることはありません。どこかで必ず暴落する時期が必ず訪れます。

それがいつ来るのか、何の理由で来るのかは誰にも分かりません。そもそもそのような警戒が今のところ無いから、株価が上がり続けているのです。

しかし、一度金融危機が訪れれば、リーマンショックの時のようにドル円は円高の動きが一気に進むでしょう。投資家として、リスクシナリオとして押さえておきたいところです。

今後のドル円の値動きをテクニカルチャートで予想

さて、以上、ドル円にはファンダメンタルズから円安と円高に分けて、同じくらいあり得る材料があることをそれぞれ説明しました。

では、今後のドル円はどのように動くと予想されるのでしょうか?

結論から申し上げると、今のところ円高に触れる可能性が高いですが、三角保ち合い(下図チャート)をブレイクするまではトレンド発生と判断できません。仮に12日の強かった米CPIを受けて、今後ドル高の展開となり、三角保ち合いを上にブレイクしたら、一気に120円を目指す展開にもなり得ます。

いずれにせよ、三角保ち合いの性質上、どちらかにブレイクする可能性は高いので、一度保ち合いを抜けたらその方向に沿ってトレードしていくのが無難でしょう。スイングや長期トレードで狙うなら、形勢が決まりトレンドが発生しだすポイントを狙っていきたい局面ではあります。

2018年のドル円予想については、記事:【2018年】ドル円為替見通し・予想|元メガバンク為替ディーラー、もご参考下さい。

 

2018年にFXトレードで稼ぐために

 

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