こんな疑問を解決!

  • 為替の仲値とは?
  • 仲値で、為替はどのように動くの?
  • 仲値時間のトレード手法はあるの?

今回はこんな疑問を解決していきます!

FXトレーダーならば、東京時間に発表される仲値(9時55分)の仕組みを必ず知っておかなければいけません。

ネット上には「仲値で稼ぐトレード手法」「仲値の必勝テクニック」など初心者を惑わす情報が溢れています。

果たして、仲値で必ず稼げるFXトレード手法は存在するのでしょうか?

結論から言うと、メガバンクで為替ディーラーを経験した私から言わせれば、仲値の必勝法なんてものはなく、それら情報は全く根拠のない誤った情報と言えます。

この記事では、元銀行員が仲値の仕組みや仲値の値動きについて、全て解説をしていきますので、正しい情報を理解するようにしましょう。

この記事の執筆者
suzuki_gazou

鈴木 拓也
株式会社フィンテラス代表取締役

  • 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
  • 東京工業大学大学院修士課程修了
  • 三井住友銀行の本店・香港支店にて為替ディーラー業務に従事し、投資家/経営者に転身
  • FXや米株インデックス、高配当株などで運用する億投資家
  • 著書「7日でマスター FXがおもしろいくらいわかる本」「世界一やさしい FXチャートの教科書 1年生」など

詳しいプロフィールはこちら

 

仲値の仕組みについて動画で学ぶ

東京仲値の仕組みについて動画で解説(約5分)していますのでご覧ください。

 

鈴木拓也鈴木拓也

テキストでも解説していますので以下をご覧ください。動画を見た方も復習になりますよ!

仲値とは何か?

仲値(なかね)とは、金融機関が顧客との外国為替取引を行う際に基準として使用するレートで毎営業日の9時55分に発表されます。

仲値とは、金融機関が外国為替取引をする際の基準となるレートのことです。TTM(Telegraphic Transfer Middle Rate)ともいい、金融機関が毎朝9時55分の為替レートを参考に決定します。海外旅行に行く際、日本円を外貨に両替するときのレートと、外貨を日本円に戻すときのレートに開きがありますが、そのちょうど中間に位置するのが仲値です。

引用:SMBC日興証券

仲値の確認方法

仲値は、各金融機関によって独自に決められるので、それぞれ異なるレートとなります。

よって、仲値を確認するためには、それぞれの金融機関の公式ホームページで公表されているレートを確認する必要があります。

例えば、メガバンクの1行である「みずほ銀行」の仲値は、以下のページで確認することが出来ます。

みずほ銀行の公式サイト

仲値が使われる身近な例

仲値は金融機関が顧客と為替取引をする際に基準として使用するレートですが、私たちの身近なところにもこの仲値が使われています。

それは、海外旅行に行く際に使われる両替のレートです。

仲値(TTM)を基準にTTS(銀行の外貨売り)とTTB(銀行の外貨買い)の為替レートが決められ、そのレートを使って両替を行います。

例えば、仲値(TTM)、TTS、TTBが以下のような場合を例に説明しましょう。

仲値の例

  • 通貨ペア:米ドル円(USD/JPY)
  • 仲値(TTM):145円
  • TTS:146円
  • TTB:144円

この時、手元にある円を米ドルに両替する際に適用されるレートは、TTSの146円です。

一方、手元にある米ドルを円に両替したい場合に適用されるレートは、TTBの144円です。

仲値が使われる理由

そもそも、常に変動している為替に対して「なぜ、仲値があるのか?」と疑問に感じた方も多いでしょう。

これは、両替をしたい企業が常にレートをチェックしていくのは大変であり、日本時間の9時55分に決まるレートで取引しましょうっていう風習が出来たのです。

この仲値により、両替をしたい企業は、事前に銀行へ仲値取引の依頼しておくだけで、仲値のレートで両替することが出来ます。

これにより、為替レートを予想するノウハウや人員も不要になるため、企業側としても非常にメリットが大きいのです。

仲値で為替相場が動く仕組み

それではここからは、仲値の時間帯にその裏で何が起きているのかを解説しましょう。

仲値で為替が動く仕組み(一例)は以下の通りです。

仲値の仕組み

  • ~9時30分:企業が銀行に仲値取引を事前に依頼する(例:ドル買い円売りを100万米ドル)
  • 9時45分~9時55分:銀行のディーラーがカバー取引をする
  • 9時55分:仲値を発表する
  • 9時55分~:通常の相場に戻る

※銀行の仲値取引の受付終了時間や、ディーラーがカバー取引をする時間は各行によってばらばらです。

 

まず、仲値で取引したい企業が、銀行や証券会社へ事前に仲値取引の依頼を出します。

受付締め切り時間は金融機関によってバラバラですが、仲値発表10分前の9時45分には終了していると考えていいいでしょう。

そして、金融機関の為替ディーラーは集まった仲値の注文を集計し、9時55分の仲値発表に向けて市場でカバー取引を行います。

例えば、顧客のドル買い円売り注文が正味(ドル売り円買い注文を相殺した残り分)で1億米ドルあったとしたら、市場から1億米ドルを買うというカバー取引です。

ここで、仮に全ての銀行にドル売り円買いのオーダーよりもドル買い円売りのオーダーの方が多く預けられていたとしたら、各ディーラーは一斉にドルを買って円を売るため、ドル円は仲値の決定時間にかけて上昇(円安)します。

 

例えば、以下のチャートは、ドル円の1分足のチャートですが、仲値を決める9時55分にレートが急落(ドル安円高)しており、マーケット全体の仲値のオーダーは、企業のドル売り円買いの方が多かったと予想できます。

仲値で稼げるFXトレード手法の存在

「仲値のFXで稼ぐ方法はあるの?」

これはFXトレーダーなら誰しもが興味のあるところでしょう。

結論から言うと、仲値で必ず稼げる手法は存在しません。

なぜそれが言えるのかは、仲値の仕組みを正しく理解していれば言うまでもないですが、以下2つは不確定要素で確定パターンは無いからです。

仲値の不確定要素

  • 企業の仲値取引が円買い・円売りのどっちが多いか
  • 各金融機関のディーラーがどうカバーを取るか

企業の仲値注文は分からない

まず、仲値は企業が金融機関に預けている注文が円買い・円売りのどっちかに偏った場合、その方向にトレンドが出る可能性は高いです。

例えば、マーケット全体でドル買い・円売りの仲値取引が多かったら、ドル円は仲値の時間帯に上昇するでしょう。

しかし、どちらの注文がマーケットに多いのかを知る術はありません。

もしこれを知っている人がいたら、顧客情報が漏洩している事になりますので、FXで稼ぐどうこうではなく大問題となります。

また、ゴトー日(5や10が付く日)は、ドル買い円売りの注文が多いと言われていますが、必ずしもそうではなく、例えば、大口の企業が「今はドル円が下降トレンドだから、少し様子を見よう」となれば、ドル売り円買いの方が多くなるケースもあります。

つまり、『絶対にこの日は、円買い(または円売り)の方が多い』なんてことはありません。

なので、統計的なアノマリー(過去の法則)で推測して取引することは出来ますが、あまりにも根拠として弱く、危険なトレードと言えます。

ディーラーの取引も不明

加えて、仲値で為替が大きく動くのは、各銀行の為替ディーラーが9時55分に向けて取引をするためですが、「必ずこの時間にカバーを取る」なんてルールはありません。

各ディーラーが各自の相場観の下、自由に売買をしているので、9時55分を超えたタイミングでカバーをする可能性もあります。

また、トレンドが出ると考えて、ポジションをずっと持っておくかもしれません。

するとどうでしょうか?

『仲値のこの日この時間帯は、為替はこう動く』という情報が、全く根拠がないデタラメな情報であると言えるはずです。

 

初心者初心者

なるほど~!仲値で円安か円高のどちらに行くか予想することは難しいのですね?

鈴木拓也鈴木拓也

ネットを見ると色々な意見があるけど、それは予測困難だよ(笑)だって、仲値の時間には、メガバンク3行や、信託銀行、外資系銀行など、たくさんの金融機関に円売りと円買いの注文が預けられる。当たり前だけど、各銀行に預けられている顧客の注文状況なんて知るすべはない。

その注文状況の傾きや、後はディーラーがどのタイミングでカバーを取るかによっても変動が変わるから、一概に〇〇になる、なんてことは言えないんだ!

まあ、間違っても仲値前にトレードすることは避けるべきだと思うよ。

※本記事の情報はあくまで筆者個人の考えのもと執筆しており、金融機関の取引方針などの正確な情報をお伝えするものではございません。

仲値のまとめ

仲値は、銀行などの金融機関が顧客との外国為替取引を行う際に基準として使用されるレートのことです。

よく、FXトレーダーの間では、「仲値で買いを仕掛ければ儲かる」「この日はこう動く」などなど、いろいろな情報が飛び交っていますが、仲値の動きは、企業が銀行に預ける注文状況や、各銀行の為替ディーラーの取引のタイミング等に依存しますので、それを正確に予想するのはほぼ不可能です。

仲値の時はトレードを避けるなど、リスク管理は徹底していきましょう。

 

仲値に関連して、ファンダメンタルズ分析について学習したい人は、以下をご覧ください。

記事:FXファンダメンタルズ分析で勉強すべき3大項目と役立つ情報源を紹介



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