こんな疑問を解決!

  • 南アフリカランド円の最新の見通しは?
  • 南アフリカランドは3年後・5年後にどうなる?
  • 南アフリカランドの10年後の長期見通しは?

新興国として注目され続けてきた「南アフリカランド/円」ですが、長期の視点で見ると下落トレンドです。2005年には1南アフリカランド19円台でしたが、2023年11月の時点では8円台ですから約60%の下落幅となっています。

しかし、昨年の2022年の中では上昇基調に一時転じています。5年後、10年後にはどうなっているのでしょうか?

今回の記事では、現役プロトレーダーが南アフリカ経済などを踏まえて考察します。

この記事の執筆者
suzuki_gazou

鈴木 拓也
株式会社フィンテラス代表取締役

  • 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
  • 東京工業大学大学院修士課程修了
  • 三井住友銀行の本店・香港支店にて為替ディーラー業務に従事し、投資家/経営者に転身
  • FXや米株インデックス、高配当株などで運用する億投資家
  • 著書「7日でマスター FXがおもしろいくらいわかる本」「世界一やさしい FXチャートの教科書 1年生」など

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南アフリカランド/円の3年後・5年後の見通し

結論から言うと、南アフリカランド円は2022年に上昇トレンドを形成しましたが、これは円安による一時的なものであり、長期的には下落すると予想します。

2020年4月に付けた最安値5.5円台を割れる可能性も非常に高いと思われます。


南アフリカランド円が下落する要因は以下の通りです。

南アフリカランド/円の下落要因

  • 高い失業率
  • 世界経済の景気後退リスク
  • 慢性的な電力不足

高い失業率

南アフリカという国の特徴に挙げられるのが、「世界一高いと呼ばれる失業率」です。

25%前後の失業率で推移してきましたが、2016年以降は25%を上回り、2023年には33%を超える失業率となっています。

これは10人に3人は失業している状態であり、不十分な教育制度や若年層の雇用創出の障壁などが挙げられます。

つまり、経済的には不安定な国であり、今後も成長して南アフリカランドが買われるかどうかは不透明感が強いです。

世界経済の景気後退リスク

南アフリカは資源国で、プラチナやクロム、マンガンや金などの貴金属系の輸出に頼っており、その製造業も含めるとGDPの50%にも達します。

近年の貴金属価格高騰は確かに南アフリカにとって追い風なのですが、南アフリカ経済の土台はもろく、世界経済の景気が後退すると、その影響を大きく受けます。

そして、現在は世界各国が利上げを実施しており、2023年は景気後退になると言われているので、注意が必要です。

慢性的な電力不足

南アフリカのカントリーリスクとして注目されるのが、「慢性的な電力不足」です。

ウクライナの戦争によって欧州では南アフリカから石炭を輸入する動きが強まり、石炭価格は高騰したものの、自国の石炭の供給不足を招いています。

石炭火力発電の稼働が不安定となり、現在でも電力不足が問題視されています。

南アフリカの金利の高さは確かに魅力的ですが、金利を上げないとお金が集まらないほど不安定であることが背景にあり、3年後、5年後も上昇し続けるかは疑問です。

 

以上の理由から、たとえ短期的には南アフリカランド円が上昇したとしても、その上昇は一時的なものであり、長期的には下降トレンドになると予想します。

5年後、10年後の南アフリカ成長への期待感

ただし、カントリーリスクを抱えてはいるものの、「アフリカ全体」への今後の期待感はとても高いものがあります。

なので、反対に南アフリカランドの注目度がさらに上がり、南アフリカランド円が上昇する可能性もゼロではありません。

以下は南アフリカランドが上昇する3つの要因です。

上昇する要因

  • 先進国とは異なる人口増加
  • 慢性的な電力不足が解消
  • 高金利の魅力から投資マネーが流入

先進国とは異なる人口増加

南アフリカはピラミッド型の人口が形成されており、特に若手の人口が増加しています。

日本を筆頭に先進国では高齢化社会が問題視されており、働き手がいなくなればそれだけ生産性も減少し、新しい時代に対応できる人材も不足します。

現在は人類全体およそ80億人のうち17%ほどを占め14億人のアフリカですが、2050年には24億人まで増え、世界の25%を占める見通しです。

南アフリカは、アフリカの中ではナイジェリアやエチオピア、エジプトに次ぐ5930万人という人口ですが、7330万人まで増加する予想ですから労働力・生産性共に安定が予想されます。

そうなると、高齢化が進んだ先進国とは対照的に、南アフリカへの投資が増えてランド円が上昇するかもしれません。

電力不足問題も解消される可能性

慢性的な電力不足に関しても、南アフリカ政府は黙って何もしていないわけではありません。

「石炭火力発電からの転換」「国営電力会社への予算拡充」「発電事業者からの余剰電力の購入」「再生可能エネルギーの拡大に向けた規制緩和」などに乗り出しております。

なので、電力不足が解消されれば、国力増加にアップし、将来性が期待できる状態です。

高金利の魅力から投資マネーが流入

南アフリカの政策金利は8.25%(2023年11月時点)と高く、米国の5.25%などと比べても比較的高い水準となっています。

米国などの先進国は、現在は利上げを継続していますが、今後景気が後退していくと利下げに転じる可能性が高いので、そのような場合には相対的に南アフリカランドの魅力が高まります。

すると、世界中の投資マネーがより有利な金利通貨を求めて南アフリカランドに流れてくるので、南アフリカランド高につながる可能性があります。

 

金利狙いの投資であれば、外貨定期預金よりも手数料が安いFXが有利です。

南アフリカランドのスワップポイントの比較は以下の記事をご覧ください。

記事:【最新】南アフリカランド円スワップポイント比較一覧とランキング

南アフリカランド/円の長期見通しのまとめ

南アフリカランド円は、南アフリカの「高い失業率」「世界経済の景気後退リスク」「慢性的な電力不足」などから、長期的には下落トレンドが続く可能性が高いです。

ただし、南アフリカは人口動態からもポテンシャルは高い市場であることは事実であり、高失業率や電力問題の解消がなされた場合には、投資先として価値が高い先と考えます。



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