こんな疑問を解決!
- グランビルの法則とはどんな手法か?
- ダウ理論でグランビルの法則の勝率を高める方法は?
- 移動平均線はどの期間を使えばいいのか?
- チャートは何分足、何時間足を見ればいい?
グランビルの法則とは、移動平均線のテクニカル分析を使った王道のトレード手法です。
勝率がなかなか上がらずに困っている方は、グランビルの法則を使えば劇的にトレードで勝てるようになります。
今回の記事では、グランビルの法則とは何か?勝率を上げるにはどうすればいいか?どの移動平均線の設定期間、チャートの期間を使えばいいか?を解説します。
こちらを熟読することでグランビルの法則をマスターできます。
鈴木 拓也
株式会社フィンテラス代表取締役
- 三井住友銀行で為替ディーラー業務を経験して独立
- 純資産4億円をFXや株で運用中|2023年利益+5,000万円超
- 著書「7日でマスター FXがおもしろいくらいわかる本」「世界一やさしい FXチャートの教科書 1年生」など
- 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
目次
グランビルの法則を動画で学ぶ
グランビルの法則について動画(約20分)で解説していますので、視聴できる方はご覧ください。
動画が見れない方はスキップして、文章でも学んでいくことができますよ。
グランビルの法則とは?
グランビルの法則とは、米国の投資家であるジョセフ・グランビル氏が考案した移動平均線を使った投資手法です。
移動平均線というのは、過去一定期間の終値を結んだ線のことで、こちらをチャート上に表示することで、現状のトレンドを視覚的に認識することができます。
今回はFXのチャートを使ってこのグランビルの法則を紹介していきますが、その他の株式投資や暗号通貨の取引などあらゆる投資の場面で有効な手法です。
具体的にグランビルの法則がどのような手法なのかというと、移動平均線の向きと価格との位置関係に着目することで、8つの売買ポイントを見つけ出すものです。
上記のチャートのように価格が推移している中、移動平均線も変動していっています。
そうすると買いの売買ポイントは4箇所、売りの売買ポイントもまた4箇所になります。
これだけ見たのでは、どこに買いと売りの売買ポイントの違いがあるのか判別しにくいですから、ここからはひとつひとつポイントの説明をしていきましょう。
グランビルの法則の買いポイント
まずはグランビルの法則による買いのポイントを4つ紹介していきます。
買い①
グランビルの法則の買いのポイントの1番目は、最初に下向きの移動平均線が、横向きまたは上向きに変化していることを確認します。
これはもともと下落トレンドだったものが、だんだんトレンドの勢いが弱まっている状態です。
この後に注目して、価格が移動平均線を上に抜けた時が買いのポイントです。
下落トレンドだったものが、上昇トレンドへ転換した可能性を示唆しています。
注意してほしいのは、移動平均線が下向きの時に、価格が上に抜けても買いのポイントにはなりません。
ここを見間違ってしまう人が多いので、絶対に気をつけてください。
必ず移動平均線が横向きか上向きになっていることを確認しましょう。
買い②
続いて買いのポイントの2番目は、上向きの移動平均線を価格が下に乖離している状態です。
価格は移動平均線と乖離すると吸い寄せられるという習性がありますので、移動平均線への戻しの反発を狙った買いのポイントになります。
注意しなければならないのは、移動平均線の向きが上の方向から横向きになっていた場合は買いのポイントにならない点です。
移動平均線が横向きになるということは、上昇トレンドの勢いが弱まっていることを示していますから買いは不可です。
また、この買いのポイントの2番目については明確な売買タイミングが不明なので、工夫が必要です。
価格が反発せずにずるずる下落する可能性があるからなのですが、こちらの工夫については後ほど、勝率を高める対策で紹介していきます。
買い③
次に買いのポイントの3番目です。
こちらは最もお勧めの売買ポイントになり、まず上向きの移動平均線に価格が上から近づいていき、反発すると買いです。
移動平均線は価格の抵抗帯や支持帯の役割を持っているので、反発するということは、価格が移動平均線によって支えられていることを示しているからです。
買いの2番目のポイントに比べてエントリーポイントがわかりやすく、最もシンプルで有効な手法になります。
買い④
続いて買いのポイントの4番目ですが、結論から先にお話すると、こちらは売買ポイントとしては使えません。
移動平均線が下向きで、さらに価格が下に乖離しているところで戻りを狙って買う手法なのですが、そもそも下落トレンドですから逆張りとなってしまいリスクが高すぎるからです。
下落トレンドが勢いづき、含み損が膨らんでいく可能性がありますのでお勧めしません。
グランビルの法則の売りポイント
それではここからは、グランビルの法則の売りのポイントを4つ紹介していきます。
基本的には買いのポイントの真逆になります。
売り①
最初は売りのポイントの1番目です。
これは上向きの移動平均線が、横向きまたは下向きに変化した状態で、価格が移動平均線を下に抜けた時に売りのエントリーポイントになります。
トレンドが上昇から下落へと転換した可能性が高いからです。
そのため、移動平均線が上向きの際に価格が下抜けするのは該当しません。
売り②
次は売りのポイントの2番目です。
これは下向きの移動平均線を価格が上に乖離している状態で、移動平均線への戻しの反落を狙った売りのエントリーポイントになります。
注意したいのは、移動平均線の向きが横になっている場合は該当しないという点です。
明確な売買タイミングがつかみにくいので工夫が必要になります。
売り③
それでは売りのポイントの3番目です。
下向きの移動平均線に価格が下から近づく状態で、移動平均線が抵抗帯の役割を持っていることから上値を抑えます。
反発を期待した売りのエントリーポイントで、とてもわかりやすく売買のタイミングもつかみやすいのでお勧めです。
売り④
最後に売りの4番目のポイントですが、こちらは買いの4番目のポイント同様、売買ポイントとしては扱いにくいです。
状態としては、上向きの移動平均線を価格が上に乖離しており、その戻りを狙って売りを入れる手法ですが、上昇トレンドが継続していく中で逆張りとなり含み損が膨らんでいくリスクがありますのでお勧めできません。
ここまで紹介してきたようにグランビルの法則は8つのポイントがありますが、買いの4番、売りの4番は扱いにくいので採用しないほうがいいでしょう。
また、買いの2番と売りの2番も明確な売買タイミングをつかむには工夫が必要ですから、まずは買いの1番と3番、売りの1番と3番のポイントに注目するといいでしょう。
グランビルの法則の勝率を高める方法
グランビルの法則の基本的な売買ポイントを確認しましたので、ここからはより勝率を高める実践的な使い方について説明していきます。
グランビルの法則は基本的な売買ポイントだけ知っていても一定の成果は期待できるのですが、残念ながらダマシに遭って負けることも少なくありません。
ではこのダマシをどのようにして回避し、勝率を高めていくことができるのでしょうか?
それは他の根拠と組み合わせることです。
どのようなことかというと、例えばグランビルの法則にダウ理論を組み合わせたり、チャートパターンを組み合わせたり、ダイバージェンスを組み合わせるといった他のテクニカル分析にも協力してもらいます。
グランビルの法則の勝率を高める
- グランビルの法則+ダウ理論
- グランビルの法則+チャートパターン
- グランビルの法則+ダイバージェンス
このどちらにも売買ポイントのシグナルが発生した際にエントリーすると、ダマシに引っかかるリスクを軽減し、勝率を高めることができます。
グランビルの法則+ダウ理論
最初はダウ理論との組み合わせです。
まずダウ理論の基本的な内容について確認していきましょう。
ダウ理論にはトレンド定義というものがあり、上昇トレンドの場合は、高値と安値がそれぞれ切り上がって上昇トレンドと定義します。
逆に下落トレンドは、高値と安値がそれぞれ切り下がっている状態が下落トレンドの定義です。
グランビルの法則+ダウ理論の組み合わせとして良い例と悪い例を比較していきましょう。
「グランビルの法則+ダウ理論」の悪い例
移動平均線が下向きだったものが横向きになり、価格が上抜けしたので、グランビルの法則に当てはめて買いのエントリーポイントと考えるのは勇み足です。
ダウ理論では安値が切り下がっている状態なので、まだ上昇トレンドにはなっていません。
ですからここで買いのエントリーをするのはリスクが高いということになります。
「グランビルの法則+ダウ理論」の良い例
こちらは安値が切り上がって、高値も切り上がっていますから、ダウ理論の上昇トレンドが完成しているのです。
それに加えてグランビルの法則の価格が移動平均線を上抜けした状態にも当てはまっていますので、グランビルの法則とダウ理論の両方を満たしています。
ここで初めて買いのエントリーをすることで不要な負けを回避することができます。
グランビルの法則+チャートパターン
続いてはグランビルの法則+チャートパターンを組み合わせた使い方です。
左図ではまずはもともと下降トレンドで、トレンド転換期を示すダブルボトムが完成しているケースです。
それに加えてグランビルの法則の買いも満たしていますので、2つの根拠から買いのエントリーチャンスとなります。
また右図では三角保ち合いになっているケースでも、安値と高値が切り上がっていますから上昇トレンドへの転換期です。
このように2つの根拠を満たしているポイントを見つけると勝率は高まります。
記事:【鉄板】FXチャートパターン全16種類の一覧とトレード戦略
グランビルの法則+ダイバージェンス
最後はグランビルの法則+ダイバージェンスを組み合わせた使い方です。
ダイバージェンスとは、ローソク足チャートの下の画面に表示されるRSIやMACDといったオシレーター系のテクニカル分析を利用し、価格とオシレーターが逆行するとトレンド転換のシグナルとなります。
例に示したように、価格は下落し安値を切り下げているのですが、オシレーターは逆に安値を切り上がって上昇しています。
これは価格が下落しているものの、近々トレンドが転換して上昇していくシグナルになります。
グランビルの法則だけでエントリーするのではなく、オシレーターを表示させてトレンドの転換期となるダイバージェンスを探り、2つの根拠を持って買いでエントリーするという方法もあるのです。
グランビルの法則でよくある疑問
ここからはグランビルの法則に関する様々な質問に答えていきましょう。
Q:移動平均線の設定値は何を使うべき?
ただし、一般的には短期(15、21、25)、中期(50、75、100)がよく使用されています。
この中から自分の好きな期間を選ぶのがいいでしょう。
Q:チャートで使う時間足はどれがいいのか?
超短期売買であるスキャルピングであれば1分や5分のローソク足が最適ですし、デイトレードであれば5分や15分、スイングトレードであれば1時間や4時間です。
グランビルの法則が5分足のチャートでしか機能しないということはありません。
どの時間であってもグランビルの法則は機能しますから、自分がどのトレードスタイルを採用するのかで、時間足は決めるようにしましょう。
グランビルの法則のトレード実例
それでは具体的なチャートを使って、グランビルの法則のエントリーポイントを確認していきましょう。
グランビルの法則のトレード実例1
どこが買いのエントリーポイントなのかというと、グランビルの法則から明らかで図の4箇所です。
上昇から下落に転じたものの移動平均線が下支えになっています。
ここで買うことでより安全で、かつ低い価格でポジションを保有できます。
注意すべきは中央の赤丸のポイントです。
価格が移動平均線を上から下に抜けたタイミングですから、売りでエントリーしたくなりますが、移動平均線の向きがまだ上向きなので、売りでエントリーすることはNGです。
あくまでも移動平均線が下向きになるか横ばいになった際に価格が上から下抜けして、初めてグランビルの法則の売りのエントリーポイントだからです。
グランビルの法則のトレード実例2
では次のチャートを見てみましょう。
まずは左の青丸ポイントで買いのエントリーをしていいのかというと、ダウ理論では安値も高値も切り下がっていて、そこから上に抜けてきていますが、まだ安値が切り上がっていることは確認できませんので、上昇トレンドとは判断できませせん。
加えて期間50の移動平均線は下向きですから買いのエントリーは避けるべきです。
実際にその後、価格は上昇することなく下落しています。
次の青丸ポイントで買いのエントリーはどうでしょうか?
安値も高値も切り上がっていますからダウ理論の上昇トレンドの定義を満たしていますし、なおかつ移動平均線も期間21は上昇、期間50も横ばいですからグランビルの法則の上昇トレンドのシグナルにもなっています。
ここでしたら2つの根拠から買いのエントリーができますし、実際にその後は上昇トレンドになっています。
グランビルの法則まとめ
これまでなんとなく値頃感だけでFXの取引を行い勝率が低かった人は、チャートの分析ができていない、またはしていなかったのではないでしょうか。
それであれば、グランビルの法則を勉強し、さらに他の分析方法と組み合わせることで、負けを減らし、勝つチャンスを増やすことができます。
グランビルの法則のポイントや組み合わせはいくつもありますが、まずは実践してみて、一番自分に合ったものを探してみましょう。
ぜひグランビルの法則を有効活用して、FXの成功体験を積み上げていってください。