こんな疑問を解決!
- ドル円と日経平均株価の相関関係は?
- ドル円と日経平均株価が連動する理由は?
今回はこんな疑問を解決していきます!
為替の米ドル円と日経平均株価は連動して動くことがよくありますが、「どうして?」と思う方も多いでしょう。
実は、ドル円と日経平均株価の関係性をしっかりと説明できる人は銀行員でも少ないです。
そこで今回の記事では、銀行で為替ディーラーを経験したプロが、ドル円と日経平均株価の関係性を徹底解説していきます。
この記事を最後まで読めば、ドル円と日経平均株価の相関する理由も納得できますよ!
鈴木 拓也
株式会社フィンテラス代表取締役
- 三井住友銀行で為替ディーラー業務を経験して独立
- 純資産4億円をFXや株で運用中|2023年利益+5,000万円超
- 著書「7日でマスター FXがおもしろいくらいわかる本」「世界一やさしい FXチャートの教科書 1年生」など
- 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
米ドル円と日経平均株価の関係
米ドル円と日経平均株価の関係ですが、一般的に正の相関関係があります。
つまり、日経平均株価が上昇している時は、ドル円も上昇(ドル高・円安)し、逆に日経平均株価が下落している時には、ドル円も下落(米ドル安・円高)します。
米ドル円と日経平均株価の関係
- 正の相関関係
- 日経平均株価が上昇すると、ドル円も上昇(円安)
- 日経平均株価が下落すると、ドル円も下落(円高)
米ドル円と日経平均株価が連動する4つの理由
それでは、どうして米ドル円と日経平均株価が連動するのでしょうか?
米ドル円は為替のレートであり、日経平均株価は一部上場企業の株価を元に作った株価指数です。
日経平均は東京証券取引所第一部に上場する225銘柄を選定し、その株価を使って算出する株価平均型の指数です。
引用:日経新聞
米ドル円と日経平均株価が連動する理由を説明するにあたり、以下4つのパターンに分けて説明していきます。
米ドル円と日経平均株価が連動するパターン
- 米ドル円が上昇(円安)→日経平均株価が上昇
- 米ドル円が下落(円高)→日経平均株価が下落
- 日経平均株価が上昇→米ドル円が上昇(円安)
- 日経平均株価が下落→米ドル円が下落(円高)
日経平均株価と、米ドル円のどちらが先に動いたかで、連動する説明が違ってきます。
米ドル円が上昇(円安)→日経平均株価が上昇する理由
まずは、米ドル円が先に上昇(円安)し、それに連れて日経平均株価も上昇するケースです。
これは日本の産業が自動車や電機メーカー等の輸出企業の割合が大きいことが背景にあります。
円安が進むと輸出企業の業績拡大への期待が高まるため、輸出企業の株が買われて日経平均株価が上昇するためです。
円安が進み、日本全体の景気が良くなれば、日本の株式市場は活況になりますので、株高になるのもイメージ出来るのではないでしょうか。
米ドル円が下落(円高)→日経平均株価が下落する理由
米ドル円が下落(円高)になった場合、それに連れて日経平均株価も下落するケースは上記で説明した理由の逆です。
円高になった場合、輸出企業の業績悪化懸念が広がり株が売られるため、日経平均株価が下落するのです。
米ドル円が先に動くケース
- 米ドル円が上昇(円安)すると、輸出企業の株が買われて日経平均株価が上昇
- 米ドル円が下落(円高)すると、輸出企業の株が売られて日経平均株価が下落
日経平均株価が上昇→米ドル円が上昇(円安)する理由
今度は、米ドル円ではなく、日経平均株価が先に動いた場合を説明していきましょう。
日経平均が先に動き、その後に米ドル円が動くのにはいくつか理由があり、一つ目は外国人投資家の為替ヘッジの動きがあります。
通常、外国人投資家は日本株式に投資をする際に、手持ちの外貨を円に換えて(外貨→円)投資をしますが、それと同時に将来円を売って外貨を買い戻すための為替予約を同時に締結するケースもあります。
将来において外国通貨を購入するあるいは売却する価格(予約レート)、数量を現時点で契約する(予約する)取引をいいます。この取引を使うと、将来時点における外国為替相場の状況によらず、予約した条件で外国通貨の受け渡しが履行されますので、その後の外国為替相場の変動の影響を受けなくてすむようになります。
引用:大和投資信託
ここで、為替予約の割合を投資資産の評価額に対して一定に保つ方針をとっているため、もし、日経平均が上昇したら、手持ちの円資産が多くなり、追加の円売り外貨買いの為替予約をする必要があるため、それが円安を進ませるってメカニズムです。
また、二つ目の理由としては、リスクオンで円安(リスクオフで円高)というパターンが完成していることが挙げられます。
リスクオンとは、投資家がリスクを取って積極的に投資をする相場状況の意味であり、株価が上昇します。
対義語は、リスクオフで、投資家がリスクを抑えて消極的になる相場状況を意味します。
そして、現在はリスクオンで円安(リスクオフで円高)というパターンが完成しており、大衆心理から、株が上昇したら為替でも円が売られ、株が下落したら円が買われやすくなるのです。
リスクオフで円高になる本当の理由については、以下の記事をご覧ください。
記事:【結論】リスクオフで円高(円買い)になる2つの理由を銀行員が解説
日経平均株価が下落→米ドル円が下落(円高)する理由
これも上記の理由と全く逆のパターンの説明となります。
整理すると、日経平均株価が先に動いた場合、米ドル円が連動する理由は以下の通りです。
日経平均株価が先に動くケース
- 外国人投資家の為替ヘッジの調整で連動
- リスクオフ・リスクオンのパターン化により連動
コロナショック時の相関関係について
以下は、2021年8月31日時点の追記です。
日経平均株価とドル円は一般的には正の相関関係がありますが、2020年3月のコロナショック以降は、一時的に負の相関関係が起きました。
つまり、日経平均株価は上昇する一方で、ドル円は下落したのです。
この背景としては、米国の大規模な金融緩和でマネーが市場に溢れたことで株高を誘発し、日経平均株価は上昇。
その一方で、緩和状態によるドル安からドル円は下落したと考えられます。
なお、この負の相関現象は2020年3月~12月まで続き、2021年以降は再び正の相関関係になっています。
まとめ
米ドル円と日経平均株価には正の相関があり、米ドル円が上昇すると日経平均株価も上昇し、米ドル円が下落すると日経平均株価も下落する傾向にあります。
そして、米ドル円と日経平均株価が連動する理由は、輸出企業の業績が為替に影響されることや、外国人投資家の為替ヘッジの調整、リスクオン・リスクオフのパターン化などが挙げられます。
為替に影響を与えるファンダメンタルズを正しく理解し、FXの勝率を上げていきましょう。
FXのファンダメンタル分析について学習したい人は、以下の記事をご覧ください。
記事:FXファンダメンタルズ分析で勉強すべき3大項目と役立つ情報源を紹介