こんな疑問を解決!

  • FXの両建ては稼げるの?
  • 両建て手法に意味がない理由は?
  • 両建てのメリットは?

巷ではFXの両建て手法が負けない最強の手法であるかのような解説がされています。

結論から申し上げると、FXの両建てはほとんど意味が無いどころか、むしろデメリットの方が目立ちます。

なぜなら、両建てはポジションなしと同義だからです。

今回の記事では、メガバンク出身の現役プロが、FX両建て手法に意味がない4つの理由を徹底解説していきます。

両建てを何か特別なテクニックだと勘違いしている人はかなり危険なので、今回の記事を隅々まで読んで理解してください。

この記事の執筆者
suzuki_gazou

鈴木 拓也
株式会社フィンテラス代表取締役

  • 三井住友銀行で為替ディーラー業務を経験して独立
  • 純資産4億円をFXや株で運用中|2023年利益+5,000万円超
  • 著書「7日でマスター FXがおもしろいくらいわかる本」「世界一やさしい FXチャートの教科書 1年生」など
  • 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト

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FX両建て手法に意味がない4つの理由

 

両建てとは、買いと売りの建玉を同時に持つことです。

両建ては稼げず意味がないどころか、むしろデメリットの方が大きいと言えます。

両建てに意味がない理由は以下の4つのです。

FXの両建てに意味がない理由

  • 理由1:両建てはポジションなしと同義
  • 理由2:スプレッド分だけ損をする
  • 理由3:つなぎ売りは大口投資家が使う手法
  • 理由4:イベント時の両建てはギャンブル

理由1:両建てはポジションなしと同義

両建てに意味がない1つ目の理由は、「両建てはポジション(建玉)なしと同義」だからです。

例えば、99円で買い建玉と売り建玉の両建てをしたとしましょう。

ここでレートが101円になったので、含み益が出ている買い建玉を利益確定(+2円)しました。

しかし、売り建玉の含み損は-2円なので、評価損益は結局ゼロのままです。

そして、この時点で売り建玉のみが残っているので、今後利益が出るかどうかは両建ての買い建玉を外した時点から、相場が下がるかどうかにかかっています。

つまり、相場が下がれば売り建玉の含み損が減って利益が残りますが、逆に相場が上がれば含み損が増えてトータルで損の方が多くなります。

ここまで説明すれば、賢いあなたならもう気づいたでしょう。

両建ての片方を外すタイミングは、それはすなわち新規で建玉を作っているのと同じです。

上記の例で説明すると、買いの建玉を外して売り建玉だけになった時、相場の下落を予想して売りを仕掛けているのと全く同じなのです。

なので、わざわざ両建てにする意味は全くないのです。

さらに、両建てには理由2で説明するデメリットが新たに加わります。

理由2:スプレッド分だけ損をする

2つ目の理由は、両建て手法は「スプレッド分だけ損をする」ことです。

理由1で、両建ては実質的に建玉ゼロと同じであることを説明しました。

ただ、買いと売りを同時に持った時点で、1つの建玉だけでトレードする時と比べて、スプレッドコストが2倍発生していることになります。

両建てでどちらかの建玉を外す場合も、最初から1つの建玉だけでトレードする場合も、価格変動に対する損益は同じになります。

それにもかかわらず、コストが2倍になっているわけですから、意味がないどころか経費が増えてデメリットの方が大きいわけです。

記事:FXスプレッドと手数料のFX会社比較ランキング

理由3:つなぎ売りは大口投資家が使う手法

両建てに意味がない理由3つ目は「つなぎ売りは大口投資家が使う手法」だからです。

よく、両建てのテクニックとして「つなぎ売り」が紹介されます。

つなぎ売りとは、比較的長めの上昇トレンド中に買いポジションを持ちつつ、その上昇トレンドの一服(短い期間の下げトレンド)を売りポジションで細かくとる手法です。

買いポジションを保有したまま何もしないより、買いポジションを保有しつつも何度も小刻みに売りで利益を積み上げたほうが稼げます。なお、売りポジションを保有している間は、両建てになります。

ただ、つなぎ売りで利益を積み上げるには、完全に相場の流れを予想することが前提です。

実際にはそんなことができるはずもなく、たとえできるのなら、わざわざ両建てにする必要はありません。

普通に片張りですべての価格変動を利用して利益を上げればいいだけです。

つなぎ売りが有効なケース

少しだけ補足をすると、つなぎ売りは大量の株式を保有している機関投資家の手法です。

大口の投資家は、建玉が大きすぎて、一気に売ることが出来ない場合や、何らかの理由で株を手放せない場合があり、価格下落のヘッジとしてつなぎ売りをするのです。

また、株式投資家の中には、配当権利を確保しつつ株価下落に備える方法として、つなぎ売りをしている人もいます。

このような人たちが行うのがつなぎ売りなので、流動性(取引高)が高い外国為替市場にて、つなぎ売りをする意味は全くありません。

はっきり言って、個人のFXトレーダーには無縁の代物と言えます。

理由4:イベント時の両建てはギャンブル

4つ目の理由は、「イベント時の両建てはギャンブル」です。

つなぎ売りに並んで、通常時には両建てしないけど、経済指標などの価格急変動が見込まれるイベント時に両建てを利用する人もいます。

イベント前に両建てポジションの利確と損切りをセットして、そのままイベントを迎える手法です。

ただ、この手法は完全に価格変動に任せたギャンブルであり、経済指標の結果によっては、両方のポジションとも損切りさせられる可能性もあります。

こんな不安定なロジックにわざわざベットする必要はないでしょう。

FX両建てのメリット2つ

ここまで読んでわかる通り、FXで両建てすることに本質的な意味はありません。

それどころかデメリットが目立ちます。

ただ、両建てに何の優位性もないかといえば、そんなことはありません。

それでは両建ての数少ないメリット2つを見ていきましょう。

両建てのメリット

  • メリット1:スワップポイントのサヤ取り
  • メリット2:心理的テクニック

メリット1:スワップポイントのサヤ取り

一つ目のメリットは、「スワップポイントのサヤ取り」です。

ポジションを保有しているだけで損益に影響するスワップポイントは、各業者によって若干の違いがあります。

この価格差を利用して、異なる業者間で両建てして利益を出すことをスワップポイントのサヤ取りと言います。

両建てにより建玉は実質ゼロになるので、価格がどれだけ動こうと、評価損益はゼロです。

一方、受け取りと支払いのスワップポイントに差があり、受け取りの方が多くなれば、差分だけ利益が出ます。

これはFXで両建てする数少ないメリットの一つですが、確実に儲かるわけではありません。スワップポイントの変動や、価格の急変動によるロスカットなどのリスクが存在します。

また、両建てしたら完全放置というわけにはいかず、証拠金維持率のバランスをとるために、各口座間で資金を移動するメンテナンスが必要になります。

 

関連記事:FXスワップポイントサヤ取りとは?リスクゼロで稼ぐ方法を解説!

メリット2:心理的テクニック

2つ目のメリットは、両建てで「心理的負担を減らすテクニック」があることです。

プロスペクト理論とは、一度手に入れた利益は早く確定しようとリスクを嫌うのに対して、一度被った損失に対しては事実を受け入れられずリスクを取り、損失が大きくなればなるほどリスクに鈍感になる人間心理のモデルです。

多くの投資家が、このプロスペクト理論と相反する損小利大を本能的にできないため、資産を減らしてしまいます。

このプロスペクト理論を克服することは、勝ち組トレーダーになるために必須ですが、多くの経験が必要です。

しかし、両建てをすることによって、このプロスペクト理論を簡単に克服することができます。

例えば、一定期間両建てしていれば、どちらかのポジションに一定の利益が出るでしょう(もう一方は同じだけ損失)。

まずは、利益の出ているポジションから決済することになりますが、含み益が増えている=トレンドに乗っている時に、適当に決済してはいけません。

完全にトレンドが変わり、含み益が減少している=もう一方のポジションの損失が減少しているときに決済してください。

この時、両建ての一部決済は、事実上のトレンド方向への片張りでのエントリーと同じ意味を持ちます。

プロスペクト理論を克服していないトレーダーは、含み益がなくなるのを恐れて、トレンドの最中に適当に利確してしまいます。

しかし、両建ての一部決済後に残っているポジションは、最初から含み損です。片張りでエントリーしている時と全く同じなのに、なぜかこの含み損のおかげで、すぐに決済してしまうことを防げます。

人は損失に対してはリスク好み、損を取り返そうという心理が働きます。

この心理を逆手にとって損小利大を実現できるのは、両建ての数少ないメリットの一つでしょう。

もちろん、片張りの時よりもスプレッド分のコストはかかりますが、含み益を伸ばせることを考えれば許容範囲でしょう。

 

関連記事:FXで稼げない人の『理由第1位』が10万人データから判明

FX両建てのまとめ

基本的には、FXで両建てする意味はありません。理由は以下の4つです。

FXの両建てに意味がない理由

  • 理由1:両建てはポジションなしと同義
  • 理由2:スプレッド分だけ損をする
  • 理由3:つなぎ売りは大口投資家が使う手法
  • 理由4:イベント時の両建てはギャンブル

両建ては実質的に建玉ゼロの状態なので、両建てするぐらいなら、さっさと損切りするべきです。

ただ、プロスペクト理論を克服していないトレーダーにとっては、多少のコストを払ってでも、心理的優位性を手に入れることができるため、メリットがあるといえるでしょう。

もし、あなたが損小利大のトレードができずに悩んでいるのなら、一度試してみてもいいかもしれませんね。



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