FXを始めたばかりの初心者は、確実に稼げる必勝法はないか探す傾向にあります。このような相場で絶対に負けない手法のことを聖杯と言いますが、いくら聖杯を探したところで見つかることはありません。なぜなら、そんなものはこの世に存在しないからです。

そこで今回はFXに必勝法が存在しない理由と、聖杯がなくても勝ち続けるために必要なことを紹介します。

FXに必勝法は存在しない!その理由は?

FXで勝ち続けて億万長者になる人が一定数いるため、FXに必勝法があると勘違いしてしまうのも無理はありません。

まずは、その誤解を解くために、FXに必勝法が存在しない理由を解説していきます。

多くのテクニカル指標を組み合わせても聖杯は作れない

多くのテクニカル指標を組み合わせれば、正しいエントリーポイントを確実に見つけることができるのではないか?そう思う方は多いです。しかし、そんなことをしても必勝法は見つかりません。

確かに、相場環境によって機能しやすいものや使い物にならないものなど、各テクニカル指標によって特徴は様々です。お互いの苦手な部分を補完して、得意な部分の精度を高めれば、確かにひとつのテクニカル指標よりも効果を発揮するかもしれません。

ただ、そのようなテクニカルの組み合わせによる優位性は、決して聖杯になるようなものではありません。また、一定期間過ぎれば機能しなくなります。

聖杯を見つけるために、いくらテクニカルのパズルを続けても時間の無駄です。その理由は、そもそも多くのテクニカル指標を同時に使っても、過去の値動きを様々な視点からみているにすぎないからです。

過剰に最適化された手法のバックテスト結果に意味はない

過去の値動きやテクニカル指標の組み合わせだけでなく、テクニカル指標のパラメータをいじり倒して聖杯を生み出そうとする人もいます。

過去のデータから最適解を見つけるために、過剰に最適化しすぎると素晴らしいバックテスト結果になるでしょう。中には、聖杯と勘違いしてしまう手法すら見つかるかもしれません。しかし、実際にその手法を運用してみると、十中八九散々な結果に終わります。

過去のデータを過剰に最適化することをカーブフィッティングといいます。このカーブフィッテイングをしても、なぜ必勝法を生み出せないのか?その理由は2つあります。

1つ目の理由は、本来何の優位性もないロジックを優位性のあるものとしてみなしてしまうからです。過剰最適化前には見つからなかった(何の優位性もないので当然)ロジックを、優位性のあるロジックとして組み込んだところで、別の期間でのバックテストや実際の運用では何の役にも立ちません。たまたま、バックテストした期間に表れた偶然でしかないからです。

もう1つの理由は、本来優位性のあるロジックなのに、バックテストした期間中さほど機能しなかったため、過剰最適化によって優位性のないロジックだと切り捨ててしまうことです。最適化すればするほど、シンプルで優位性のあるロジックを自ら排除してしまうリスクがあることを覚えておきましょう。

もし必勝法まとめでカンタンに見つけた手法が機能したら…

どうしてFXに必勝法が存在しないか?もっと、シンプルに考えてみましょう。たとえば、FXの必勝法まとめのような記事に書いてある手法の中に、本当に聖杯があったらどうでしょうか?多くの人が億万長者になるはずです。しかし、現実にそんなことは起こりえません。

百歩譲って、本当に聖杯があったとしても、多くの人が使用した瞬間に、市場での優位性は消えてしまいます。全員が何の勉強もせずに経験も積まないで、楽して何億も稼ぐなんてことはあり得ません。そんなことが現実に起これば、世の中の人は、誰も働かなくなってしまいます。

必勝法がなくても勝ち続けるために必要なことは?

ここまで読んで、FXに必勝法がないことを理解していただけたと思います。しかし、現実にはFXで勝ち続けている人は存在します。自分もそうなるためには、どうすればいいのでしょうか?

それでは必勝法がなくても勝ち続けるために必要なことを見ていきましょう。

カーブフィッティングを避ける方法

過剰に最適化するのはよくありませんが、FXで稼ぐために過去のデータを検証する作業は必須です。このとき、どうカーブフィッティングを避けるかが非常に重要になってきます。

カーブフィッティングを避ける方法はいくつかありますが、最も大事なことはただ単に結果が良くなるように総当たりでロジックを試すのではなく、なぜそうなるか仮説を立てて検証することです。

例えば、トレンドを順張りでとるためにどうすればいいか?トレンドが出ているとどうやって機械的に判断するか?押し目を機械的に判断するためにはどうすればいいか?など、仮説をもとにシンプルで汎用性の高い手法を確立させていけば、バックテストの結果だけをもとに数値を組み合わせた意味のない手法より、カーブフィッティングを避けることができます。

シンプルな短期アノマリーを優位性として利用する

優位性は大きく2つに分けられます。理由が明確で長期的にゆっくり効いてくるものと、理由は不明確だけと短期的に効果を発揮するものです。前者はファンダメンタルズを利用した長期投資、後者は短期アノマリーを利用したトレードに使用されています。

企業業績をもとにした株式の長期投資は、優位性の恩恵を受けるのに非常に時間がかかります。しかし、何千銘柄の中から複数銘柄を選んで投資することにより、手法自体の試行回数を増やして統計の偏りをなだらかにすることが可能です。

銘柄の少ないFXの場合は、前者よりも試行回数を増やしやすい短期アノマリーの方が相性がいいです。どの相場にも応用しやすい非常にシンプルな短期アノマリーを採用して、多くの期間でバックテストを試してみてください。どの期間でもそれなりの結果を出せるのなら、余計な最適化はせずに採用しましょう。

あれこれロジックを組み合わせるのでなく、シンプルな短期アノマリーを多くの期間で試したほうが、間違いなくカーブフィッティングを避けやすいです。

複数の優位性に継続して少額ベットし続ける

シンプルな短期アノマリーをもとに作られた手法をいくつも作成します。そして、複数の銘柄ではなく、複数のストラテジーでポートフォリオを組み運用することが、必勝法がなくてもFXで勝ち続けるための秘訣です。

さらに、ひとつの手法に多くの資金を投入せず、各手法に少額ずつベットし続ければ、比較的安定した右肩上がりの資産推移が可能になるでしょう。

機能しなくなった優位性は潔く捨てる

実戦で運用していると、いつかは必ず優位性がなくなります。このとき、多少のメンテナンスは必要ですが、大幅に変更しなければいけない場合は潔く捨ててしまいましょう。

所詮は短期的なアノマリーです。あまりありがたがってはいけません。聖杯はないのですから、一つの手法のメンテナンスに時間を割くより、ストラテジーのポートフォリオ全体のメンテナンスに力を入れるべきです。速やかに新たに作成した手法と、機能しなくなった手法を入れ替えましょう。

聖杯がないことを受け入れれば努力を惜しまなくなる

聖杯がないことを受け入れることで、攻略法を探す無駄な時間をなくすことができます。また、攻略法がなくてもFXで勝つために努力を惜しまなくなるはずです。

カーブフィッティングを避けて、多くのシンプルな手法を生み出すためにも、FXの基礎的な知識の底上げを怠らないでください。また、バックテストだけでなく実戦の結果からも多くのことを取り入れてみてください。


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FXトレーディングカレッジ 編集部

<アドバイザー:鈴木 拓也> 東京工業大学大学院卒。メガバンクの国内・海外支店にて為替ディーラー業務を経験後、独立。現在は、自己資金で投資を行う傍ら、FXを中心とした投資スクールを運営。日本証券アナリスト検定協会会員(CMA)。