こんな疑問を解決!

  • チャートの窓埋めとは?
  • 窓埋め手法は実際勝てるの?

ネット上などで必勝法のように紹介されている「窓埋め」のトレード手法。

空いた窓は80%の確率で埋まるので、その方向にトレードするだけで勝てる!こんな説明がされています。

果たして、窓埋めは魔法のような手法なのでしょうか?

結論から申し上げますと、窓埋めを狙ったトレード手法は大変危険であり、絶対に窓埋めだけを根拠にトレードしてはいけません。

はっきり言って、プロから言わせればナンセンスの手法です。

この記事では、メガバンク出身のプロトレ―ダーが、窓埋め手法について徹底解説します。

この記事の執筆者
suzuki_gazou

鈴木 拓也
株式会社フィンテラス代表取締役

  • 三井住友銀行で為替ディーラー業務を経験して独立
  • 純資産4億円をFXや株で運用中|2023年利益+5,000万円超
  • 著書「7日でマスター FXがおもしろいくらいわかる本」「世界一やさしい FXチャートの教科書 1年生」など
  • 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト

詳しいプロフィールはこちら

 

窓埋め手法を動画解説

チャートの窓埋め手法について、動画でアニメーションを使いながら分かりやすく解説していますのでご覧ください。

 

鈴木拓也鈴木拓也

動画が見れない方はスキップして、文章でも学んでいくことができますよ。

チャートの「窓」とは

チャートの窓とは、ローソク足とローソク足の間にできる隙間(ギャップ)のことを言います。

上方向に窓が発生することもあれば、下方向に発生することもあります。

窓が発生するタイミング

チャートに窓が発生するタイミングは、FXでは「月曜日の朝」となります。(株では「毎朝」となります。)

例えば、FXで金曜日の終値が100円で、月曜日の始値が100円20銭の場合、チャートには20銭分だけ窓が発生します。

平日のそれ以外の時は、基本的にFXは24時間売買されてチャートが連続的に描画されるので、窓が発生することはありません。

窓が発生する理由

窓が発生する理由は、以下の2つの理由からです。

窓が発生する理由

  • FX会社の営業開始前に取引がされている
  • 土日に経済イベントが発生している

FX会社の営業開始前に取引がされている

FXの取引は月曜7時からできますが、インターバンクの外国為替市場はそれより前の月曜3時からスタートしています。

つまり、私達がいつも見ているチャートは、あくまでFX会社が営業している間のチャートであり、営業時間外の値動きは反映されていません。

なので、例えば、月曜3時~7時までの間に、インターバンクの方で大きな値動きが発生すると、チャートに窓が発生するのです。

鈴木拓也鈴木拓也

ただし、月曜3時~7時の間は市場参加者も少なく、取引は少ないので、毎回窓が発生するわけではありません!

 

ややマニアックな情報ですが、FX会社とインターバンク市場について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

記事:FXのDD方式・NDD方式の違いと「のみ行為」は本当にある?

土日に経済イベントが発生している

土日に重要な経済イベントや金融イベントが発生した場合も、月曜の始値が金曜の終値と大きく乖離し、窓が発生します。

例えば、土曜に米国のFRB議長が金融政策について発言をし、市場がそれに反応して月曜の始値が大きく上昇(または下落)してスタートした場合です。

FXも買いたい人と売りたい人がいて始めて売買が成立しますので、買いたい人ばかりであれば、寄り付きのレートが上昇してしまうのです。

記事:FXは土日・祝日に取引できるの?1週間の取引スケジュール

窓埋めを使ったトレード手法

FXの窓埋め手法では、この窓が埋まるとの予想のもとに、埋まる方向に売買をしていきます。

例えば、月曜朝にチャートを確認し、窓が下方向に完成していたら買いでエントリーし、窓が埋まった段階で利益確定をします。

逆に、窓が上方向に完成していたら売りでエントリーし、窓が埋まった段階で決済です。

ただし、窓埋め手法は次に述べるようにデメリットがあり、窓埋めを根拠だけに取引することは避けるべきです。

窓埋め手法が危険な理由2つ

まるで必勝法のように語られている窓埋めを狙ったトレードですが、以下の欠点があります。

窓埋め手法が危険な理由

  • 窓はいつ埋まるか分からない
  • どれだけ反対に進むか分からない

窓はいつ埋まるか分からない

窓埋めトレードの根拠である「窓はいつか埋まる」ですが、「いつ埋まるのか」は誰にも分かりません。

窓を開けた当日中に埋まることもあれば、1週間経っても埋まらないこともあります。

例えば、下図のドル円チャートでは、2017年9月11日(月)に窓を開けて開始しましたが、窓が埋まったのは、なんと5か月後になります。

もし、「いつか窓は埋まる」という希望的観測だけで売りを仕掛けていたら、とんでもない損失になっています。

どれだけ反対に進むか分からない

窓が発生する背景には、土日に経済イベントが関係していると説明しました。

つまり、これはファンダメンタルズ的に大きなトレンドが発生している事を意味し、窓埋め方向のトレードは完全な逆張りのトレードとなります。

なぜ窓が発生したのかを分析して、「この窓は埋まる!」と確信が持てる場合は別ですが、いつか埋まるという希望だけでトレードをすることは、単なる運任せのギャンブルに他なりません。

窓埋めを活かす方法

それでは窓埋めを活かす方法はないのでしょうか?

窓埋めも以下のポイントを抑えることで、活用することはできます。

窓埋めを活かす方法

  • 窓が起きた理由を分析する
  • 他の根拠と組み合わせる

窓が起きた理由を分析する

窓はチャートの一時的な急騰や急落と同じですので、もし、背景にある理由が重要でない場合には、窓埋めが短い期間で起こる可能性は十分あります。

例えば、土日にFRB議長がサプライズ発言をして、月曜に大きく窓を上に空けてスタートしたものの、投資家が冷静さを取り戻し、発言は重要でないと判断した場合には、窓は埋まりやすくなります。

窓が起こる理由は「ファンダメンタルズ」なので、以下の記事で最低限のポイントを押さえましょう。

記事:FXファンダメンタルズ分析で勉強すべき3大項目と役立つ情報源を紹介

他の根拠と組み合わせる

窓を他の根拠と組み合わせて利用することで、勝率の高いトレードは実現可能です。

例えば、上方向に窓を空けた水準に重要なレジスタンスラインが引けている場合、売り圧力が強まり、窓埋めが起こりやすくなります。

記事:水平線の正しい引き方とFXトレード手法を解説

「窓埋め」のまとめ

チャートの窓は、ローソク足とローソク足の間にできる隙間のことで、月曜の朝に発生します。

窓埋め手法は、窓が埋まる方向にトレードを行うことですが、「窓はいつ埋まるか分からない」「どれだけ反対に進むか分からない」などの理由から、単体では根拠の薄い手法と言えます。

窓埋めトレードを行う場合には、上記のリスクを勘案し、窓が起きた理由を分析したり、他の根拠を組み合わせてトレードをしていきましょう。



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