こんな疑問を解決!
- 米雇用統計ってどんな経済指標?
- 雇用統計の何に注目すればいいの?
- 雇用統計で稼ぐ手法は?
テクニカル分析を中心に戦うトレーダーも避けて通れないのが、様々な国の経済指標です。
はっきり言って、経済指標を勉強せずにFXをするのは、お金をみすみすドブに捨てるほど危険な行為です。
そして、数ある経済指標の中でも、世界中の投資家が一番注目している「キング・オブ・経済指標」が『米雇用統計』と呼ばれるものです。
米雇用統計は1カ月に1回、第1週目の金曜日に発表されるものですが、その時のマーケットは、まさにお祭り状態になります。
たった数分~数十分で為替レートが100pips(1円)以上動く時もあるので、この雇用統計を狙ってトレードを行い、数百万円以上を一瞬で稼ぐ人もいます。
しかし、知識も浅いFX初心者の方が、何の戦略も持たずに雇用統計でトレードをするのは無謀に近い挑戦となります。
そこで今回の記事では、そもそも雇用統計とは何か?値動きは予想出来るのか?初心者が稼ぐためにはどうすればいいのか?などについて説明をしていきます。
鈴木 拓也
株式会社フィンテラス代表取締役
- 三井住友銀行で為替ディーラー業務を経験して独立
- 純資産4億円をFXや株で運用中|2023年利益+5,000万円超
- 著書「7日でマスター FXがおもしろいくらいわかる本」「世界一やさしい FXチャートの教科書 1年生」など
- 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
最低限のファンダメンタルズを学ぼう!
雇用統計で稼ぎたければ、ファンダメンタルズの基礎知識は必須です。
例えば、「現在の米国の経済状況がこうだから、雇用統計でこんな数字が出れば、○○のように相場が動くだろう・・」という、事前シミュレーションが出来なければ、雇用統計発表時の為替相場を予想出来ず、戦いようがありません。
ヘッジファンドや機関投資家などのプロは皆これをしています。
雇用統計や経済を確認せず、単純に値動きだけをみてトレードするのは、ただのギャンブルです。投資ではありません。
まずは、基本的なファンダメンタルズの知識を押さえましょう。
手法だけを早く知りたい人は、記事後半の雇用統計で稼ぐための3つの手法をご覧ください。
経済指標はFX攻略のヒント
ファンダメンタルズ分析は世界の経済情勢を参考にして、為替相場の変動を予測していきます。
中でも各国の政策金利は重要な情報です。政策金利が上がれば、その国の通貨を購入する人が増えるからです。
政策金利が上がるのか、下がるのかは突然決まるわけではありません。それまでの景気を踏まえて決定されます。
ですから景気を示す経済指標や、インフレ率を示す経済指標は注目されることになるのです。
その中でも、金利の上げ下げに特に影響を与える経済指標が「雇用統計」です。
経済指標の結果を分析するのは、トレーダーにとってFX攻略のための大きなヒントになります。
雇用統計とは何?
雇用統計とは、米国で毎月第一金曜日に発表される雇用に関する経済指標です。
サマータイムでは日本時間の21:30に発表となります。サマータイム外では22:30です。
それでは、米雇用統計がなぜマーケットで注目されるのか詳しく見ていきましょう。
どのくらいの影響力があるのか
米国の雇用統計は景気動向を示す重要な経済指標で、FOMCにも大きな影響を与えます。
事前予想値との乖離が大きいケースも珍しくなく、サプライズが起きやすいのが特徴のひとつです。
ポジティブサプライズになれば、発表直後に1円(100pips)ほどドル高円安になることもありますし、逆にネガティブサプライズになれば、1円ほどドル安円高になることもあります。
他の経済指標の発表でここまで大きな変動をすることは、ほとんどありませんので、利益を伸ばすチャンスと言えます。
変動率やポジションの量によって利益は変わってきますが、数分で数十万円や数百万円の利益を出しているトレーダーもいます。
ただし、変動が大きいということは、損失が膨らむ危険性もあることは認識しておきましょう。
あくまでも損失に耐えられる範囲の中でトレードすべきです。
月に一度のお祭り騒ぎ
雇用統計の発表はまさにお祭り騒ぎになるのですが、発表直前になると嵐の前の静けさで、レートはほとんど変動せず、発表直後に陽線や陰線が大きく伸びることになります。
雇用統計の発表時間は夜ですが、市場関係者は全員出動します。
そして、ディーリングルームが最も緊迫する時の一つですね。
すごい緊迫感が伝わって来ますね・・・銀行のディーリングルームもこんな感じなんでしょうか?
そうだね。数百~数千億の巨額のマネーが一夜にして飛び交うから、まさに戦場のような感じだね(笑)
雇用統計の内容
米雇用統計と一言で言っても、以下のような複数の経済データから構成されています。
雇用統計の内容
- 非農業部門雇用者数
- 失業率
- 平均時給
手法だけを早く知りたい人は、記事後半の雇用統計で稼ぐための3つの手法をご覧ください。
非農業部門雇用者数
雇用統計は10項目以上の統計が発表されますが、最も影響力があるのが「非農業部門雇用者数」(NFP)です。
経営者や自営業者、農業従事者は除外された非農業部門の雇用者数の推移を示します。
この数値が前月に比べて増えていれば雇用が増えている、つまり景気が良くなっていることを示します。
一方で、減っていると雇用が減っている、つまり景気の悪化が懸念されます。
失業率
失業率も非農業者部門雇用者数と並んで注目される雇用統計の中身です。
「失業者÷労働人口×100=失業率」で計算されます。
失業率が上がり、非農業部門雇用者数が減少するということは、景気が減速傾向にあることを示しています。雇用者数は不景気の終わりか、その少し後に回復しやすいのが特徴です。
平均時給
最近では、これらに加えて、平均時給も注目さてています。
その名の通り、労働者の時給の推移を示したもので、増えれば景気回復、減れば景気減速を示します。
雇用統計発表時のトレードの注意点2つ
それではここからは、大きく稼ぐことも出来る雇用統計発表時の注意点について詳しく見ていきましょう。
雇用統計発表時の注意点
- スプレッドが大きく広がる
- スリップページが発生する
これを押さえていないと、大負けにもつながる可能性があるので注意が必要ですよ!
注意点1:スプレッドが大きく広がる
世界中のトレーダーが注目するビックイベントの雇用統計ですが、注目度が高いが故に注意しなければならないことがあります。
そのひとつが「スプレッドが大きく広がる」いうことです。直前までは静観の姿勢ですが、発表直後に取引量が急増するため、FX取引業者の対応が混雑し難しくなります。そこでスプレッドが広がることになるのです。
基本的には雇用統計が発表される1分前にはスプレッドは広がり始めます。発表直後は数秒取引できない状態になり、直後に成行きでエントリーすると、とんでもないトレードで約定する可能性もあり、いきなり大きな含み損を抱える危険性も有ります。
ここは取引している業者によりますので、FX初心者は数社で口座を作り、雇用統計時のスプレッドの広がり方を比べてみてください。その中で最も狭い業者で、今後の雇用統計時のトレードを行うべきでしょう。
プロがおすすめするFX会社は、【FX口座・会社おすすめを厳選ピックアップ】をご覧ください。
注意点2:スリップページが発生する
雇用統計発表時は取引量急増のために約定しにくい状態が続きますし、変動が激しいために、成行注文をすると、注文が滑って意図したレートとは大きく離れてしまいます。
これをスリッページと呼びます。
ある程度の時間が過ぎて、相場が落ち着きを取り戻すとスプレッドも回復し、通常のトレードができるようになります。
雇用統計発表直後に無理してトレードすると、スプレッドが広いために取引コストをいつもの数倍以上支払う必要があり、なおかつ注文が滑って予想外のポジションを持つことになるかもしれませんので注意が必要です。
為替相場が大きく変動するのでチャンスではありますが、リスクマネジメントの意識は欠かさずに持っていましょう。
ここでリスクを冒して、資金ギリギリまでポジションを持つようなトレードは厳禁になります。
雇用統計で稼ぐための3つの手法
では、月1回のビッグイベントである雇用統計は、指をくわえて見ているだけになるのでしょうか?
結論から言うと、雇用統計には勝てる戦い方があります。
雇用統計で稼ぐ方法
- 発表内容を見極めてエントリーする
- 押し目・戻り目でエントリーする
- 欲張らずに20pipsほどの利益を狙う
詳しく見ていきましょう。
方法1:発表内容を見極めてエントリーする
ヘッジファンドや機関投資家のプロは、ほぼ全員、ここ戦い方をしています。
つまり、発表された結果を見て、今後の相場の値動きを予想し、仕掛けていくのです。
このためには当然ですが、高度なファンダメンタルズ分析のスキルや経験が必要不可欠です。
事前に、「雇用統計の数値が○○なら買おう、××なら売ろう」というような何十通りものシミュレーションを想定しておいて、内容を見てからトレードを遂行します。
巨額のマネーを動かすプレイヤーは間違っても、直後の値動きだけを見て、ノリでエントリーすることはまずありません。
雇用統計のシミュレーションやイメージが何もないまま、トレードするのははっきり言って無謀ですので、今すぐ止めた方がいいですね。
雇用統計の内容を瞬時に確認するには、「FXブロードネット」のアプリがおすすめです。
口座開設(無料)をすればアプリにログインでき、情報を入手できます。手数料などは一切かかりませんので、気軽に利用できます。
方法2:押し目・戻り目でエントリーする
雇用統計発表直後のチャートを確認すると、陽線や陰線がかなりの長さになることがあります。
しかし、ここで陽線が長いので、上昇トレンドだと判断して即座にロングポジションを持つのは危険です。
大手の投資機関と一般トレーダーでは情報入手にかかる時間に差があります。それがわずか1秒の差だったとしても、とても大きな差です。情報入手が速ければ、雇用統計の良好な結果を見てすぐに米ドル買いを行います。それで一般トレーダーが買おうとした時には、すでに陽線が長く伸びているのです。
さらに、ここで情報入手が速い投資機関は利益確定のために売りを入れるのです。すると為替相場が大きく反落しますので、上昇トレンドに乗ろうとして買った個人投資家は見事に高値で買ってしまうことになります。
実際に雇用統計の結果が良好であれば、その後、為替相場が回復(ドル高)してくることが予想されます。
なので、買いを狙うなら、上昇に飛び乗らず、一旦下がって押しが入ったところを狙うべきです。言うまでもありませんが、ドル買いを狙うということは、雇用統計の内容が強い結果だったということが条件です。
追っかけ買い・売りの注意点については、以下の記事もご参考下さい。
記事:追っ掛け買いと追っ掛け売りを止めれば「勝率」は一気にあがります
方法3:欲張らずに20pipsほどの利益を狙う
雇用統計発表直後は、為替相場の大きな上下の変動が続きますので、とりあえずその流れの中で20pipsほどの利益が出たら確定してしまった方がいいでしょう。
上がったら売り、下がったら買うという「逆張り」でいいのですが、スプレッドが広がっている分だけ取引コストがかかっているということを忘れないようにしましょう。
しばらくすると反発が弱まり、トレンドが強く出てくることがあります。
雇用統計の場合は発表後の3日間は影響力が続きますので、トレンドに合せて「順張り」していくのがおすすめです。
米国の雇用統計は、翌日の日本市場にも影響を及ぼすのです。
雇用統計は大きく勝つチャンスではありますが、FX初心者の頃は欲張らず、まずは目標の利益が確保できたら決済してしまうぐらいのつもりがいいのではないでしょうか。
ただし100pipsも変動することがありますので、損失が出た場合にそこまで傷口が広がらぬよう、事前に決めたストップロスは必ず守りましょう。
雇用統計で稼ぐ方法のまとめ
外から見ているだけでは、変動の動きやスプレッドの動きを実感するのは難しいでしょう。1Lotで構わないので、まずは参加してみることです。
参加してみて初めて感じることがたくさんあります。それは今後のトレードに活かすことができるはずです。
雇用統計を含めた経済指標についてもっと詳しく知りたい場合や、ファンダメンタルズ分析についてもっと基本から学びたいのであれば、以下の記事をご覧ください。
記事:FXファンダメンタルズ分析で勉強すべき3大項目と役立つ情報源を紹介
勧めて頂いた情報サイトを見て数通りのシュミレーションができるようになってからエントリーしてみたいと感じました。
今の状態ではオロオロしてるうちに負けてそうで。
これからも当サイトで勉強させて頂きます。