FX(外国為替証拠金取引)では、分析方法は「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」の二種類があります。どちらかに大きく偏ってトレードしているトレーダーもいれば、両方をバランス良く行っているトレーダーもいます。

ただ、テクニカル分析を中心に戦うトレーダーも避けて通れないのが、様々な国の経済指標です。

はっきり言って、経済指標を勉強せずにFXをするのは、お金をみすみすどぶに捨てるほど危険な行為です。

そして、数ある経済指標の中でも、世界中の投資家が一番注目している「キング・オブ・経済指標」が『米雇用統計』と呼ばれるものです。

米雇用統計は1カ月に1回、第1週目の金曜日に発表されるものですが、その時のマーケットは、まさにお祭り状態になります。

たった数分~数十分で為替レートが100pips(1円)以上動く時もあるので、この雇用統計を狙ってトレードを行い数百万円以上を一瞬で稼ぐ人もいます。

しかし、知識も浅いFX初心者の方が、何の戦略も持たずに雇用統計でトレードをするのは無謀に近い挑戦となるので、今回の記事では、そもそも雇用統計とは何か?値動きは予想出来るのか?初心者が稼ぐためにはどうすればいいのか?、などについて説明をしていきます。

初心者初心者

雇用統計で大きく稼げないかな~・・・?

鈴木(T-ya)鈴木(T-ya)

では、メガバンクでディーラーをしていた経験から、雇用統計の戦い方をお教えしましょう!

1.最低限のファンダメンタルズを学ぼう!

雇用統計で稼ぎたければ、ファンダメンタルズの基礎知識は必須です。

例えば、「現在の米国の経済状況がこうだから、雇用統計でこんな数字が出れば、○○のように相場が動くだろう・・」という、事前シミュレーションが出来なければ、雇用統計発表時の為替相場を予想出来ず、戦いようがありません。ヘッジファンドや機関投資家などのプロは皆これをしています。

雇用統計や経済を確認せず、単純に値動きだけをみてトレードするのは、ただのギャンブルです。投資ではありません。

まずは、基本的なファンダメンタルズの知識を押さえましょう。

1.1 経済指標はFX攻略のヒント

ファンダメンタルズ分析は世界の経済情勢を参考にして、為替相場の変動を予測していきます。中でも各国の政策金利は重要な情報です。政策金利が上がれば、その国の通貨を購入する人が増えるからです。

政策金利が上がるのか、下がるのかは突然決まるわけではありません。それまでの景気を踏まえて決定されます。ですから景気を示す経済指標や、インフレ率を示す経済指標は注目されることになるのです。その中でも、金利の上げ下げに影響を与える経済指標が「雇用統計」です。

経済指標の結果を分析するのは、トレーダーにとってFX攻略のための大きなヒントになります。

1.2 影響力のある経済指標

米国はなんといっても世界の経済の中心です。米国の経済状況によって為替相場は大きく左右されることになります。

米国だけでも為替相場に影響を与える経済指標は100以上あると言われていますので、ほぼ毎日のように何かしらの経済指標が発表されます。すべての経済指標は発表の時間が事前に決まっています。そしてその発表時には為替相場が動く可能性が高まります。

経済指標の中には高い注目度を誇り、市場に大きな影響を及ぼす経済指標があります。経済指標によって重要度が異なるのです。これはFX初心者も半年間ほど経験していけば、どの経済指標に影響力があり、どの経済指標の影響力が低いのかは把握できるようになります。

常に確認しておきたいのは、「小売売上高」、「住宅着工件数」、「鉱工業生産指数」、「ISM製造業景況指数・非製造業)」、「消費者物価指数(CPI)」、「四半期GDPの速報値」、そして「雇用統計」です。

すべての経済指標をチェックしていたのでは、なかなか時間を取られるので、まずは上記に記載した経済指標の結果は必ず注目するようにしましょう。為替相場が動くのは、前年比よりも、「事前予想値との乖離」です。ですから事前予想値も事前に確認しておく必要があります。

 

ファンダメンタルズについて役立つサイトを知りたい方は、以下の記事もご参考下さい。

記事:FXおすすめ情報サイト7選!元メガバンク為替ディーラーが役立つサイトを厳選

2.雇用統計とは何?

2.1 どのくらいの影響力があるのか

キング・オブ・経済指標とも呼ばれるのが、米国の雇用統計になります。景気動向を示す重要な経済指標で、FOMCにも大きな影響を与えます。事前予想値との乖離が大きいケースも珍しくなく、サプライズが起きやすいのが特徴のひとつです。

ポジティブサプライズになれば、発表直後に1円(100pips)ほどドル高円安になることもありますし、逆にネガティブサプライズになれば、1円ほどドル安円高になることもあります。

他の経済指標の発表でここまで大きな変動をすることは、ほとんどありませんので、利益を伸ばすチャンスと言えます。変動率やポジションの量によって利益は変わってきますが、数分で数十万円や数百万円の利益を出しているトレーダーもいます。

ただし、変動が大きいということは、損失が膨らむ危険性もあることは認識しておきましょう。あくまでも損失に耐えられる範囲の中でトレードすべきです。

2.2 月に一度のお祭り騒ぎ

雇用統計の発表は、「基本的に毎月第一金曜日」です。為替相場だけでなく、金融市場にとってもビックイベントのひとつに数えられます。

直前の水曜日には前哨戦となる「ADP雇用統計」が発表されます。民間大手給与計算会社ADP社による4000万人の給与データを基に算出されています。ただし政府機関の雇用は含まれていません。一応は雇用統計の先行指標と言われていますが、相関は微妙です。ADP雇用統計ではポジティブサプライズなので、雇用統計も期待していたら、こちらは逆にネガティブサプライズというケースもあります。あくまでも参考程度に確認しておくべきでしょう。

雇用統計はサマータイムでは日本時間の21:30に発表となります。サマータイム外では22:30です。この日はまさにお祭り騒ぎになるのですが、発表直前になると嵐の前の静けさで、レートはほとんど変動せず、発表直後に陽線や陰線が大きく伸びることになります。

動画で雇用統計の舞台裏を見よう!

雇用統計の発表時間は夜ですが、市場関係者は全員出動します。そして、ディーリングルームが最も緊迫する時の一つですね。

 

初心者初心者

すごい緊迫感が伝わって来ますね・・・銀行のディーリングルームもこんな感じなんでしょうか?

鈴木(T-ya)鈴木(T-ya)

そうだね。数百~数千億の巨額のマネーが一夜にして飛び交うから、まさに戦場ような感じだね(笑)

3.雇用統計の内容

3.1 米国非農業部門雇用者数

雇用統計は10項目以上の統計が発表されます。週平均労働時間や時間当たりの平均賃金なども注目されますが、最も影響力があるのが「非農業部門雇用者数」(NFP)です。

非農業部門雇用者数については、経営者や自営業者、農業従事者は除外されます。2箇所以上に勤めている場合は、重複してカウントされます。パートタイムとフルタイムの区別もありません。調査時に仕事に就いていれば数に含まれます。

そして事業所の給与支払い帳簿を基に集計して、労働省労働統計局が発表します。

3.2 米国失業率

失業率も非農業者部門雇用者数と並んで注目される雇用統計の中身です。

失業者の占める割合です。非農業部門雇用者数と同様に労働省労働統計局が発表します。

関数は「失業者÷労働人口×100=失業率」となっています。ちなみに米国の場合は、16歳以上の全人口を労働人口と設定しています(軍務就業者は除く)。

失業率が上がり、非農業部門雇用者数が減少するということは、景気が減速傾向にあることを示しています。雇用者数は不景気の終わりか、その少し後に回復しやすいのが特徴です。

ただし、現状は、非農業部門雇用者数や失業率が事前予想よりも良い数値であっても、平均賃金が上がっていないと、インフレ率の改善が進んでいないとの見方から、あまり大幅なドル高は望めないケースも目立つようになってきています。

 

最近では、これらに加えて、平均時給も注目されているので、合わせて確認しましょう!

 

<注目するべき雇用統計の中身>
・非農業部門雇用者数
・失業率
・平均時給

4.雇用統計発表時のトレードの注意点

4.1 スプレッドが大きく広がる

世界中のトレーダーが注目するビックイベントの雇用統計ですが、注目度が高いが故に注意しなければならないことがあります。そのひとつが「スプレッドが大きく広がる」ということです。直前までは静観の姿勢ですが、発表直後に取引量が急増するため、FX取引業者の対応が混雑し難しくなります。そこでスプレッドが広がることになるのです。

基本的には雇用統計が発表される1分前にはスプレッドは広がり始めます。発表直後は数秒取引できない状態になり、直後に成行きでエントリーすると、とんでもないトレードで約定する可能性もあり、いきなり大きな含み損を抱える危険性も有ります。

米ドル/円(USD/JPY)であれば原則固定でスプレッドが0.3銭だったとしても、雇用統計前後は数銭以上広がり、時には数十銭以上も広がる可能性があります。スプレッドが広いと、その分、自分が賭けた方向に相場が動かないと利益が出ませんので、エントリーと同時に数十銭以上の含み損を抱えることは、相当リスクがあると考えるべきです。

ここは取引している業者によりますので、FX初心者は数社で口座を作り、雇用統計時のスプレッドの広がり方を比べてみてください。その中で最も狭い業者で、今後の雇用統計時のトレードを行うべきでしょう。

 

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4.2 スリップページが発生する

雇用統計発表時は取引量急増のために約定しにくい状態が続きますし、変動が激しいために、成行注文をすると、注文が滑って意図したレートとは大きく離れてしまいます。これは指値注文や逆指値注文を設定していてもスリップページが発生する可能性はあるのです。

ある程度の時間が過ぎて、相場が落ち着きを取り戻すとスプレッドも回復し、通常のトレードができるようになります。

雇用統計発表直後に無理してトレードすると、スプレッドが広いために取引コストをいつもの数倍以上支払う必要があり、なおかつ注文が滑って予想外のポジションを持つことになるかもしれませんので注意が必要です。

為替相場が大きく変動するのでチャンスではありますが、リスクマネジメントの意識は欠かさずに持っていましょう。ここでリスクを冒して、資金ギリギリまでポジションを持つようなトレードは厳禁になります。

5.雇用統計で勝つためのコツ

では、月1回のビッグイベントである雇用統計は、指をくわえて見ているだけになるのでしょうか?

結論から言うと、雇用統計には勝てる戦い方があります。詳しく見ていきましょう。

5.1 発表内容を見極めてエントリーする!

ヘッジファンドや機関投資家のプロは、ほぼ全員、ここ戦い方をしています。

つまり、発表された結果を見て、今後の相場の値動きを予想し、仕掛けていくのです。

このためには当然ですが、高度なファンダメンタルズ分析のスキルや経験が必要不可欠です。

事前に、「雇用統計の数値が○○なら買おう、××なら売ろう」というような何十通りものシミュレーションを想定しておいて、内容を見てからトレードを遂行します。

巨額のマネーを動かすプレイヤーは間違っても、直後の値動きだけを見て、ノリでエントリーすることはまずありません。

雇用統計のシミュレーションやイメージが何もないまま、トレードするのははっきり言って無謀ですので、今すぐ止めた方がいいですね。

5.2 流れに勘で乗ってはけない!

 

FX初心者の時には、雇用統計発表直後の変動の大きさに驚きます。チャートを確認すると、陽線や陰線がかなりの長さになっているからです。しかし、陽線が長いので、上昇トレンドだと判断して即座にロングポジションを持つのは危険です。

大手の投資機関と一般トレーダーでは情報入手にかかる時間に差があります。それがわずか1秒の差だったとしても、とても大きな差です。情報入手が速ければ、雇用統計の良好な結果を見てすぐに米ドル買いを行います。それで一般トレーダーが買おうとした時には、すでに陽線が長く伸びているのです。

さらに、ここで情報入手が速い投資機関は利益確定のために売りを入れるのです。すると為替相場が大きく反落します。ローソク足チャートでは、長いヒゲができることになるのです。広いスプレッドにもかかわらず、上昇トレンドに乗ろうとして、見事に高値で買ってしまうことになります。

実際に雇用統計の結果が良好であれば、その後、為替相場が回復(ドル高)してくることが予想されます。なので、買いを狙うなら、上昇に飛び乗らず、一旦下がって押しが入ったところを狙うべきです。言うまでもありませんが、ドル買いを狙うということは、雇用統計の内容が強い結果だったということが条件です。

 

追っかけ買い・売りの注意点については、以下の記事もご参考下さい。

記事:追っ掛け買いと追っ掛け売りを止めれば「勝率」は一気にあがります

5.3 欲張らずに20pipsほどの利益を狙う

雇用統計発表直後は、為替相場の大きな上下の変動が続きますので、とりあえずその流れの中で20pipsほどの利益が出たら確定してしまった方がいいでしょう。上がったら売り、下がったら買うという「逆張り」でいいのですが、スプレッドが広がっている分だけ取引コストがかかっているということを忘れないようにしましょう。

しばらくすると反発が弱まり、トレンドが強く出てくることがあります。雇用統計の場合は発表後の3日間は影響力が続きますので、トレンドに合せて「順張り」していくのがおすすめです。米国の雇用統計は、翌日の日本市場にも影響を及ぼすのです。

雇用統計は大きく勝つチャンスではありますが、FX初心者の頃は欲張らず、まずは目標の利益が確保できたら決済してしまうぐらいのつもりがいいのではないでしょうか。ただし100pipsも変動することがありますので、損失が出た場合にそこまで傷口が広がらぬよう、事前に決めたストップロスは必ず守りましょう。

6.まとめ

外から見ているだけでは、変動の動きやスプレッドの動きを実感するのは難しいでしょう。1Lotで構わないので、まずは参加してみることです。参加してみて初めて感じることがたくさんあります。それは今後のトレードに活かすことができるはずです。

非農業部門雇用者数と失業率が良好な結果だったので、必ず上がるだろうと考えていたら、平均賃金が予想ほど上がらなかったので、全体としてリスクオフになったりするケースもありますので、情報は細部までしっかり確認したいですね。

雇用統計を含めた経済指標についてもっと詳しく知りたい場合や、ファンダメンタルズ分析についてもっと基本から学びたいのであれば、無料学習コンテンツ「FXトレーディングカレッジ」をぜひ、有効活用してください。



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鈴木 拓也

東京工業大学大学院卒。メガバンクの国内・海外支店にて為替ディーラー業務を経験後、独立。現在は、自己資金で投資を行う傍ら、FXを中心とした投資スクールを運営。日本証券アナリスト検定協会会員(CMA)。