さて、本日は原油安が為替のドル円に与える影響について考えていきたいと思います。

原油の価格がドル円に影響を与えるの〜?って疑問に思われる方も多いと思いますが、プロの為替ディーラーなどの市場参加者は、為替以外にも金利、株やコモディティ(原油)などマーケット全体を見ており、それらのプライスを考慮しながらトレーディングを行っています。

そして、原油価格の値動きを見て特定の通貨を売ったり買ったりもするのです。

原油高になると資源国通貨は上昇する

まず、原油高になると買われる通貨がありますが、分かりますか?

それは、豪ドルやカナダドルなどのいわゆる資源国通貨と呼ばれる通貨です

これらの国は石油などの資源が豊富にあり、それら資源価格が国の経済力に大きな影響を与えます。

よって、原油高になるとオーストラリアやカナダなどの国が潤い、世界中の資金がそれらの国に流入することが連想されますので、豪ドルやカナダドルが買われるのです。

原油安が円高を引き起こす3つの理由とは?

さて、それでは本題の原油安が円高(ドル円の下落)を引き起こす要因について見ていきましょう。

主に3つの要因があり、

1)エネルギー関連銘柄の株価下落でリスクオフムードが高まり、安全通貨の円が買われる
2)インフレ圧力後退で米長期金利が下がりドルが売られる
3)輸入価格の下落で日本の貿易黒字が増えて円買い圧力がかかる

が挙げられますね。

1)株価下落でリスクオフムードが高まり円買

これは、「リスクオフで円高(円買い)が進む理由は?」でも説明しておりますが、原油価格が下がると一般的にエネルギー関連銘柄の株価が低下するので、NYダウや日経平均株価などの代表指数も軟調な値動きとなります。

そうなると、マーケットはリスクオフムードが広がりますので、リスク回避から円が買われてしまうという仕組みですね。

2)インフレ圧力後退で米長期金利が下がりドルが売られる

米国は金融政策で「物価の安定を目標の一つ」にしており、インフレの上昇が利上げをする上での大前提です。

もし、原油価格が今後も下がり、インフレ圧力が後退するようなことがあれば、利上げを続けることは出来ませんので、長期金利が下がり→ドル売り→ドル円が下落(円高)、ってことになります。

下は少し難しいので分からない方は流してくれて大丈夫ですが、これを日本のケースに当てはめると、日本のインフレ圧力が下がる場合、「実質金利=名目金利ー期待インフレ」の関係式から、期待インフレが小さくなり、名目金利が変わらないと仮定すると実質金利が高くなるので、円が買われてしまうという理由もあります。

3)輸入価格の下落で日本の貿易黒字が増えて円買い圧力がかかる

最後は貿易収支の観点ですね。

これは「為替が変動する要因」にて説明していますが、原油安になると、輸入価格が下がり、輸出額>>輸入額となりますので、貿易黒字が拡大します。

その結果、外貨売り円買いの圧力の方が大きくなりますので、円高となります。

 

以上、原油安が円高になる主な3つの要因でした。

もちろん、それ以外にもあると思いますが、上記3つを押さえておけば十分でしょう。

 


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鈴木 拓也

東京工業大学大学院卒。メガバンクの国内・海外支店にて為替ディーラー業務を経験後、独立。現在は、自己資金で投資を行う傍ら、FXを中心とした投資スクールを運営。日本証券アナリスト検定協会会員(CMA)。