FX(外国為替証拠金取引)を始めようと考えている皆さんにとって、高いハードルに感じてしまうのが、FXの「専門性」でしょう。

外貨といっても日頃の生活で米ドルやユーロを扱うことはほとんどないでしょうし、アメリカやEUの金融政策に注目することも少ないのではないでしょうか。ですからなかなかピンときません。

さらにFXには多くの専門用語が登場してきます。

「私には少し難しすぎるし、まあ知らなくてもトレードできるからいいか」と思いながら取引をしている人もいます。しかし、知らなくて損することはあっても、知ってて損をすることはありません。

専門用語についてもひとつひとつ勉強し、理解を深めることで、FXで勝つためのヒントにしていきましょう。

今回詳しくお伝えしていくのは「スプレッド」というものです。実はFXの世界では、FX取引業者による過酷な「スプレッド競争」が続いており、ひと昔前に比べるととてもサービスが良くなっています、

これからFXを始めるというFX初心者は、スプレッドに注目して、取引業者を選ぶべきでしょう。スプレッドについてあまり知らずに取引してきた人は、これを機会に自分の取引業者のスプレッドが他の業者と比較して、広いのか狭いのかを確認してみてください。

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スプレッドは手数料なんですよね?どのようにFX会社を選べばいいでしょうか?

鈴木(T-ya)鈴木(T-ya)

FXのスプレッドは利益にすごく影響を与える大切なところです!しっかりとその仕組みや注意点を押さえましょう!

FXのスプレッドって何?

スプレッド=買値と売値の差額

スプレッド(Spread)とは、売値と買値の差額のことです。基本的にはロング(買い)でもショート(売り)でも、ポジションを持った瞬間に決済すると損失が生まれます。つまり取引はマイナスの状態からスタートすることになるのです。

スプレッドが広いということは、それだけマイナスが大きい状態からスタートすることになりますし、スプレッドが狭いということは、それだけマイナスが小さい状態からスタートできるわけです。

為替差益(キャピタルゲイン)で利益を積み上げていくことを考えているのならば、このスプレッドは重要です。一度のトレードでは小さな金額ですが、一日にかなりのトレードを繰り返す「スキャルピング」や、一日に何度かトレードをする「デイトレード」に関しては、その小さな金額が積み上がって、トータルでとても大きな取引コストになるからです。

FXは手数料無料ではないって本当?

スプレッドは何のために存在しているのでしょうか?

現在のFX取引業者は、ほとんどが「手数料無料」をアピールしています。ひと昔前までは、取引手数料が一定額かかりましたが、現在はかからない業者ばかりになっています(基本通貨が千通貨の場合などは手数料がかかることもありますので、必ず確認しましょう)。

その他、口座維持手数料もかかりませんし、出金手数料もかかりません(海外のFX業者は該当しません)、システム使用料も情報利用料も無料なのです。取引ツールが完備されており、チャートもいつでも自由に見ることができますし、経済指標などの発表も確認することができて無料なのはとても嬉しいサービスです。

ではFX取引業者はどこで利益をあげていくのでしょうか?

それがスプレッドです。買値と売値の差額分が業者の取り分となります。そう考えてみると、スプレッド分が手数料のようなものです。しかも取引回数だけスプレッド分を支払うことになりますので、一日にたくさんトレードする分だけ手数料を支払っていることになるわけです。

スプレッドの仕組み

FX取引会社によってスプレッドは違う

どこのFX取引業者であってもスプレッドが同じであれば、あまり大きな問題にはならないでしょう。しかし、実際は業者によってスプレッドの設定が異なるのです。

例えば最もメジャーな通貨ペアである「米ドル/円」(USD/JPY)について見ていくと、スプレッドが狭い業者だと「0.3銭」となっています。日常生活では扱う金額の最低は1円ですから、0.1銭といえば1円の100分の1になります。0.3銭と聞くと「なんて安い手数料なんだ」って思いますね。

ではスプレッドを広く設定している業者だとどのくらいになるのでしょうか?

広くてもだいたい「1銭」です(中には4銭という業者もあります)。0.3銭と1銭では、3倍以上の開きがありますから、トレーダーの多くがより手数料を払わずに済むスプレッド0.3銭の業者を選択するはずです。

ただ、業者によって得意な通貨というものがあり、「米ドル/円」のスプレッドが狭く設定されているからといって、すべての通貨ペアのスプレッドが他に比べて狭いわけではありません。「米ドル/円」のスプレッドが広くても、「トルコリラ/円」のスプレッドは狭いという長所があったりします。

ですからFXを始める際は、ひとつの取引業者に絞らず、複数の取引業者で口座を作り、扱う通貨ペアに合せて取引する業者を変えていくのが効率的です。

 

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カバー先の銀行の影響

なぜFX取引業者によってこのようなスプレッドに差が生まれるのでしょうか?

トレーダーは取引業者を通じて注文するわけですが、その取引業者は複数の銀行や証券会社と提携しており、インターバンク市場の為替レートの中から最もトレーダーに有利なものを選んで発注してくれることになります。

FX取引業者のカバー先の銀行などのことを、FXでは「カウンターパーティ」とも呼びます。大手の有名取引業者は多くの提携先があるため、トレーダーに有利なレートを選択でき、スプレッドの面で有利になります。カバー取引先が少ないと、そういった選択が限定的になってしまいますので、なかなかスプレッドを狭めることができず、また、突発的なことがあるとすぐにスプレッドが広がってしまうのです。

スプレッドでどれだけの差が生まれるのか

米ドル/円(USD/JPY)で比較してみよう

それでは、実際にスプレッドの開きによって、トータルでどれだけの差になるのかを確認していきましょう。

米ドル/円のスプレッドを0.3銭に設定しているA社と、1銭に設定しているB社を比較してみます。基本通貨は1万通貨、1Lotでトレードしたとしましょう。

A社の場合、スプレッドが0.3銭なので、1Lotのトレードで支払う手数料は30円です。

B社の場合、スプレッドが1銭なので、1Lotのトレードで支払う手数料は100円です。

同じトレードにも関わらず、この時点ですでに70円もの開きがあるのです。もし一日10回トレードしたとすると700円ですね。土日はお休みでトレードできませんので、月に20日トレードしたとして、一ヶ月で14,000円の違いです。これを一年間続けると、勝ち負けに関わらず、168,000円もの差が出るのです。

もし1Lotではなく、10Lotでトレードしているのであれば、なんと1,680,000円もの手数料の差です。0.3銭や1銭といえばまったく気にならないような金額かもしれませんが、塵も積もれば山となるということで、大きな差になります。

トータルで計算すると大きな違い

こう考えてみるとスプレッドとしてかかる取引コストは馬鹿になりません。スプレッドが0.3銭だとして毎日1Lotで10回トレードしていけば、一年間で72,000円もの取引コストになる計算です。これはかなり高額です。

スプレッドなしの状態で年間10万円の利益が出たと考えても、実際はスプレッドがあるので72,000円ほど引かれ、28,000円の利益にしかなりません。

もしこれがスプレッド1銭であれば、一年間で24万円の取引コストを引くことになります。10万円の利益ではとてもまかないきれませんね。逆に考えると、24万円のマイナス状態からスタートして、プラスの収支まで勝たなければならないということになります。

ということで、FXでは、トータルで勝つためのコツのひとつとして、「スプレッドは狭い方が利益を出しやすい」ということが挙げられます。当然の話かもしれませんが、FX初心者は、どうすれば勝てるのか、負けずに済むのかということだけでなく、なるべく勝ちやすい環境を整えることをまず考えましょう。

原則固定の罠!

流動性によってスプレッドは変化する

スプレッドが通貨ペアによって大きく異なるのには、流動性が影響しています。スプレッドは「取引量が多くなれば多くなるほど狭くなり、取引量が少なければ少ないほど広くなる」という傾向があります。

ですから基軸通貨である対ドルの通貨ペアはスプレッドが狭く、マイナー通貨のペアは流動性に乏しいためにスプレッドが広いのです。

マイナー通貨は変動が激しくハイリターンを期待できるので、取り扱いたくなりますが、FX初心者はスプレッドのことを配慮して、米ドル、ユーロ、円の組み合わせで始めていくのがおすすめです。

スプレッドが広くなるタイミングに注意

ただし、メジャー通貨のペアであったとしても、市場の状況によって変化することがあります。「原則固定」というのは、そうじゃない時もあるということです。

月曜日のスタート直後など、早朝の取引量が少ない時間帯はスプレッドが広がります。米ドル/円で、0.3銭のスプレッドが、1.0銭以上まで広がるのです。夕方以降の欧米市場などがオープンしている時間帯は基本的にはスプレッドは狭く提示されます。

また、取引量が急増し、為替レートが大きく変動した際にも、FX取引業者が対応できなくなるため、スプレッドを広げます。米国の雇用統計、GDPなどの経済指標の発表時や、テロや戦争などのネガティブサプライズが発生した際などが該当します。

サプライズは突発的な事態なので対応は難しいですが、有力な経済指標の発表については事前に時間帯が決まっています。多くのFX取引会社がこういった経済指標の発表の直前からスプレッドを広げる傾向がありますので、注意してください。

つまり、原則固定というのは、一番トレードしたい時にスプレッドが広がっている可能性があるということです。

スプレッドは狭ければいいのか?

スプレッドが狭い会社を選ぶメリット

カバー取引先が多い方が、スプレッドが安定するのは確かです。世界中の銀行や証券会社などがカバー取引先になっており、その数20社を超えるFX取引業者もあれば、わずか1社しかカバー取引先がない業者もあります。

カバー取引先が少ないということは、それだけリスクは高くなります。急激なレート変動によってスプレッドが広がるどころか、約定できないことも発生するからです。また、流動性が低く、トレーダーの希望通りのレートで約定できず、スリップページが発生する可能性もあります。こうなると利益半減どころか、逆に損失になるかもしれません。

スプレッドが広い、狭いだけで判断せず、FX初心者はそのFX業者のカバー取引先がどのくらいあるのかもしっかり確認しておくべきでしょう。(各FX業者のHP参照)

ただ、「カバー取引先が多い=スプレッドが狭い」という傾向はありますので、スプレッドが狭い業者を選ぶということは、取引コストを軽減できるだけでなく、その他のリスクも軽減することができるでしょう。

スプレッドが狭い会社を選ぶ際の盲点

FXの業界ではスプレッド競争が激しいため、広いスプレッドで設定している業者は顧客を集めることが難しくなっています。ですから、スプレッドを狭く設定し、その分、他からコストを回収しようとする業者も登場してきます。回収方法として多いのは、「意図的なスリップページ」です。

システムが追いつかないからではなく、業者が利益をあげたいためのスリップページですから、これは単純に悪徳業者と言えるでしょう。

独自のプラットフォームを利用して、レート自体を改変するケースもあります。トレーダーは不利な状況であることを知らずに、そのまま取引を続けていくこと可能性もあるのです。

スプレッドの狭さだけに目を向けるのではなく、多くの情報を開示し、透明性の高い取引業者を選ぶという視点を忘れずにいてください。

まとめ

ということで、今回はFXのスプレッドについて詳しくお伝えしてきました。ぜひ安心して取引できる業者を選択しつつ、できるだけ取引コストを抑えて、トータルで勝てるトレーダーを目指してください。勝つためには、どこの業者と取引するのかといった環境整備はとても重要なのです。

スプレッドや通貨ペアについてのより詳しい知識、スリップページなどの注意点について、もっと基本から学びたいのであれば、無料学習コンテンツ「FXトレーディングカレッジ」をぜひ、有効活用してください。



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鈴木 拓也

東京工業大学大学院卒。メガバンクの国内・海外支店にて為替ディーラー業務を経験後、独立。現在は、自己資金で投資を行う傍ら、FXを中心とした投資スクールを運営。日本証券アナリスト検定協会会員(CMA)。