今回の記事でわかること

  • ボリンジャーバンドの意味や見方
  • ボリンジャーバンドを使ったFXトレード手法
  • 誤ったボリンジャーバンドの使い方

この記事では、上記を中心にメガバンク出身のプロがボリンジャーバンドについて解説をしていきます。

一見複雑そうに見える「ボリンジャーバンド」も、その使い方を覚えれば、トレードをするタイミングや利益確定のポイントを教えてくれる有益なツールとなります。

しかし、ネットや本などにはボリンジャーバンドの誤った使い方を教えている人たちも多く、それらの情報を信じてしまうと大きく負けるリスクがあります。

ボリンジャーバンドについて学習したい初心者は、この記事を最後まで読むことでボリンジャーバンドの見方や使い方をほぼ理解出来るようになるでしょう。

この記事の執筆者
suzuki_gazou

鈴木 拓也
株式会社フィンテラス代表取締役

  • 三井住友銀行で為替ディーラー業務を経験して独立
  • 純資産4億円をFXや株で運用中|2023年利益+5,000万円超
  • 著書「7日でマスター FXがおもしろいくらいわかる本」「世界一やさしい FXチャートの教科書 1年生」など
  • 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト

詳しいプロフィールはこちら

 

ボリンジャーバンドについて動画で学ぶ

まずは、ボリンジャーバンドの仕組みや基本的な使い方について動画で学習しましょう。

動画が見れない方は、文章でも説明していますので読み進めていきましょう。

 

鈴木拓也鈴木拓也

動画をご覧になった方も、以下の記事を読むことで復習でき、より理解が深まりますよ!

ボリンジャーバンドとは

ボリンジャーバンドとは、米国の投資家であるジョン・ボリンジャー氏(1980年代)が開発したテクニカル分析手法の一つです。

ボラティリティ(価格変動率)を示す標準偏差が利用されており、相場の方向性を示すだけでなく、ボラティリティの変化に応じてバンドが縮まったり広がったりして次の値動きを予想できる非常に優れたテクニカル分析ツールです。

鈴木拓也鈴木拓也

「標準偏差」を一言で説明すると、平均値からどれくらい離れているのかを示す指標です。意味がよく分からなくてもボリンジャーバンドは使えますので安心してください!

ボリンジャーバンドは標準偏差のバンドで構成される

ボリンジャーバンドは一般的に現在レートの上に3つ、下に3つのバンドと、期間20の単純移動平均線から構成されます。

バンドは統計学上の標準偏差が使われており、上側に+1σ、+2σ、+3σ、下側に-1σ、-2σ、-3σのバンドがそれぞれ引かれます。

 

±1σ、±2σ、±3σの標準偏差の意味は、以下の確率でレートがそれぞれのバンド内に収まるという意味です。

標準偏差の意味

  • 1σ=68.26%
  • 2σ=95.44%
  • 3σ=99.74%

例えば、レートが±2σのバンド内に収まる確率は95.44%で、逆に±2σの外に外れる確率は4.56%です。

この説明だけを聞くと、「じゃあ、もしレートが±2σや±3σの外にあれば、そのうち元に戻るから逆張りで仕掛ければいいのか!」と思うかもしれません。

しかし、ボリンジャーバンドで逆張りは危険で誤った使い方です。

なぜなら、実際の相場では勢いよくレートが動いた時に、レートがバンドに沿って走る「バンドウォーク」という現象がよく起こります。

では、ボリンジャーバンドが何の役にも立たないかというと、そうではありません。

ボリンジャーバンドの最大の特徴はボラティリティの変化を一目で把握できることであり、相場のトレンドが発生する瞬間を狙うことができます。

それが、後ほど説明する「エクスパンション」と「スクイーズ」です。

ボリンジャーバンドではこの2点に着目することで、勝率の高いトレードを実現することができます。

ボリンジャーバンドの設定値

ここでボリンジャーバンドの基本的な設定値について説明します。

最も一般的に使用されている設定値は、以下の通りです。

ボリンジャーバンドの設定値

  • 期間20の単純移動平均線
  • バンド±2σ

移動平均線の期間はデフォルトでは20が設定されており、ほとんどの投資家がこの数値を使っていますので、特に変更する必要はないでしょう。

また、ジョン・ボリンジャー氏が推奨しているバンドは、±2σと言われています。

というのも、±1σのバンドは頻繁に到達してしまう他、±3σのバンドはほとんど到達しないため、最も使い勝手がいいのは±2σとなります。

ボリンジャーバンドによる逆張りは危険

ボリンジャーバンドでは、±2σのバンドには95.44%の確率でレートがバンド内に収まることを説明しました。

ここで、単純にレートがバンドの上限に達したから売り、下限に達したから買い、と逆張りのトレードをすることは危険です。

結構、この逆張りトレードのリスクを知らずに、「ボリンジャーバンドは逆張りで使う」と信じている人も多いですが危ないですね。

なぜなら、実際のチャートではレートがバンドに到達した後、さらにトレンドが加速してなかなか反転しないケースが相応にあるためです。

 

ボリンジャーバンドの概要

  • ボリンジャーバンドとは、価格変動率の変化をバンドで示したもの
  • 最もよく使われるバンドは±2σ
  • ボリンジャーバンドを使った逆張りは危険

ボリンジャーバンドによるFXトレード手法2つ

ここからは、ボリンジャーバンドを使ったFXのトレード手法を説明していきます。

今までボリンジャーバンドを使っていなかった方も、この使い方を覚えておくだけで、トレードの勝率が劇的に向上しますよ!

ボリンジャーバンドの手法

  • エクスパンションとスクイーズ
  • ±1σを使ったトレード手法

手法1:エクスパンションとスクイーズ

ボリンジャーバンドを使ったトレード手法の中で、最も有名で勝率が高いのが「スクイーズからエクスパンションが発生」する際のトレードです。

スクイーズ」とは、下図のように上下のバンドの幅が狭くなっている状態のことです。相場はトレンドが出ていないレンジ相場であり、ボラティリティ(価格変動率)が小さい状態であることを示しています。

そして、上下のバンドの幅が急拡大している状態が「エクスパンション」です。

スクイーズでは、相場は次なる大きな動きに向けてマグマをためている状態であり、何らかの拍子にその拮抗が崩れると、溜まっていたマグマが一気に噴き出すようにバンドが拡大し、レートが急激に動きだします。

では、スクイーズとエクスパンションを使ったトレード手法を説明していきます。

先ほど説明したように、スクイーズは次の爆発(レートが急に動き出す)前に相場がエネルギーを溜め込んでいる状態であり、ボリンジャーバンドでスクイーズが確認されたら、エクスパンションが起こる時を狙っていきます。

下図のチャートでは、最初、長いスクイーズの後、何かの拍子に拮抗が破れ、レートが急落しています。この時、ボンジャーバンドは上下にバンドが拡大していますので、このままレートが走る可能性が高く、ローソク足がバンドの外でクローズしたのを確認して、(1)で売りエントリーします。

そして、利益確定のタイミングは、バンドの反対側に着目し、反対側のバンドが反転したのを確認して利益確定をします。

今回の場合ですと、上側のバンドも一緒に広がっていますが、(2)のポイントで広がったバンドが縮まりつつあり、ここで利益確定するのが、ボリンジャーバンドの定石です。

なぜなら、バンドが急拡大することは、ボラティリティが上昇しているので一気にレートがその方向に加速する可能性を示唆していますが、バンドが縮むということはボラティリティが低下し、一旦そのトレンドの勢いが弱まる可能性を示しているからです。

 

上図の例では、その後、もう一度スクイーズが起きて、エクスパンションが発生しています。

この時は、(3)でローソク足がバンドの外側でクローズしているのを確認して買いでエントリーし、(4)でバンドが縮まりかけているのを確認して売り決済をします。

その後、レートはじりじりと上昇していますが、バンドが縮まり反転するリスクもあるので、ボリンジャーバンドを使ったトレードではバンドの縮まりでクローズが一般的なのです。

 

スクイーズとエクスパンションを使った手法

  • スクイーズから、エクスパンションが発生するタイミングを狙う
  • エクスパンションでローソク足がバンドの外側でクローズ後にエントリー
  • 反対のバンドが縮まったのを確認して利益確定

手法2:±1σを使ったトレード手法

±2σでのスクイーズとエクスパンションがボリンジャーバンドの最も有名なトレード手法ですが、±1σにも使い道はあるのです。

それは、±1σを超えたタイミングで順張りのエントリーをし、±2σで決済をするという手法です。

前述で、±2σは95%の確率でレートがそのバンド内に収まるが、エクスパンションでレートが一気に拡大することがありますので、逆張りでエントリーすることは危険だと説明しました。

しかし、逆に、±2σもしくは±3σに到達したら、ポジションをクローズするということであれば、特にレンジ相場の場合など、±2σ、±3σは有効に機能します。

 

例えば、下図のチャートであれば、(1)のポイントで+1σのボリンジャーバンドを下から上へ突き抜けた時点で買いでエントリーをし、+2σか+3σへ到達した時点で売りの決済をします。

もちろん、予想に反してレートが+1σを付けた後に反転する可能性もあるので、損切りもボリンジャーバンドの真ん中の移動平均線か反対の-1σに設定をしておけばリスクは限定されます。

また、以下のポイントでのエントリーも出来ますね。

(2)売りでエントリー
(3)買いでエントリー
(4)売りでエントリー
(5)買いでエントリー

細かいエントリーのタイミングや、利食いのタイミングは、自分でルールを決めるところです。

例えば、エントリーのタイミングでは抜けた瞬間にエントリーするよりも、ローソク足の終値が±1σの外側で確定した時点でエントリーする方が勝率はあがります(もちろん利幅は少なくなります)。

そして、利食いも、例えば、±2σ、±3σに達した瞬間ではなく、それらの内側でローソク足の終値が引けたことを確認すれば、レートが勢いづき、バンドの外側を走る動きをとらえて利益を伸ばすことが出来ます。

鈴木拓也鈴木拓也

どのテクニカル分析手法でもそうですが、100%の確率で勝てる手法なんてものはこの世に存在しません。上記の手法ですと、非常にボラティリティが小さい時などは、レートが±1σ内でちょろちょろ推移していると、±1σ抜けの時に順張りでエントリーしても、その後レートは反転し、負けてしまうというリスクもあります。

 

ボリンジャーバンドを表示するのにおすすめのチャートソフトは、MT4(メタトレーダー4)です。無料で使用でき、高性能なのチャートですよ。

関連記事:MT4(メタトレーダー4)とは?ダウンロードから使い方をプロが解説

関連記事:MT4でボリンジャーバンドの設定方法・色分けと使い方を解説!

ボリンジャーバンドとRSIを組み合わせ手法

ボリンジャーバンドは単体で利用するより、RSIと組み合わせることで更に勝率を高めることができます。

RSIと組み合わせた方法について動画で解説していますのでご覧ください。

ボリンジャーバンドの使い方まとめ

ボリンジャーバンドとは標準偏差を使った6本のバンドから構成されるテクニカル分析です。

ボリンジャーバンドの使い方やトレード手法で有名なものは、スクイーズとエクスパンションです。

ボリンジャーバンドを単純な逆張りのトレードで使うことは危険であり、スクイーズ(マグマが溜まっている)からのエクスパンション(爆発)をとらえてトレードすることが非常に有効です。

また、一般的には±2σが使われていますが、±1σや±3σをエントリーのタイミングや利益確定のタイミングに使用することも出来ます。

ボリンジャーバンドに加えて、オシレーター(RSIやストキャスティックス)などのインディケーターを組み合わせてトレードをする手法も有効です。

是非、自分に合ったボリンジャーバンドの使い方を身に付けていきましょう。

 

ボリンジャーバンドは単体で使うのではなく、MACDやRSIなどのオシレーターを組み合わせることで、より勝率の高いトレードが可能となるのです。

参考記事:MACDの見方と使い方は?FX億トレーダーが初心者向けに解説!

参考記事:RSIの見方・使い方・トレード手法をFXプロトレーダーが徹底解説!



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