こんな疑問を解決!
- FXのサヤ取りとは?
- サヤ取りでおすすめの通貨は?
- サヤ取りの注意点は?
今回はこんな疑問を解決していきます。
FXでスワップポイントの運用をしたいけど、為替リスクが怖いと感じる方は多いのではないでしょうか。
せっかく毎日コツコツとスワップポイントを受け取っても、為替レートが逆に大きく動いたら一瞬で今までの利益が吹き飛ぶリスクがあります。
そんな中、為替レートの変動リスクを排除し、スワップポイントだけを受け取る裏ワザがあるのです。
この方法を使えば、理論上はリスクゼロで、スワップポイントだけを得ることが出来ます。
それが、「スワップポイントサヤ取り(アービトラージ)」です。
今回の記事では、スワップポイントのサヤ取りとは何か?実際に稼げるのか?注意点は何か?について分かりやすく解説をしていきます。
鈴木 拓也
株式会社フィンテラス代表取締役
- 三井住友銀行で為替ディーラー業務を経験して独立
- 純資産4億円をFXや株で運用中|2023年利益+5,000万円超
- 著書「7日でマスター FXがおもしろいくらいわかる本」「世界一やさしい FXチャートの教科書 1年生」など
- 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
FXのサヤ取りとは
FXのサヤ取りとは異なるFX業者間で両建てし、スワップポイントの差額を獲得する手法です。
両建てをしているので、為替レートがどっちに動こうとトータルでの為替差損益は変わりません。
それでいて、スワップポイントだけを受け取れるので、理論上は絶対に負けない手法となります。
スワップポイントについて
基本的なところですが、スワップポイントとは、2国間の金利差から受け取る利息のことです。
FXでは高い金利の通貨を買い、安い金利の通貨を売る建玉を保有することで、スワップポイントを受け取ることができます。
逆に、高い金利の通貨を売り、安い金利の通貨を買う建玉を保有すると、スワップポイントの支払いとなります。
例えば、トルコリラ買い円売りのポジションを保有すればスワップポイントを受取れますが、逆に、トルコリラ売り円買いのポジションを保有すると、スワップポイントを支払う必要があります。
トルコ金利 | 日本金利 | 金利差 | ||
42.50% | - | (-0.10%) | = | 42.60% |
スワップポイント 算定基礎数値 | ||||
※低金利通貨を買った場合は、支払いになります。 ※こちらのスワップポイントが直接の金利になる訳ではありません。 ※2024年1月6日時点 |
スワップポイントを詳しく知りたい人は、以下をご覧ください。
関連記事:スワップポイントとは?FX会社おすすめ比較ランキング
サヤ取りのメカニズム
スワップポイントはFX会社毎に異なります。
例えば、ドル円のスワップポイントが、A社が買い+66円、売り-66円で、B社が買い+80円、売り-80円とします。
この時、A社で売り建玉を作り毎日66円のスワップポイントを支払う一方、B社で買い建玉を作り80円のスワップポイントを受け取ることで、差額の14円がまるまる利益になります。
ここで、売りと買いで、同じ数量の建玉を持つ事が前提です。これにより、為替レートの変動による損は事実上ありません。
つまり、ノーリスクでスワップポイントの差額分だけを受け取る裏技的手法が『スワップポイントのサヤ取り』なのです。
買いと売りの建玉を両方持つことを「両建て」と言います。
両建てについて詳しく知りたい人は以下をご覧ください。
関連記事:FXの両建て手法に意味はない?稼げない4つの理由を解説
FXサヤ取りにおすすめの通貨とFX会社
こんな魔法のようなスワップポイントのサヤ取りですが、本当に実現は可能なのでしょうか?
サヤ取りをするには、2つのFX会社を使って売りと買いの建玉を持つ必要があります。
ここでは、サヤ取りが実現しやすい米ドル円、豪ドル円、南アフリカランド円の通貨ペアで、サヤ取りが実現できるFX会社を紹介しています。
注意点として、スワップポイントは日々変動していますので、必ずサヤ取りが成功するわけではない点は覚えておきましょう。
なお、調査時点(2021年11月)では、豪ドル円のみサヤ取りは可能で、米ドル円と南アランド円ではサヤ取りが出来ない状態となっております。
米ドル円でおすすめのFX会社
米ドル円は日本人に最も馴染みのある通貨ペアで、スワップポイント投資にも人気です。
米国の低金利政策の影響で、昔は可能であったサヤ取りも、今は出来ない状態です。
以下はスワップポイントが高い会社と低いFX会社です。
売り建玉のFX会社
- DMM FX(-11円)
豪ドル円でおすすめのFX会社
豪ドルは昔は高金利通貨として人気が非常に高かったですが、今は米ドルよりもスワップポイントは低い水準になっています。
ただし、サヤ取りの場合は、買いと売りの差額を取る手法なので、スワップポイントが高い・低いは関係ありません。
以下のFX会社を使えば、豪ドル円でもサヤ取りが可能です。
売り建玉のFX会社
- DMM FX(-6円)
南アフリカランド円でおすすめのFX会社
南アフリカランド円は、米ドルや豪ドルよりもスワップポイントが高い高金利通貨です。
FX会社によってスワップポイントもバラつきが大きく、サヤ取りもチャンスが大きい通貨ペアと言えます。
売り建玉のFX会社
- DMM FX(-10円)
関連記事:南アフリカランド円スワップポイントFX会社比較ランキング
FXサヤ取りの3つの注意点
為替変動リスクを排除し、ノーリスクでスワップポイントの差額だけを取るサヤ取りですが、以下の3つの注意点があります。
サヤ取りの注意点
- スワップポイントの変動で差が無くなる可能性
- 通常のスワップ運用に比べて2倍の資金が必要
- 強制ロスカットに合うリスク
注意点1:スワップポイントの変動で差が無くなる可能性
サヤ取りの注意点1つ目は、「スワップポイントの変動で差が無くなる可能性」があることです。
スワップポイントは日々変動しており、確実にサヤ取りができる保証はありません。
スワップポイントの差がなくなることや、最悪の場合、買いと売りのスワップポイントが逆転し、両建てをすると、利益どころか損失が発生するリスクもあるのです。
なので、サヤ取りをする場合は、日々のスワップポイントの動向は必ず追うようにしましょう。
注意点2:通常のスワップ運用に比べて2倍の資金が必要
サヤ取りの注意点2つ目は、「通常のスワップ運用に比べて2倍の資金が必要」になることです。
例えば、A社とB社でスワップポイントのサヤ取りをする場合、同じ金額をA社とB社に預け入れる必要があります。
なので、例えば100万円分の運用をしたい場合には、A社とB社に100万円ずつ預ける必要があるのです。
もし、A社には100万円、B社には10万円しか預け入れないと、同じ取引数量にするにはB社でレバレッジを高くかける必要があります。
すると、注意点3にも関係してきますが、B社で強制ロスカットのリスクが高まります。
注意点3:強制ロスカットに合うリスク
サヤ取りの注意点3つ目は、「強制ロスカットに合うリスク」があることです。
サヤ取りでは、買いと売りの両方の建玉を保有するため、相場にトレンドが発生した時、片方の建玉は含み損が膨らみます。
ここで、レバレッジが高すぎると、含み損に耐えられずに、強制ロスカットになる可能性があるのです。
もう片方の建玉はほぼ同じ額の含み益が出ていますが、相場が急激に上下し、強制ロスカットに合った瞬間に含み益が減る方向に相場が動くと、トータルで損の方が大きくなるリスクもあります。
FXのサヤ取りを動画で解説(約9分)していますのでご覧ください。
FXサヤ取りのまとめ
FXのサヤ取りは、別々のFX会社で買いと売りの建玉を同時に保有し、スワップポイントの差益を狙う手法です。
売りと買いの建玉が同じ数量であれば、為替がどんなに変動しても、評価損益は変わりませんので、スワップポイントの差額だけを日々受け取ることが出来ます。
ただし、どんな手法にも100%勝てることが無いように、スワップポイントのサヤ取りにも以下のリスクがあります。
サヤ取りの注意点
- スワップポイントの変動で差が無くなる可能性
- 通常のスワップ運用に比べて2倍の資金が必要
- 強制ロスカットに合うリスク
スワップポイントのサヤ取り手法を理解し、しっかりと戦略を練って運用をしていきましょう。