こんな疑問を解決!
- トルコリラは終わった?復活するの?
- トルコリラの5年後・10年後の見通しは?
- トルコリラで上手に稼ぐ方法は?
トルコリラは高金利通貨として人気がありますが、長期に渡って下落トレンドが続いています。
果たしてトルコリラは今後、復活する可能性はあるのでしょうか?
今回の記事では、トルコリラの2024年以降の見通しと、これから上手に稼ぐ方法を解説します。
鈴木 拓也
株式会社フィンテラス代表取締役
- 三井住友銀行で為替ディーラー業務を経験して独立
- 純資産4億円をFXや株で運用中|2023年利益+5,000万円超
- 著書「7日でマスター FXがおもしろいくらいわかる本」「世界一やさしい FXチャートの教科書 1年生」など
- 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
トルコリラ/円が下落している要因
2023年11月時点で、トルコリラ/円は5.2円台です。
2023年最大の注目イベントであったトルコ大統領選挙(2023年5月下旬)では、インフレにも関わらず金融緩和を続ける現職のエルドアン氏の再選が決定しました。
これにより、一次はもみ合いで推移していたトルコリラ円は、さらなるトルコリラ下落を懸念した売りが強まり5月末から急激に下落しています。
トルコリラが下落している構造的な要因は以下の2つです。
トルコリラの下落要因
- 世界トップレベルのインフレ率
- 利下げが続く金融政策
世界トップレベルのインフレ率
トルコのインフレ率はアルゼンチンよりも高い世界1位なのです。
2023年11月に発表されたCPI(消費者物価指数)は前年同月比でプラス61.36%となっています。
前回の61.53%からはやや鈍化したものの、依然として凄まじいインフレで危機的な状況です。
要因としては9割以上輸入に頼っている石油や天然ガスといったエネルギーの高騰が挙げられます。
特に天然ガスはロシアに頼っており、今回ついに天然ガス支払いの期限延長を要請したというニュースも飛び交っています。
さらにロシアが軍事力増強のため動員令を発令したことで、ロシアから逃れた人がトルコの住宅価格をつり上げているのです。
利下げが続く金融政策
現在、世界各国でインフレを抑えようと金融引き締めを行い、さらに政策金利を引き上げているのが定石となっていますが、インフレ率が世界トップクラスでありながら逆行して利下げをしているのが現状のトルコです。
景気減速の予測から利下げに踏み切ったとトルコ中銀は発表していますが、エルドアン大統領の圧力で利下げが行われているのは周知の事実です。
中立であるはずのトルコ中銀がエンドアン大統領のコントロール下にあるというのが、トルコの実に大きなカントリーリスクになっています。
政策金利は2023年1月の9.00%から段階的に引き上げられ、10月には35.00%まで引き上げられました。
ただ、政策金利は高いものの、トルコ経済があまりに不安定なため、わざわざ危険な国に投資をするメリットはあまりありません。
金利を引き上げているより安全な米ドルなどに投資先をチェンジするのは自然の流れです。
トルコリラの5年後・10年後の予想
今後のトルコリラですが、結論から言えば、現状のままだと下降トレンドが続く可能性が高いです。
現政権のエルドアン大統領の独断専行がトルコ経済のリスクになっているからです。
【5年後】2028年までエルドアン政権が継続
2023年5月に実施されたトルコ大統領選挙では現職のエルドアン氏が勝利し、5年間はエルドアン政権が継続する見込みです。
過去のエルドアン政権下では、高いインフレ率にもかかわらず、エルドアン政権が利下げを強要したことからトルコリラは売られ続けました。
これはエルドアン大統領がインフレ抑制よりも、景気刺激策を優先しているからです。
エルドアン大統領は経済団体との会合で、「最大の敵は金利であり、利下げをしたが十分ではない。一段の低下が必要だ」と宣言しています。つまりこの先にも景気を優先した利下げが続く可能性が高いと言えます。
こうなるとトルコリラ売りが加速するのも致し方ない話です。
少なくとも、景気優先よりもインフレ抑制を目的とした利上げに舵を切らない限り、トルコリラが上昇に転じることは無いと思われます。
【10年後】エルドアン政権が交代した場合
転換期は5年後に開催されるトルコ大統領選挙です。
2023年5月に実施された大統領選挙ではエルドアン氏の勝利が確定しましたが、インフレによりトルコ内の経済が不安定になった場合、国民の不満が高まっていきます。
すると、与党と野党の支持率が拮抗し、野党6党が数十年ぶりに政権復帰の可能性も高まってきています。
そうなると正常な金融政策に舵を切ることになりますから、長らく下落トレンドだったトルコリラ/円も転換期を迎え、上昇トレンドに転じる可能性が十分にあります。トルコ政権の行方からは目が離せません。
仮にエルドアン大統領が次の選挙でも勝ち、任期がさらに伸びた場合、トルコリラ安はさらに加速する可能性があります。
日本はまだ金融緩和策を継続していますからトルコリラ/円自体は底でもみ合うということになりそうですが、数年後いよいよ日本も金融引き締めと舵を切った際にはトルコリラ/円は最安値を更新していきそうです。
1トルコリラ5円を割り込むことすら検討していかなければなりません。
日本との金利差でトルコリラ/円のロングポジションを大量に保有していた場合、暴落による為替差損で積み上げてきたプラススワップが簡単に吹き飛びますので注意してください。
5円を割り込むことはないだろうと値頃感だけでロングポジションを増やしていくことはリスクがあります。
トルコリラの特徴2つ
ハイリスクな通貨であるトルコリラですが、個人投資家には根強い人気があります。
ここで、トルコリラの特徴を一旦整理しましょう。
トルコリラの大きな特徴は以下の2点です。
トルコリラの特徴
- 高金利通貨
- 値動きが不安定
金利が高くスワップポイントが魅力的
トルコリラと言えば、「非常に金利が高い通貨」という特徴があり、FXや投資信託などで人気の投資先になっています。
特にFXでは、スワップポイントという金利利息を毎日受け取ることができるので非常に人気です。
トルコ金利 | 日本金利 | 金利差 | ||
42.50% | - | (-0.10%) | = | 42.60% |
スワップポイント 算定基礎数値 | ||||
※低金利通貨を買った場合は、支払いになります。 ※こちらのスワップポイントが直接の金利になる訳ではありません。 ※2024年1月6日時点 |
例えば、トルコリラ円を1万通貨保有し、1日のスワップポイントが120円だとすると、毎日120円が増え続け、1年後には保有しているだけで43,800円も資金が増えています。
値動きが不安定
また、トルコリラは、米ドルやユーロなどの主要通貨と比べて取引量が少なく、短期的に相場が急変動するリスクがあります。
ドル円であれば、10~20%も急激に変動することは考えにくいですが、トルコリラであればそのリスクはあり、過去にも一瞬で10%近い下落率を記録しています。
なので、仮にFXでレバレッジを10倍にして運用していたら、変動率も10倍となりますので、一瞬で強制ロスカットになるリスクがあります。
トルコリラで稼ぐ投資方法
そんな復活する可能性のあるトルコリラですが、闇雲に投資をするにはやはり危険な行為と言えます。
ハイリスクな通貨なので、出来る限りリスクを抑えた投資をするべきです。
トルコリラで絶対にしてはいけない投資法
不安定なトルコリラで絶対にしてはいけない投資は、「今が底だと考えて全資金を一括で投入する」ことです。
これははっきり言って最悪な投資です。
トルコリラ円は過去最安値を更新し続けており、今が底かどうかは誰にも分かりません。
余剰資金で、長期投資で資金を一括で投じるのであればまだ分かりますが、FXでレバレッジ(預入資金の何倍もの売買が出来る仕組み)をかけて投資すれば、資金を失うリスクが高いと言えます。
では、トルコリラに対してはどんな投資がおすすめなのでしょうか?
トルコリラでおすすめできる投資法
トルコリラ投資で本気で稼ぐためには、トルコリラという為替の特徴を最初に理解する必要があります。
まず、トルコリラはトルコの通貨です。そして、国の通貨である以上が、株のように企業が倒産して価値がゼロになるリスクはほとんどありません。
(トルコリラがゼロになる時は、トルコの国がデフォルトする時です。そんな時は、グローバルに金融危機が広がりますので、日本も無事では済まされないでしょう。)
そして、トルコ経済は、人口構成をみても若年層人口が増加しているので、長期的には景気が上昇していく可能性があります。
以上、①トルコリラは価値がゼロになるリスクは少ない、②将来的には景気が良くなる可能性がある、を踏まえると、長期目線で投資をすることが最適です。
しかしこれでは、「結局、いつのタイミングがいいのか?」という問題を解決していません。
そこで登場するのが、『分散投資』という考え方です。それも、投資の種類を分ける分散ではなく、投資するタイミングを分ける時間の分散です。
分散投資とは?
分散投資とは、購入するタイミングを一度だけでするのではなく、例えば、2回に分散したり、4回に分散したりと、いくつかに分ける方法です。
一括でトルコリラに投資した場合、その後、トルコリラが下がり続ければ、含み損がどんどん拡大します。そして、最終的にトルコリラが上昇に転じたとしても、含み損が解消されるまで時間がかかるかもしれません。
一方、分割でトルコリラに投資した場合、最初に購入したあとトルコリラの価格が下がっても、その後に購入をし続けることで「平均購入価格を抑える」ことができます。
そして、最初の購入価格まで価格が戻らなくても利益が発生し、より大きな利益を狙うことができます。
分散投資で「ドルコスト平均法」と呼ばれる投資法がありますが、詳しく知りたい人は【FXドルコスト平均法のメリット・デメリットを徹底解説!】をご覧ください。
トルコリラにおすすめのFX会社
トルコリラ円のおすすめのFX会社は、以下の「LIGHT FX」と「みんなのFX」です。
どちらも東証スタンダード市場に上場しているトレイダーズ証券が運営しているFX会社であり、信頼性が高く、スワップポイントも高水準です。
LIGHT FX
スプレッド(米ドル円) | 通貨ペア数 | キャンペーン |
0.2銭 (原則固定、例外あり) | 46通貨 | 最大1,000,000円 |
手数料 | 取引単位 | サポート体制 |
無料 | 1千通貨 | 平日7~22時 |
LIGHT FXはトルコリラ円で業界トップクラスのスワップポイントであり、また、スプレッドも1.6銭と非常に狭い水準となっています。
投資家の評判も高く、みんかぶFX年間ランキングでスワップ部門3年連続第1位となっています。
また、約定力も99.9%と高いので、万が一の場合も、取引が成立しやすい点も安心です。
みんなのFX
スプレッド(米ドル円) | 通貨ペア数 | キャンペーン |
0.2銭 (原則固定、例外あり) | 34通貨 | 最大1,000,000円 |
手数料 | 取引単位 | サポート体制 |
無料 | 1千通貨 | 平日7~22時 |
みんなのFXは、LIGHT FXと同じトレイダーズ証券が運営するFX会社で、スワップポイントやスプレッドも同水準となっています。
みんなのFXの方が昔からあるFX会社なので、口座開設数は多いです。
その他のFX会社を比較して検討したい場合はこちらをご覧ください。
⇒最新のトルコリラ円のスワップポイントFX会社比較ランキング
トルコリラの見通しまとめ
トルコリラ安の一番の原因は、独裁的な政治を行っているエルドアン大統領が、インフレに対して利下げを行っているためです。
本来、政府とは独立した存在である中央銀行に、大統領が干渉しており、エルドアン政権が続く限り、トルコリラ安が続く可能性が高いです。
一方で、足元ではトルコ国民の間で、通貨安やインフレに対する不満が高まっており、2023年の大統領選挙でエルドアン政権が交代する可能性があります。
そうなると、長らく続いたトルコリラ安に終止符が打たれ、トルコリラ高に転じる可能性も十分にあるでしょう。
しかし、「いつトルコリラ高になるか?」「トルコの大統領選挙はどうなるか?」は依然として不透明なので、投資をする際はレバレッジを低くし、投資時期の分散をするべきと言えます。