こんな疑問を解決!
- 単利と複利の違いは?
- FXで複利運用するといくら儲かるの?
- FX複利運用の注意点は?
投資の魅力の一つは、複利で運用が出来る点です。
それでは、FXで複利運用をした場合、どのように資産を増やすことが出来るでしょうか?
例えば、10万と少額からスタートしても、月利20%で資産を増やすことが出来れば、数年で1億円まで増やすことが出来ます。
そこで今回の記事では、FXにおける単利と複利の違い、そして、複利運用で1億円を稼ぐシミュレーションについてもお伝えしていきます。

鈴木 拓也
- 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
- 東京工業大学大学院修士課程修了(工学修士)
- メガバンクの本店・香港支店で為替ディーラー業務を経て投資家/実業家に転身
- 株式会社フィンテラス代表取締役
目次
複利の特徴とシミュレーションを動画で見る
FXの複利運用と、10万円から月利20%で運用をした場合、どれくらいの期間で1億円を突破するのか動画で解説していきます。

10万円を月利20%で運用した場合、3年2カ月で1億円を突破します。ただし、動画でも解説していますが、そもそも必ず月利20%を確保することは不可能なので、あくまでシミュレーションとしてとらえましょう。
FX複利運用の特徴:単利と複利の違いについて
それではFXの複利運用の説明に入る前に、単利運用と複利運用の違いが何かをしっかりと理解しましょう。
単利と複利の違い
- 単利:当初の投資額のみに利息がつく
- 複利:「投資額+利益」に利息がつく
単利運用とは?
単利とは、「当初の投資額のみに利息がつく仕組み」です。
例えば元本が100万円、年利10%で10年間運用した場合、単利ではどうなるのでしょうか?
1年後には利息が10万円上乗せされて、110万円となります。2年後にも同様で、利息は100万円の10%で10万円です。合計で120万円となります。常に毎年10万円ずつ加算されていきますので、10年後には10万円×10で100万円分の利息ですから、合計で200万円ですね。
利息が一定なので、20年後も、30年後も計算はとても簡単です。
複利運用とは?
それでは今回注目する複利ではどうなるのでしょうか?
複利とは、「投資額+利益に利息がつく仕組み」になっています。つまり加算される利息が変化していくことになるのです。
先ほどと同じく、元本が100万円、年利10%で10年間運用した場合、複利ではどうなるのか計算してみましょう。
1年後は単利も複利も結果は同様です。10%の利息がつくので、110万円となります。違いはこれ以降です。2年後は、110万円の10%が利息となりますので11万円の利息がつくのです。10年後はこれまでの収支236万円の10%、23万円が利息となって、合計で約259万円となります。
なんと、単利運用と複利運用では元本が同じでも10年後には59万円もの差が生まれています。
これが元本100万円で年利20%だと、単利運用で10年後には300万円になっているのに対し、複利運用では10年後に約619万円になります。319万円の差ですから、実に倍以上に資産が膨れ上がっているのです。
これが複利運用の効果です。雪だるま式に資産が増えていくことになります。ですから資産運用は複利に人気が集まるのです。
FXの仕組みや始め方について知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
記事:【FX入門】FXとは?を基礎から全8記事で銀行員が解説するよ!
FX複利運用で1億円を稼ぐシミュレーション
それでは次に、この複利運用の凄さを10万円から「1億円」稼ぐためにはどれくらいの時間を要するのかを見ていきましょう。
一見すると、10万円から1億円は無理そうに感じますが、複利運用をすれば驚くべきスピードで達成出来るのです。
10万円を月利20%で複利運用した場合
FXの広告・宣伝ではよく「1日10pipsの複利運用で■■日で■■■円到達!」といった驚くべき結果を目にします。これらはどこまで信憑性があるのでしょうか?
仮に10万円の元本で、月利20%の複利運用を続けた場合をシミュレーションしてみましょう。
月利20%を達成するには、レバレッチ10倍で200pips、レバレッチ20倍だと100pipsで実現可能です。1日で100pips勝つことだってできるくらいですから、1ヶ月あれば充分だと考えるトレーダーも多いでしょう。
これを毎月続けていき、38ヶ月後には資産はどのくらいになっていると思いますか?
元本が10万円ですし、3年ちょっとですから、50万円くらいかな? 100万円に届かないくらいかな? と考えるかもしれませんが、月利20%の複利計算をしていくと、38ヶ月後にはなんと「1億円」を突破しています。ちなみに4年後には6億円を突破し、5年後には56億円を突破していることになるのです。
月利20%の複利運用を実践すれば、誰でもあっという間に億万長者になってしまいます。
シミュレーションは机上の空論
この計算に誤魔化しはありませんので、確かに38ヶ月の複利運用で資産は1億円となります。理論上、計算上は可能なのです。
しかし、これはあくまでも机上の空論です。実際にFXの投資を行い、この計算通りに達成することは99%無理でしょう。これは実現不可能なシミュレーションなのです。
理由は後述しますが、このシミュレーションを提示してモチベーションを高めるような「セミナー」や「教材販売のサイト」、「塾」などがあったら、まず疑うべきです。実際に可能であれば、誰もセミナーや塾など開催せずに、複利運用だけをして儲けているはずです。運営側もそれができないから餌としてぶらさげているだけに過ぎません。
複利運用の2つの注意点
「FXで複利運用をすれば稼げるぞ!」と意気込んでいる方も多いと思いますので、2点ほど複利運用の注意点を述べておきます。
上で説明した複利運用はあくまで理論上であり、実際は、以下の2つの注意点があります。
FX複利運用の注意点
- 想定利回りを維持することは困難
- 人間の感情が妨げとなる
注意点1:想定利回りを維持することは困難
ではなぜこのシミュレーション通りの複利運用ができないのでしょうか?
理由は大きくふたつあります。ひとつは相場の変動が一定ではないということです。大きく動くこともあれば、動きが小さなこともあります。上下の見通しが立てやすい時もあれば、ネガティブサプライズなどによって思いもよらぬような急落に直面する時もあるのです。
例えば1ヶ月目は目標を達成し、20%の月利を確保したとします。2ヶ月目も23%と安定しています。ここまでは順調ですね。しかしずっと勝ち続けることなど剛腕トレーダーでも不可能な話ですから、目標を達成できず損失を出す月も出てきます。
3ヶ月目がマイナス8%になった時、4ヶ月目は負けた分を取り返そうと必死になります。FXは自分で決めたルールをいかに守るかで勝敗が変わってきます。そのルールを無視して、エントリーする機会を増やしたり、レバレッリを増やしたりすると、リスクがどんどん高まっていくのです。結果として3ヶ月目をはるかにしのぐような損失を生み出し、強制ロスカットのような状態に追い込まれることになるでしょう。
マーケット環境の変化は予想通りにはいかず、同じ手法でトレードしても利回りは維持できないというのが、シミュレーション通りには運用できない点です。
FXで稼ぐ方法について、以下の記事をご覧ください。
記事:FXで稼ぐ『たった3つの方法』とは?初心者が負ける2つの理由も解説
注意点2:人間の感情が妨げとなる
マーケット環境に合せて、自分のルールを堅実に守っていくことが重要になりますが、金額が大きくなるにつれて冷静なトレードができなくなります。
例えば10万円の含み損であれば、割り切って損切りすることもできるでしょうが、資産が膨らむと、利益確定や損切りの金額も大きくなるので、同じルールを徹底するということになると、1,000万円の含み損を割り切って損切りする必要性も出てきます。
恐怖心も大きくなりますし、欲望も大きくなります。そんな自分の心理状態をコントロールし、集中してルールを徹底できる精神力を養わなければなりません。経験を積まなければ克服することは困難な状況です。
こうして月利20%は、人間の感情が妨げとなって崩れていくのです。
FXで感情を排除する方法については、以下の記事をご覧ください。
記事:FXで感情を完全に排除してコントロールする2つの方法とは?
複利の効果を上手く使って運用しよう
まず、資産運用で複利はとても威力があり、重要です。ただし、高い利回りを維持するシミュレーションは無理があります。月利10%を目指すことは、年利120%を目指す以上のハードルの高さです。
「史上最高の投資家」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏は50年近く資産を運用し大きな成功を収めていますが、それでも年利で20%前後です。
FXの初心者は特に、現実的で、無理のない利回りを設定し、焦ることなく、冷静に柔軟に対応していくことが大切になります。
FXの複利運用は、スワップポイント狙いの投資も有効です。やり方や実績を以下の記事で公開していますのでご参考下さい。
記事:スワップポイント運用の実績公開、不労所得で生活を目指す方は必見!


