数あるテクニカル分析の手法ですが、その中でも日本人が考えて、世界的に有名なったものが「一目均衡表」です。

その理論は非常に奥が深い反面、使い方はシンプルで、視覚的に相場の状況を判断することが出来るので、初心者の方でも非常になじみやすいテクニカル分析の一種です。

今回の記事では、元大手銀行(メガバンク)為替ディーラーを経験し、現在は個人投資家として活躍している筆者が、「一目均衡表」の基礎的な使い方から、役割、そして実際のトレードの仕方について徹底解説していきます。

最後までお読み頂ければ、一目均衡表のおおまかな概要が理解できるかと思います。

1. 一目均衡表の概要

一目均衡表は日本が生んだ、世界で使用されているテクニカル分析手法の一つで、雲の向きや線(基本線、転換線、遅行線)を使って相場の将来の値動きを予想することに適したツールです。

実際に、私もトレードの際に一目均衡表を使って相場の行き先を予想することもありますし、私が海外駐在でディーラーをしていた時も、周りの外国人の同僚もこの一目均衡表を使っている人が多くいました。

1.1  一目均衡表とは?

一目均衡表は、日本人である株式新聞の記者であった細田悟一氏(ペンネーム:「一目山人」)によって発表されたテクニカル分析手法です。

少し難しく概要を説明すると、市場価格の形成パターンである「波動論」、ボラティリティの現状を図る「水準論」、時間的な傾向を分析する「時間論」の3つから構成されています。

言葉で説明すると、少し難しいですね。ですが、実際にチャートを見てみるとすごく分かりやすいです。

下図のチャートは、実際にドル円のチャートで一目均衡表を表示したものですが、その名の通り、「一目見れば」、雲の向きや雲と価格の位置、そして各線(基準線、転換線、遅行線)の動きによって、将来の値動きを予想する体系だったテクニカル分析手法なのです。

1.2 一目均衡表の仕組み

では、一目均衡表の仕組みを見てみましょう。

一目均衡表は、以下の構成要素から成り立っています。

転換線・・・赤線(現在に表示)
基準線・・・青線(現在に表示)
遅行スパン・・・横線(過去に表示)
先行スパン1(上昇雲)・・・水色の領域(未来に表示)
先行スパン2(下降雲)・・・紫色の領域(未来に表示)

他のテクニカル分析手法では、未来や過去の時間軸にインディケーターを表示することは珍しいですが、一目均衡表ではこのように、雲を現在のレートよりも未来にずらして表示させ、更に遅行線を過去にずらして表示した、「時間論」の概念を取り入れた非常に優れたテクニカル分析なのです。

1.3 一目均衡表の構成要素の詳細

では、ここからは少し複雑になりますが、一目均衡表を構成するそれぞれの基本的な要素を説明していきます。

転換線
:(当日を含む過去9日間の高値+当日を含む過去9日間の安値)÷2
基準線
:(当日を含む過去26日間の高値+当日を含む過去26日間の安値)÷2
遅行スパン
:当日の終値を、当日を含む26日前(過去)の位置にずらして表示
先行スパン1(上昇雲)
:(基準線+転換線)÷2
先行スパン2(下降雲)
:(当日を含む過去52日間の高値+安値)÷2
※先行スパン1と先行スパン2は、当日を含む26日先へ表示
※先行スパン1と先行スパン2で囲まれた領域を、雲と呼ぶ

一目均衡表を構成する要素は、上記の計算式でそれぞれ計算されています。移動平均線は終値の平均値を取っていますが、一目均衡表の場合は、「高値と安値の中間値」を取って線で結んでいくことになります。

1.4 一目均衡表の設定値について

さて、上記は一目均衡表のデフォルト値として使われる値をもとに各構成要素の中身を説明しました。

他のテクニカル分析においてもそうですが、よくパラメーターの値をどんな数字を使えばいいのかという質問を受けます。これに関しては、私は原則、デフォルトの数字(最も標準的と考えられている数字)を使うべきだと常に考えています。

そもそも、テクニカル分析が機能するのは、世界中のトレーダーが同じテクニカル分析手法を用いているため、あるパターンが完成した時には売買が膨らみ、レートが大きく動くのです。

最適化をして自分オリジナルのツールを作るのはいいのですが、それが世界中のトレーダーが全く使っていないものであったら、機能するかどうかは甚だ疑問です。

2. 一目均衡表の使い方

ではここからは、具体的な一目均衡表の使い方について見ていきましょう。一目均衡表にも、各構成要素を使って実に様々な使い方がありますが、今回はその中でも特に重要で実践で活きる方法を紹介してきます。

2.1 一目均衡表のトレンド転換シグナル:三役好転(逆転)

一目均衡表において、最も有名でよく使用されるのが、「三役好転」もしくは「三役逆転」と呼ばれる、トレンド転換のシグナルです。

では、それぞれについて見ていきましょう

2.1.1  三役好転の条件

一目均衡表において、明確な上昇トレンドのシグナルとされているのが、「三役好転」と呼ばれるパターンです。

三役好転の完成パターンは、以下の3つの条件が全て揃った時です。

① 転換線が基準線を上抜け、基準線が横ばい、もしくは上向き
② 遅行線が過去の為替レート(ローソク足)を上抜け
③ 現在レートが(ローソク足)が、雲の上限を上抜けた

では、実際のチャートに一目均衡表を表示させて見ていきましょう。下図のチャートは、ドル円の日足に一目均衡表を表示させており、赤線が転換線、青線が基準線、横線が遅行線となっています。

(1)で、ローソク足が雲の上限を上抜けしており、(2)で遅行線が過去のローソク足を上抜けしています。その後、(3)で転換線が基準線を下から上へ抜けており、ほぼ横ばいとなっていますので、上昇トレンドのへの転換シグナルである、「三役好転」が完成しています。

ちなみに、紫色で塗られた雲の領域は、抵抗エリアとしての機能を持っており、度々、雲の付近でレートが反落しているのが確認できますね。そして、その雲を終に突き抜けましたので、それは明確な上昇トレンド転換へのシグナルとなるのです。

2.1.2 三役逆転の条件

そして、三役好転の逆に、下降トレンドへの転換シグナルとして、「三役逆転」があります。

三役逆転の完成パターンは、以下の3つの条件が全て揃った時です。

①転換線が基準線を下抜け、基準線が横ばい、もしくは下向き
② 遅行線が過去の為替レート(ローソク足)を下抜け
③現在レートが(ローソク足)が、雲の下限を下抜けた

下図のチャートを見ると、(1)で転換線が基準線を下抜けており、(2)で遅行線がローソク足下抜け、そして最後に、(3)でローソク足が紫色塗の雲を下抜けており、下降トレンドへの転換シグナルである「三役逆転」が完成しています。

実際にチャートを見ると、三役逆転が完成した後は、じりじりと下に下げているのが分かりますね。

2.2 雲は抵抗帯・支持帯として役割を持つ

三役好転と三役逆転だけが一目均衡表の使い方ではありません。一目均衡表では、雲が抵抗帯もしくは支持帯としての役割を持ちます。

下図のチャートでは、下向きの紫塗の雲が抵抗帯としての役割を果たしており、レートが雲の近くまで上昇していますが、(1)~(4)のポイントで見事に跳ね返されております。

また、一般的に、雲の抵抗力や支持力は、雲の厚さによって変わってくるとされており、分厚い雲はそれだけ大きな力を持った抵抗帯として機能しますし、薄い雲の小さい力しか持っていません。

その証拠に、(1)では分厚い雲にレートが上昇を阻止されていますが、(5)の雲は薄く、レートはついに雲の上限の上抜きに成功しています。

雲の見方のポイント
・雲が厚い時は、抵抗帯・支持帯としての力が大きい
・逆に雲が薄い時は、抵抗帯・支持帯としての力が大きい
・ねじれが起こると、相場の雰囲気が変化

2.3 転換線と基準線の値動きを見る

最後に、一目均衡表は、三役好転(逆転)と雲だけでなく、転換線と基準線に着目することで、相場の状況を判断することが出来ます。

例えば、(当日を含む過去26日間の高値+当日を含む過去26日間の安値)÷2で計算される基準線では、その傾きを見ることで、現在の相場のトレンドを把握することが出来ます。

基準線が横向きであれば、過去26日間の高値と安値が変わっていないということであり、相場は横ばいであると判断します。もし、基準線が上向きであれば、過去過去26日間の高値を、現在の為替レートが更新しているということなので、相場は明確な上昇トレンドが発生しています。逆に、基準線が下向きであれば、過去26日間の安値を、現在の為替レートが更新しているということなので、相場は明確な下降トレンドです。

そして、基準線と転換線のクロスにも注目です。

以下のチャートでは、(1)で、転換線が基準線を上から下へ抜けており、トレンド転換が近いことを示しています。その後、レートは、雲を下抜け、三役逆転が完成しています。

一方、(2)でも、同様に転換線が基準線を下抜けており、下降トレンドが継続していることを示しているのです。

3. まとめ

以上、一目均衡表の基礎とその使い方についてでした。一目均衡表の難点は、雲・転換線・基準線・遅行線と全て表示させると、チャートがごちゃごちゃになってしまい、他のテクニカル分析ツールを表示する余裕が無くなってしまうことでしょうか。

そのため、私は時々、チャートをカスタマイズして雲のみ表示させて使うこともあります。

今回説明した以外にも、他にまだまだ一目均衡表の使い方はありますので、是非一度自分でも試してみるといいでしょう。

 

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