今回の記事でわかること

  • 移動平均線の意味や種類
  • 移動平均線の基本的な使い方
  • 移動平均線の実践的なFXトレード手法

「移動平均線の基本的な仕組みを勉強したい!」「FXで移動平均線を使ってトレードをしたい!」

今回の記事では、このような方向けに、プロが移動平均線についてFX初心者でも理解できるように分かりやすく解説をしていきます。

一般的なテクニカル分析の本に書かれている内容は、この1記事で全てカバーしていますので、移動平均線を勉強したい人はじっくりと読み進めて下さい。

この記事の執筆者
suzuki_gazou

鈴木 拓也
株式会社フィンテラス代表取締役

  • 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
  • 東京工業大学大学院修士課程修了
  • 三井住友銀行の本店・香港支店にて為替ディーラー業務に従事し、投資家/経営者に転身
  • FXや米株インデックス、高配当株などで運用する億投資家
  • 著書「7日でマスター FXがおもしろいくらいわかる本」「世界一やさしい FXチャートの教科書 1年生」など

詳しいプロフィールはこちら

 

移動平均線を動画で学ぶ

動画で移動平均線の仕組みや使い方について図を使って解説しています。

動画で学習したい方はこちらをご覧ください。動画が見れない人は、この先の文章で勉強していきましょう。

 

鈴木拓也鈴木拓也

動画をご覧になった方も、復習で以下の記事を読めば、理解度がアップしますよ!

移動平均線の概要

移動平均線とは、過去一定期間の終値の平均値を線で結んだものです。

移動平均線を使うことで、今のトレンド状態やエントリーポイントを判断することが出来ます。

移動平均線の概要

移動平均線の仕組み

移動平均線は、例えば、期間10日であれば、直近の10日間の終値を合計し、それを10で割った数値を取ります。

そして、翌日以降は1日ずつずれていきます。これを順次計算し、線で結んだのが移動平均線となります。

移動平均線の仕組み

3種類の移動平均線

移動平均線には、①単純移動平均線(SMA:Simple Moving Average)、②加重移動平均線(WMA:Weighted Moving Average)、③指数平滑移動平均線(EMA:Exponential Moving Average)の3種類があります。

移動平均線の種類

  • ①単純移動平均線(SMA:Simple Moving Average)
  • ②加重移動平均線(WMA:Weighted Moving Average)
  • ③指数平滑移動平均線(EMA:Exponential Moving Average)

ここからそれぞれの簡単な特徴を説明していきます。

単純移動平均線(SMA:Simple Moving Average)

単純移動平均線は、上の例の通り、一定期間の終値を平均して表示させたものです。

一番シンプルな平均線ですが、例えば、相場が急に動いた場合など、期間内の全ての終値を単純に平均しているので、相場の急な動きに追随できないデメリットがあります。

加重移動平均線(WMA:Weighted Moving Average)

加重移動平均線は、単純移動平均線のデメリットを克服するため、直近の価格に比重を置いた平均線です。

例えば、5日平均線の場合、5日目(直近)の価格を5倍、4日目の価格を4倍、3日目の価格を3倍、と、直近の価格をその日数で掛けて、価格に重み付けをします。

指数平滑移動平均線(EMA:Exponential Moving Average)

そして、加重移動平均線へ更に複雑な計算を加え、進化させたのが指数平滑移動平均線(EMA)です。

相場の動きをいち早く反映させる分、感度は高くなりますが、ダマしが多いといったデメリットもあります。

どの移動平均線がいいのか?

初心者初心者

結局、3つの移動平均線のうち、どれが一番有効なんですか~?

鈴木拓也鈴木拓也

結論から言うと、どれが一番いいかなんて一概には言えない。「良いものには裏がある」じゃないけど、それぞれメリットもあればデメリットもあるんだ!ここでは、その違いを理解することが大切だよ!

以下は、SMAとEMAを一緒に表示させたチャートです。EMAの方が直近の価格に比重を置いていますので、より早くトレンド変化をとらえているのが分かりますね。

しかし、ダマしもその分多いので、チャンスだと思ってエントリーしても、負けてしまうリスクも大きいのです。

SMAとEMAの比較

 

このように、それぞれ一長一短があり、どの移動平均線が一番いいのかは一概には言えません。

ただし、世界ではEMAを使っているトレーダーが多く、初めて移動平均線を使う場合には、EMAから始めることをおすすめします。

もちろん、SMAを使って勝っているトレーダーもいますので、どちらも使って、自分に合った方を選ぶのがいいかもしれません。

また、WMAはあまり使っている人を見たことがありません。なので、移動平均線を使う場合は、EMAかSMAを選択するようにしましょう。

ちなみに、私はEMAを使っていますので、ここからはEMAを表示させて説明していきます。

鈴木拓也鈴木拓也

SMAとEMAの違いを理解した上で、初心者の方であれば、まずはEMAを試しに使ってみましょう!

 

※参考までに私が使っているチャートは、MT4(メタトレーダー4)という無料チャートソフトで移動平均線の分析におすすめです。

記事:MT4で移動平均線の設定方法・色分け・使い方を分かりやすく説明

記事:MT4とは?ダウンロード方法と使い方マニュアル

移動平均線の期間設定について

初心者初心者

移動平均線の期間はどれが一番いいんですか~?

移動平均線の期間については、15、21、25、50、75、100、200などの期間がよく使われています。

よく初心者の方は、移動平均線の「設定期間はどの数値が一番いいのか?」という疑問にぶつかるかと思いますが、結論から申し上げると、短期は15か25、中期は50か75、長期は100か200と、短期・中期・長期の中から一つずつ選択するのであれば、どれを選んでもOKです。

移動平均線の期間

  • 短期:15、21、25
  • 中期:50、75、100
  • 長期:200

というのも、移動平均線の期間は、世界中のトレーダーによってどの期間を採用しているかは完全にバラバラです。全員がEMAの50だけ見ている、ということではないのです。

そして、パラメーターの最適化を行うことは時間と労力の無駄です。(私もパラメーターの最適化に挑んだ時期がありましたが、そもそも経済環境等の変化により、その都度最適値が変わるので、費用対効果が合っていない事に気づきました(笑))

重要なのは、一度選んだ期間の移動平均線を、自分の中で消化し、実践において使いこなせるようになるという事です。

移動平均線は、為替マーケットという戦場において戦うための武器に過ぎません。

どんなに高性能な武器を保持していても、使い方が分からなければ全く役に立たないのと同じなのです。

移動平均線の基本的な使い方

では、移動平均線の概要はつかんで頂いたと思うので、その使い方について説明していきます。

移動平均線を使いこなせるようになるだけで、ぐっとFXでの勝率があがりますよ。

移動平均線は、向き・角度・ローソク足との位置に注目する

移動平均線を使う際には、『向き』、『角度』、そして、『移動平均線とローソク足との位置関係』を見極めることにより、相場の環境認識やトレードの手法を組み立てることが出来ます。

移動平均線の注目ポイント

  • 移動平均線の向き:トレンドを認識
  • 移動平均線の角度:トレンドの強弱を判断
  • ローソク足との位置関係:エントリーポイントを選定

では、それぞれ詳細を見ていきましょう。

トレンドの方向性の認識

まず、為替相場の動きは、上昇するか、下降するか、それとも横ばい(レンジ)かの3つしかなく、トレーダーは上昇している時は“買い”、下落している時は“売り”、横ばいの時は“様子見”の選択肢しかありません。

このトレンド判断をすることを「相場環境認識」と言います。

上昇トレンド下降トレンド横ばい
相場環境 FXトレンド FXトレンド FXトレンド
取引買い売り様子見

ここで、正確に為替相場のトレンドを判断する必要があるのですが、その時に有効なツールが移動平均線です。

移動平均線をチャートに表示させれば一目瞭然ですが、移動平均線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンドと判断することが出来ます。

そして、移動平均線の向きが横ばいであれば、相場は横ばいでトレンド無しと判断することが出来ます。

移動平均線によるトレンド把握

トレンドの強弱

移動平均線の角度は、そのトレンドの強弱を表します。移動平均線の角度が急な程、トレンドが強いことを示します。

逆に、角度が緩やかであれば、トレンドが弱いことを示し、トレンドの終焉が近づいていることを示唆しているのです。

下図のチャートの場合、下降トレンドから上昇トレンドに転換し、最初は緩やかな上昇でしたが、次第に上昇の勢いが強まり、移動平均線の角度が急になっています。

その後、上昇の勢いが弱まると、移動平均線の角度も緩やかになり、最後はトレンドが転換し下降トレンドに転換しています。

移動平均線によるトレンド強弱

このように、相場は波形のような動きをしているので、上への上昇はいつか弱まり、そして下向きへと変わります。

移動平均線のこの動きをとらえるだけでも、トレードの勝率は一気に上昇します。

エントリーポイントの判断

移動平均線の向き、角度、そして最後のポイントが、移動平均線とローソク足の位置関係です。

移動平均線とローソク足の位置関係は、重なりを除いて全部で6パターンに分けられます。

移動平均線とローソク足のパターン

  • ① 上向きの移動平均線で、ローソク足が移動平均線よりも上にある場合
  • ② 上向きの移動平均線で、ローソク足が移動平均線よりも下にある場合
  • ③ 下向きの移動平均線で、ローソク足が移動平均線よりも下にある場合
  • ④ 下向きの移動平均線で、ローソク足が移動平均線よりも上にある場合
  • ⑤ 横向きの移動平均線で、ローソク足が移動平均線よりも上にある場合
  • ⑥ 横向きの移動平均線で、ローソク足が移動平均線よりも下にある場合

 

①と③は、為替レートが移動平均線を先導しており、非常に強いトレンドが形成されていることを示しています。一方、②と④は、為替レートと移動平均線が逆行しており、トレンドが強い場合には、レートは移動平均線に引き寄せされる可能性があります。

そして、これらの移動平均線の向きとローソク足の位置や動きに着目をし、トレード手法として確立されたのが、次に説明する「グランビルの法則」です。

初心者初心者

移動平均線の使い方のコツは、(1)向き、(2)角度、(3)ローソク足との位置関係、に注目すればいいんですね!?

鈴木拓也鈴木拓也

その通り!これは移動平均線の基本中の基本だよ!では次に、移動平均線を使った有名な手法である「グランビルの法則」についてみていこう!

グランビルの法則

移動平均線を使ったトレード手法として、グランビルの法則という超有名な法則があります。(グランビルの法則は、米国の投資家:ジョゼフ・E・グランビル氏が考案)

グランビルの法則による売買手法は、下図のように為替レートと移動平均線の値動きのパターンにより構成されています。

グランビルの法則による売買手法

  • 買いエントリーのポイントは、①、②、③、④
  • 売りエントリーのポイントは、⑤、⑥、⑦、⑧

グランビルの法則

 

グランビルの法則について動画でも詳しく解説していますので、ご覧ください。

グランビルの法則による4つの買いシグナル

それでは、グランビルのそれぞれの詳細について説明していきます。

① 移動平均線が下向きから横ばいか上向きに変化し、レートが上抜け

一つ目の買いエントリーポイントは、もともと下向きであった移動平均線が、横ばいもしくは上向きになり、それをレートが上抜けた時です。

これはトレンドが横ばいもしくは下降トレンドから、上昇トレンドに変わった可能性を示唆しており、重要な買いのシグナルとなります。

もし、下向きの移動平均線を上抜けても、それはトレンド転換とは判断出来ないので注意が必要です。

② 移動平均線が上向きの中、レートが下へ乖離

二つ目の買いのポイントは、上向きにある移動平均線から、レートが下に乖離し、その反発を狙ったものです。

移動平均線がしっかりと上向きであれば、相場はまだまだ上昇トレンドなので、一時的な価格調整と判断し、買いで入ることが出来ます。

注意したいのは、移動平均線の角度が緩やかになり、トレンドの勢いが弱まっている時は、そのまま下に急落してしまうリスクもあるので注意が必要です。

③ 移動平均線が上向きの中、レートが近づき反発

三つ目の買いポイントは、移動平均線から上に乖離したレートが、移動平均線へ近づき、そこで反発したポイントを狙ったエントリーです。

これは、移動平均線は支持線・抵抗線としての役割を持っていることを利用したトレード手法です。

ただし、注意したいのは、上記でも説明していますが、各トレーダーでどの期間を使っているかはバラバラなので、必ずしも、そこが支持線・抵抗線として機能しないケース(つまり、ダマし)がよくあるということです。

④ 移動平均線が下向きの中、レートが下に大きく乖離

最後、四つめの買いポイントは、下向きの移動平均線を、レートが大きく下へ乖離した時、その自律反発を狙ったトレードです。

これは、「グランビルの法則」では買いポイントとされていますが、下降トレンドの中、買いでエントリーするという、逆張りの手法になりますので、かなりリスクが高い手法と言えます。

グランビルの法則による4つの売りシグナル

続いて、グランビルの法則による売りのエントリーポイントを説明していきます。

グランビルの法則による売買シグナル

⑤ 移動平均線が上向きから横ばいか下向きに変化し、レートが下抜け

売りのエントリーは、先ほどの買いシグナルを逆にしたバージョンと考えて下さい。

一つ目の売りポイントは、もともと上向きであった移動平均線が、横ばいもしくは下向きになり、それをレートが下抜けた時です。トレンドが横ばいもしくは上昇トレンドから、下降トレンドに変わった可能性を示唆しておりますので、売りのチャンスとなります。

もし、まだ上向きのままの移動平均線を下抜けても、それはトレンド転換とは判断出来ないのは、買いの場合と同様です。

⑥ 移動平均線が下向きの中、レートが上へ乖離

二つ目の売りのポイントは、下向きにある移動平均線から、レートが上に乖離し、その反落を狙ったものです。

こちらも、移動平均線がしっかりと下向きであることを確認してから売りでエントリーすることが重要です。

もし、移動平均線の角度が下向きから、横ばいや上向きになっている場合は、トレンドが変わっているリスクがあるので、そこで売りをしてしまうと、上昇トレンドの波に飲まれてしまいます。

⑦ 移動平均線が下向きの中、レートが近づき反落

三つ目の売りポイントは、移動平均線から下に乖離したレートが、移動平均線へ近づき、そこで反落することを狙ったエントリーです。

こちらも移動平均線の支持線・抵抗線としての役割を利用したトレード手法です。

⑧ 移動平均線が上向きの中、レートが上に大きく乖離

そして、最後四つ目の売りポイントは、上向きの移動平均線を、レートが大きく上へ乖離した時、その自律反落を狙ったトレードです。

ここでも同様に、上昇トレンドの中、売りでエントリーする逆張りのトレード手法になるので、リスクは高いでしょう。

初心者初心者

「グランビルの法則」なんてものがあるんですね!?全然知りませんでした~!

鈴木拓也鈴木拓也

グランビルの法則は、FXの世界だけではなく、株やそれ以外の相場の世界でも超有名なトレード手法の一つです。はっきり言って、これを使いこなせるようになるだけでも、トレードの勝率は一気に上昇するよ!

記事:グランビルの法則とは?売買ポイントとダウ理論を活用したFX手法

ゴールデンクロスとデッドクロス

「グランビルの法則」に続いて、もう一つの有名な移動平均線によるトレード判断の方法に、「ゴールデンクロスとデッドクロス」と呼ばれるものがあります。

ゴールデンクロスとデッドクロスは、異なる期間の移動平均線の交差に注目します。

ゴールデンクロスとデッドクロス

  • ゴールデンクロス:短期が中期を上抜け
  • デッドクロス:短期が中期を下抜け

ゴールデンクロスによる買いシグナル

ゴールデンクロスとは、短期移動平均線が、中期または長期移動平均線を下から上へ突き抜けることです。

ここで重要なのは、中・長期移動平均線が上向きもしくは横ばいの時に、短期移動平均線が上抜けすることです。

例えば、下図チャートの場合、(1)と(2)は、それぞれ短期EMA(青線)が、中期EMA(赤線)を下から上へ突き抜けたゴールデンクロスの形をしていますが、長期EMA(黄線)が下向き、つまり主要トレンドは下降であり、短中期のゴールデンクロスを持って「買いシグナル」とはなりません。

その証拠に、ゴールデンクロスを作った後、レートは勢いが強まらず、すぐに下落しています。

では、下のチャートの場合はどうでしょうか?

今度は、(1)で短期EMAが中期EMAを上抜けていますが、この時の長期EMAは横ばいとなっており、これはゴールデンクロスで買いのシグナルとなります。

また、(2)の短期EMAの長期EMAを上抜けた時も、長期EMAがやや上向きになっているので、主要なトレンドが上昇となっており、かなり高い確信を持ってロングでエントリーすることが出来ます。

その証拠に、その後レートはきれいな上昇トレンドとなっており、ゴールデンクロスによるトレードの成功を示しています。

デッドクロスによる売りシグナル

デッドクロスは、先ほどのゴールデンクロスとは逆に、短期移動平均線が、中・長期移動平均線を上から下へ突き抜けることです。

ここでも、その時の中・長期移動平均線の向きが、横向きか下向きになっていることが重要です。

中・長期の移動平均線が上向きの時、短期が下抜けしても、それはデッドクロスの売りポイントとはみなしません。

下のチャートの場合、(3)で短期EMAが、中期EMA、長期EMAを上から下へ突き抜けています。

そして、その時の中期EMAは下向き、長期EMAはやや下向きとなっているため、これはデッドクロスによる売りシグナルとなります。

初心者初心者

ゴールデンクロスとデッドクロス… 聞いたことはあったけど、あまりしっかりと理解していませんでした!

鈴木拓也鈴木拓也

スキャルピングなどの超短期売買はあまり関係ないかもしれないけど、スイングや長期トレードをする際には、この移動平均線の売買シグナルはすごい威力を発揮するよ!

しっかりと、ゴールデンクロスとデッドクロスをマスターしましょう!

移動平均線の実践的な使い方

ではここからは実際のチャートを使い、移動平均線を使ったトレード戦略を考えていきましょう。

移動平均線の基本ですが、単線ではなく、短期・中期・長期の3本セットで使っていきます。

鈴木拓也鈴木拓也

では、移動平均線を使った、その他の実践的なトレード戦略を考えてみましょう!

※参考までに当記事で使用しているチャートは、MT4(メタトレーダー4)という無料チャートソフトで移動平均線の分析におすすめです。

記事:MT4とは?ダウンロード方法と使い方マニュアル

記事:MT4で移動平均線の設定方法・色分け・使い方を分かりやすく説明

移動平均線(グランビルの法則)を用いたエントリーポイント

では、3本の移動平均線を表示させ、グランビルの法則を使ったトレード戦略を立てていきましょう。

まず、レートは最初上昇トレンドでしたが、高値切上げに失敗すると、(1)でやや下向きになった短期EMAを下抜け、そして更に中期EMAも下抜けています。

ここがまず、グランビルの法則の「移動平均線が上向きから横ばいか下向きに変化し、レートがそれを下抜け」という売りのエントリーポイントとなります。その後、レートは一気に長期EMAまで下落しています。

その後、長期EMAで一旦反発し、短期EMAを上抜けましたが(x)、ここは下向きの移動平均線を上抜けていますので、買いで入ってはいけません。トレンドは下向きの勢いが強まっています。

移動平均線の実践的な使い方

では以下のチャートの場合はどうでしょうか?

今度も(1)でレートがやや下向きとなった短期EMA、中期EMAを下抜けしていますので、ここで売りエントリーのポイントです。

そして、その後、(2)で一旦戻りが入りましたが、短期・中期の移動平均線は下向きとなっており、これはグランビルの法則の「移動平均線が下向きの中、レートが近づき反落」に当てはまり、売りのエントリーポイントとなります。

同様に、(3)、(4)、(5)も同じ理屈で売りポイントなっており、実際にレートもその後下落になっています。

ここで更に注目したいのが、短期・中期・長期全ての移動平均線が下向きで揃っており、これはそれだけ強い下降トレンドが形成されていることを意味します。

移動平均線の実践的な使い方 その2

このように移動平均線のグランビルの法則を使うだけでも、勝率の高いトレードをすることが出来ます。

しかし、移動平均線で気を付けなければならないのは、ダマしが多いという事。レートが下向きの平均線を下抜けて売りだと思っても、すぐ反転することもよくあるのです。

そこで、更に精度を上げる方法が、移動平均線に合わせて、水平線やトレンドラインを組み合わせてトレードする方法があります。

水平線・トレンドラインとの組み合わせによるトレード

全てのテクニカル分析に言えることですが、単体で使うよりも、複数のテクニカル分析をコンボで使う方が、トレードの勝率は上がります。

以下のチャートでは、3本の移動平均線に、水平線やトレンドラインを組み合わせてトレード戦略を考えてみたいと思います。

まず、レートは下降トレンドを形成していましたが、その後、トリプルボトムを形成すると、ネックラインを上抜けて上昇しています。

ここで、25EMAの上抜け時点では、ネックラインが抵抗線として機能するためまだ上昇への確度は低いですが、その後、ネックラインを上抜けて中期EMAを上抜いた(1)のポイントが、最初の買いエントリーポイントなります。やや上向きの中期EMAに加えて、反転のシグナルであるトリプルボトム形成後の上昇となり、かなり信頼度が高いポイントです。

移動平均線とその他テクニカルの複合技

その後、レートは上昇し、やや上向きとなった長期EMAを上抜けており(2)、ここも買いを検討してもいいポイントです。

そして、上昇が続いていたレートですが、最後に(3)で下向きとなった短期EMA、中期EMAを下抜けると一気に下落が加速しています。

ここでは、上昇トレンドラインのブレイクというポイントでもあり、単体のトレンドラインのブレイクで逆張りエントリーは危険ですが、短期・中期の移動平均線も下向きとっており、グランビルの法則から売りのポイントとなります。

 

参考記事:トレンドラインの圧倒的に稼げる引き方とFXトレード手法

参考記事:プロが教える水平線の正しい引き方とFXトレード手法

移動平均線の変化形:MACD(マックディー)

最後に移動平均線の締めくくりとして、MACDというオシレーター指標についても簡単に触れておきます。

MACD(マックディー)とは、Moving Average Convergence/Divergence Trading Methodの略で、一言で言うと、2本の移動平均線の乖離を示したMACDラインと、そのMACDラインの移動平均線を示したシグナルラインから構成されています。

下図のように、レートとMACDの逆行(ダイバージェンス)は、トレンドの勢いが弱まっていることを示し、重大なトレンド転換のシグナルとなるのです。

移動平均線をマスターしたら、是非こちらも使いこなせるようになりましょう。

 

MACDについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考下さい。

記事:MACD(マックディー)の見方と使い方を徹底解説

移動平均線のまとめ

移動平均線は過去一定期間の終値の平均値を線で結んだもので、「向き」「角度」「ローソク足との位置」に着目するのが基本的な使い方です。

移動平均線はSMA、EMA、WMAと、多くの種類が存在しており、一概にどれがいいとは言えません。そして、世界中のトレーダーが使用している移動平均線もみんなバラバラなのです。

移動平均線を使ったトレード手法には、「グランビルの法則」と「ゴールデンクロス・デッドクロス」の2つの方法があります。

全てのテクニカル分析に言えることですが、移動平均線に加えて、他のテクニカル分析を合わせて使用することでトレードの精度を上げることが出来ます。

移動平均線と合わせて学習した方がいいテクニカル分析は、トレンドラインや水平線などのライン分析です。

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