今回の記事でわかること

  • トレンドラインとは?
  • トレンドラインの正しい引き方
  • トレンドラインを使ったトレード手法(FX・株・仮想通貨)

今回は、FXや株、仮想通貨など全てのチャート分析で使われるトレンドラインについて説明していきます。

誰もが使えるシンプルなトレンドラインも、ただ安値と安値、高値と高値を単純に結んだだけでは、実践のトレードでほとんど役に立たないただの飾りとなってしまう可能性があります。

今回の記事では、トレンドラインの基本的な特徴・役割から、正しい引き方について解説していきます。

そして、メガバンクで為替ディーラーを経験した現役プロの目線から、トレンドラインを使った手法についても解説します。

この記事を何度も読み返すことで、トレンドラインを完全にマスターすることができますよ!

この記事の執筆者
suzuki_gazou

鈴木 拓也
株式会社フィンテラス代表取締役

  • 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
  • 東京工業大学大学院修士課程修了
  • 三井住友銀行の本店・香港支店にて為替ディーラー業務に従事し、投資家/経営者に転身
  • FXや米株インデックス、高配当株などで運用する億投資家
  • 著書「7日でマスター FXがおもしろいくらいわかる本」「世界一やさしい FXチャートの教科書 1年生」など

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動画で学ぶトレンドラインの使い方

トレンドラインの使い方や引き方について、動画(約24分)で説明しています。

これをご覧になれば、トレンドラインの基礎はほぼマスターできるでしょう。

 

鈴木拓也鈴木拓也

動画をご覧になった方も、記事で復習すれば、効率的に学習できますよ。

トレンドラインとは?

まず、為替相場の動きは、上昇するか、下降するか、それとも横ばい(レンジ)かの3つしかなく、トレーダーは上昇している時は“買い”、下落している時は“売り”、横ばいの時は“様子見”の選択肢しかありません。

上昇トレンド下降トレンド横ばい
相場環境 FXトレンド FXトレンド FXトレンド
取引買い売り様子見

では、このトレンドの判断、つまり相場の状況を正確に認識するためにはどうすればいいのでしょうか?

ただチャートを眺めても、今が上昇なのか、下降なのか、何らかの基準が無ければ決めることは出来ませんね。

そこで今がどういう状況なのかを判断するテクニカル分析の一つとして、トレンドラインが登場します。

 

関連記事:FXで稼ぐために必要な3つの基本動作|上昇・下降・レンジを見極めよう

トレンドラインの概要

トレンドラインは、チャート上に斜めに引くラインのことです。

トレンドラインは、安値と安値を結んだ斜め上に引く「上昇トレンドライン」と、高値と高値を結んだ斜め下に引く「下降トレンドライン」の2種類に分けられます。

トレンドラインを引くことで、相場の方向性(向き)に加えて、トレンドの強弱や、今後どのような展開になるのかを予想することができます。

上昇トレンドライン下降トレンドライン
上昇トレンドライン 下降トレンドライン

トレンドラインの役割

では、ここからはトレンドラインの役割について掘り下げていきましょう。

何もない真っ白なチャートを見てトレードしろと言われたら、どんな凄腕トレーダーでも自信を持ってトレードすることはできません。

しかし、トレンドラインを引くことによって、複雑な値動きをしている為替レートの動きも、以下の点が明確になってきます。

トレンドラインで分かる点

  • トレンド(方向性)
  • トレンドの強弱
  • トレンドの持続性
  • エントリーポイント

では一つずつ詳しく見ていきましょう。

トレンド(方向性)

トレンドラインを引いた向きによって、今現在為替レートがどちらの方向に推移しているのかを判断することができます。

例えば、斜め上向きなら上昇トレンド、斜め下向きなら下降トレンドです。

もし、トレンドラインが引けなければ、目立ったトレンド無し、と判断出来ます。これは簡単ですね。

トレンドの強弱

続いて、トレンドラインの傾き(角度)がそのトレンドの強弱を表します。

例えば、上昇トレンドラインの傾きが急な場合(下図の左側)、それは上昇速度が速すぎることを意味し、そのトレンドラインを保持しきれず、すぐにブレイクする可能性が高いです。

一方、上昇トレンドラインの傾きが緩やかな場合(下図の右側)、上昇の勢いが弱いことを意味し、こちらもすぐにブレイクする可能性が高いと言えます。

理想的なトレンドラインは、傾きが45度(下図の真ん中)であり、多くの投資家がこれを主要なトレンドラインと考えます。

トレンドの強弱

鈴木拓也鈴木拓也

チャートのスケールによって角度は変わるので、45度はあくまで目安と考えましょう。

トレンドの持続性

単純に安値と安値、高値と高値を結んで引いたトレンドラインも、以下の特徴によりトレンドの持続性が異なります。

持続性を図る指標

  • 何回反転しているか
  • どの程度の期間続いているか
① 何回反転しているか

トレンドラインは始点と2点目を結んで初めて引けますが、その後、何回そのライン上で反転したかにより、トレンドラインの重要性が変わってきます。

例えば、下図のように5回ライン上で反転したトレンドラインであれば、かなり重要なトレンドラインと言えます。

トレンドライン上での反転

何度も為替レートがそのライン上で反転すると、多くのトレーダーがそのトレンドラインの存在に気づき、より強く意識され始めます。

そして、為替レートがまたそのライン上に近づくと、多くのトレーダーの思惑が重なり合い、売買が膨らみます。

上昇トレンドラインであれば、またそこで反発するだろうと買いを仕掛ける人もいれば、逆にブレイクさせようと売りを入れる人もいます。

そして、一度何度も反転しているトレンドラインが破られると、それは重要なトレンド転換のシグナルとなることがあるのです。

逆に、1回しか反転していないトレンドラインは、世界中のトレーダーにあまり意識されていないと言え、何度も反転しているトレンドラインと比べて重要度は下がります。

② どの程度の期間続いているか

続いて、そのトレンドラインがどの程度の期間続いているのかも、そのトレンドラインの重要度を決める上で大切です。

チャートには月足、週足、日足、4時間足、60分足、30分足、15分足など、さまざまな時間軸の足がありますが、上位足(時間足が長いもの)のトレンドラインほど、それは主要トレンドを示していることになり、期待される持続性も大きくなります。

例えば、下図のように4時間足のチャートで上昇トレンドライン、5分足のチャートで下降トレンドラインが引けたとしましょう。

この場合、主要トレンドは時間軸が長い4時間足の上昇トレンドであり、5分足の下降トレンドだけを見て、「よし!下降トレンドだから売りエントリーしよう!」と早とちりしてしまえば、主要な上昇トレンドの波にすぐに飲み込まれてしまいます。

また、長い時間足のトレンドラインが破られた時は、主要トレンドの転換を示すものであり、例えば週足や日足などのトレンドラインがブレイクされたという場合には、今後の展開により注意する必要があるのです。

4時間足と5分足のトレンドライン

エントリーポイント

エントリーポイントは、上昇トレンドの場合(下図の左)、始点と1点目を結んだ線上で、2点目、3点目の反発箇所が買いのポイントです。

その後、トレンドラインをブレイクしたら買いのポジション(建玉)を決済します。

下降トレンドの場合はこの逆で、始点と1点目を結んだ線上で、2点目、3点目の反落をとらえて売りでエントリーし、トレンドラインをブレイクしたら売りのポジションを決済します。

トレンドラインのエントリーポイント

 

トレンドラインを自動でチャートに引く方法は以下をご覧ください。

記事:トレンドラインを自動でMT4/MT5チャートに引く方法

トレンドラインが有効な理由

では、トレンドラインの実践的な引き方に入る前に、なぜトレンドラインが有効なのかを理解しましょう。

これを知らないと大きな落とし穴にはまってしまうので注意してください。

トレンドラインに限った話ではないですが、テクニカル分析が実際のチャート上で機能する理由としては、世界中の投資家が同じものを同時に見ていることが挙げられます。

そして、トレンドラインは個人投資家に限らず、金融機関の為替ディーラーや機関投資家、ヘッジファンドまで、世界中の多くのトレーダーに使われるので、例えばトレンドライン上で売買が膨らみ為替レートが反転したり、逆にトレンドラインがブレイクしたら一気に値動きが加速したりすることが起きるのです。

つまり、トレンドラインが機能する理由は世界中の投資家が同じものを見ているためで、逆に言えば、みんなと違うラインを引いてしまったらそれはチャート上のただの飾りを見ていることになるのです。

トレンドラインの正しい引き方

それでは、ここからはトレンドラインの正しい引き方について説明をしていきます。

ただ安値同士、高値同士で線を引くだけのテクニカル分析でも、実はかなり奥が深いという事が分かると思います。

ヒゲを考慮するか無視するか

まず多くの初心者がトレンドラインを引く時に迷う問題として、ローソク足のヒゲを含むべきかどうかの問題があります。

結論から申し上げると、トレンドラインを引く際には「ヒゲ」も考慮するべきです。

と言うのも、上記で説明した通り、トレンドラインが有効な理由は世界中の投資家が同じラインを引くからこそ有効に機能するんでしたよね。ここで、チャートにはローソク足チャートの他、バーチャートやラインチャートなどの他の種類もあり、日本以外の投資家はそれらのチャートを使用しているケースが多いです。

ヒゲは、その時の最高値と最安値を示していますので、ヒゲを無視すると、他のトレーダーと違うラインを引いてしまうことになるのです。

下図は、ヒゲを考慮した場合のトレンドライン(青色)と無視した場合のトレンドライン(ピンク色)ですが、ヒゲを考慮した青色の下降トレンドラインは有効に機能しているのが確認できますね。

トレンドラインではヒゲも考慮すべき

当記事で使用しているチャートは、FX口座開設で無料で使用できるチャートソフト:MT4(メタトレーダー4)になります。初心者でも簡単に高度なテクニカル分析ができるのでおススメです。

直近高値・直近安値の更新

次に、多くの方が知らないトレンドラインの引き方は、始点からの直近高値もしくは直近安値の更新をして、初めてトレンドラインは引けるという事です。

具体的に説明しますと、下図のように上昇トレンドラインを始点と1点目を結んで引いた場合、左側のチャートでは、まだ為替レートが始点の後に付けた直近高値を更新していないのでトレンドラインを引いてはいけません。

なぜかというと、ダウ理論(トレンドは、高値・安値の切上げで上昇トレンド、高値・安値の切り下げで下降トレンドを示す、という理論)から、左側の図ではまだ上昇トレンドが形成されていないからです。

一方、右側の図では、始点の後に付けた直近高値をレートが上抜け、高値と安値の切上げが確定していますので、これはダウ理論から見ても上昇トレンドです。

こうなってはじめて、上昇トレンドラインを引き、その後の有効性を見ていくことが出来るのです。

 

ダウ理論について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考下さい。

関連記事:【ダウ理論の全知識】FXトレードでの使い方や手法を動画で解説

ダウ理論と組み合わせた実践的なトレンドラインの解説は以下の動画もご覧ください。

トレンドラインの性質

次に、トレンドラインの正しい引き方が理解できたところで、トレンドラインの性質について深掘りをしていきましょう。

トレンドラインの役割逆転

トレンドラインには一度ブレイクすると役割が逆転する性質があります。

上昇トレンドラインであれば、ブレイク後は抵抗線としてレートの上昇を妨げる壁として機能します(下図)。

一方、下降トレンドラインであれば、ブレイク後は支持線としてレートの下落を支える台として機能します。

トレンドラインの役割逆転

トレンドラインの修正とトレンドの転換

永遠に続くトレンドというものはありません。トレンドは次第に勢いが弱まり、そしていつかはトレンド転換が起きます。

下図のように、最初は急な角度の上昇トレンドライン(①)が引けても、それをブレイクし上昇トレンドの角度が変われば新たなトレンドライン(②)が引けます。

そして、トレンドライン③・④と、だんだん緩やかな角度となっていき、最後、かなり緩やかなトレンドライン④を割り込むと、もう上昇トレンドとは呼べず、横ばいか下降トレンドの局面になります。

このように、トレンドラインは相場の勢いに応じて、新たなトレンドラインを引き直す必要があります。

逆に、緩やかなトレンドラインから、上昇の勢いが強まった場合には、より急な角度のトレンドラインを引き直します。

トレンドラインの修正

複数のトレンドラインを引く

基本的に、トレンドラインをチャート上に1本引いただけでは、まだ戦うための武器としては不安がありますね。

後ほど詳しく説明しますが、トレンドラインは、上昇トレンド・下降トレンドを合わせた複数のラインと、それに加えて水平線(レジスタンスライン、サポートライン)を組み合わせて使うことで一気に威力が増します。

ちなみに、レジスタンスラインとは高値と高値、サポートラインは安値と安値を水平に結んだ線のことです。

下図のチャートをご覧頂くと、まず1時間足のチャートの上下に、日足レベルの下降トレンドラインと上昇トレンドラインが引けています。

更にその中に、短期的な下降トレンドラインと上昇トレンドラインが引けているのが分かりますね。

複数のトレンドラインを引いて分析

ここで、トレンドラインの応用ですが、2本の平行なトレンドラインを「チャネルライン」と呼びます。

チャネルラインの存在が確認出来ると、チャネルの中で短期的な売買を行ったり、利益確定の目安に使ったりと、かなりパターンが増えますので、是非覚えておいてください。

多くの人が勘違いするトレンドラインの使い方

ここまでの説明でトレンドラインの全体像がつかめたと思います。しかし、トレンドラインはテクニカル分析という武器の一つ。

どんな高性能な武器を身に付けても、使い方を知らなければ全然効果を発揮することは出来ません。

ここからは、多くの人が勘違いをしているトレンドラインの使い方の誤りについて補足をしていきます。

トレンドラインのブレイクでエントリーをしてはいけない

トレンドラインのブレイクを確認して、「よし今がチャンスだ!」とエントリーをしてしまう人がいますが、これは大変危険なトレードです。

トレンドラインのブレイクは、あくまで従来のトレンドが「弱まっているサイン」であって、トレンドが変わる転換のシグナルではないのです。

例えば、下図であれば、トレンドラインを下抜けした後、またすぐに下抜けする前の直近高値を更新しています。

トレンドラインのブレイクでエントリーしてはいけない

チャートの形は一様ではない

そして、最後に最も重要なトレンドラインの使い方の間違いですが、自分が引いた線が完全に正しいと思ってしまうことです。

まず、トレンドラインは世界中のトレーダーが同じものを見ているから有効である、という説明を最初にしましたが、世界中のトレーダーが使っているチャートシステムは、人それぞれ異なります。

更に詳しく説明すると、莫大な金額を動かす金融機関のプロやヘッジファンドが使用しているのはBloombergやロイターなどの情報端末ですが、それらのチャートでは為替レートのMidレート(BidとAskの平均値、※厳密には約定レート)で値動きが表示されます。

しかし、例えば日本の個人投資家が使っているチャートはFX会社のチャートシステムだったり、MT4だったりとバラバラで、特にヒゲの位置はそれぞれのチャートシステムによって変わってくるのです。

なので、自分が引いた線から、多少の幅(数pips)の誤差はあると最初から考えておけば、トレンドラインのブレイクがただのダマしなのか、本当のブレイクなのかを見極めることができます。

トレンドラインの実践での使い方

それでは、最後に実際のチャートを用いて、トレンドラインを使用したトレード戦略を考えていきましょう。

線を引くだけでも、真っ白なチャートがかなり多角的に見えてくると思います。

複数のトレンドラインを組み合わせてトレード

トレンドラインを使ったトレード戦略の基本は、複数のトレンドライン(上向き、下向き、異なる角度)、そして更に水平線(サポートライン、レジスタンスライン)を組み合わせるコンボ技です。

以下、実際のチャートを使ったトレードの一例ですが、まず、起点を基準に上昇トレンドライン(上昇TL①)が引けます。

その後、レートは上昇TL①を下に割り込みましたが底堅い動きが続き、下降TL①を上抜けすると、上昇TL①を下割れする前の高値(水平線①の起点)を更新しています。

一つ目のエントリーポイントとしては、上昇TL②を中心に、下降TL①を抜けた瞬間をとらえる方法です(a)。

そして、トレンドラインと合わせて使用したいのが水平線です。

水平線①は上昇TL①割れ前の最高値ですが、ここは水平線の機能逆転(抵抗線が支持線へ)のポイントです。これにより、水平線①と上昇TL②という二重の下支えが働きますので、その反転を確認し、(b)も勝率の高いエントリーポイントとなります。

そして、最後は、少し形は悪いですが、下降TL②の上抜けポイントである、(c)です。

このように、トレンドラインを1本だけ引くのではなく、複数のトレンドラインや水平線を組み合わせることにより、一気にトレードの勝率を向上させることが出来るのです。

トレンドラインの実践的な使い方

※上昇TL②にて、直近高値を更新する前にエントリーポイントとしている問題に関して。上昇TL②は上昇TL①の「トレンドラインの修正」のラインとなり、直近高値の更新のルールを適用していません。

 

トレンドラインや水平線を使った『ライントレード』の方法は、以下の記事もご覧ください。

記事:ライントレードの実践手法!FX・株・バイナリーに適用

 

さらにトレンドラインについて詳しく知りたい方は、口座開設の特典でプレゼント中の『ラインの王道を参考下さい。FXの勝率が飛躍的にアップすることでしょう。

トレンドラインの引き方まとめ

以上、トレンドラインの基本的な使い方でした。一見シンプルで簡単なトレンドラインですが、かなり奥が深いことをご理解頂けたと思います。

実は、トレンドラインにはこれ以外にも、まだまだもっと深い使い方があるのです。

最初慣れないうちは、この引き方であっているのかな、と色々迷われるかもしれませんが、まずは自分で引いてみることが大切です。

そして、その後、為替相場がどう動いたのかを検証し、引き方に問題があれば修正するようにすればいいのです。

是非トレンドラインの使い方を身につけ、トレードのスキルを磨いていってください。



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