今回の記事でわかること

  • ダウ理論の6つの基本原則について
  • ダウ理論によるトレンド判断方法
  • ダウ理論を使ったトレード手法

今回の記事では、ダウ理論についてプロが分かりやすく解説をしていきます。

ダウ理論は、全てのテクニカル分析の元祖とも呼ばれている重要な理論です。

古臭い古典的な理論と勘違いされがちですが、全てのテクニカル分析はダウ理論をベースに発展したものであり、ダウ理論を無視してテクニカル分析でトレードすることは出来ません。

今回の記事では、ダウ理論を構成する「6つの基本原則」を解説し、その中でも特に重要な「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」について掘り下げて説明します。

そして、最後にダウ理論を使ったFXのトレード手法を解説していきます。

この記事をじっくりと読むことで、ダウ理論の意味を理解し、トレードで使いこなせるようになるでしょう。

この記事の監修者
suzuki_gazou

鈴木 拓也

  • 公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
  • 東京工業大学大学院修士課程修了
  • 三井住友銀行の本店・香港支店にて為替ディーラー業務に従事し、投資家/経営者に転身
  • FXや米株インデックス、高配当株などで運用する億投資家
  • 著書「7日でマスター FXがおもしろいくらいわかる本」「世界一やさしい FXチャートの教科書 1年生」など

プロフィールページ

 

ダウ理論とは

ダウ理論とは、NYダウ平均株価の考案者であるチャールズ・ダウ(1851~1902年)が提唱した、市場の値動きを評価するテクニカル分析の原点となる理論です。

全てのテクニカル分析はダウ理論をベースに発展しており、以下の「6つの基本原則」で構成されています。

ダウ理論の6つの基本原則

  • 価格(平均株価)は全ての事象を織り込む
  • トレンドは3つに分類される
  • 主要なトレンドは3つの段階から形成される
  • 価格は相互に確認される必要がある
  • トレンドは出来高でも確認される必要がある
  • トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する

ダウ理論のトレンド定義

ダウ理論の6原則について解説する前に、ダウ理論で定めるトレンドの定義を覚えましょう。

ダウ理論では、上昇トレンドは「高値と安値がそれぞれ切り上がり」、下降トレンドは「高値と安値がそれぞれ切り下がる」と定義されます。

ダウ理論のトレンド

  • 上昇トレンド:高値と安値がそれぞれ切り上がる
  • 下降トレンド:高値と安値がそれぞれ切り下がる

 

ダウ理論では「トレンド」という言葉が度々発生しますが、「なんとなく一直線に上昇しているから上昇トレンド(一直線に下落しているから下降トレンド)」というように曖昧に考えてはいけません。

価格は上げ下げを繰り返して上昇または下降していくものであり、高値と安値がそれぞれ切り上がるか・切り下がるかでトレンド判断を明確にしなければなりません。

ダウ理論の6原則

それではダウ理論の6つの原則について解説していきます。

※ダウ理論について動画でも解説しているので、文章で理解しにくければ、動画の方が参考になると思います。

価格(平均株価)は全ての事象を織り込む

最初の基本原則は、「価格(平均株価)は全ての事象を織り込む」です。

つまり、既に発表されている経済指標や金融政策、そして、政治的なイベント、自然発生的な出来事(地震などの災害)などは全て市場価格に反映されているという考え方ですね。

この理論を簡単に言うと、現時点で利用可能なファンダメンタルズの情報に意味はないというとになります。

ではどうやって将来の価格を予想すればいいのか?ですが、あらゆる情報が織り込まれているということは、上昇や下落の兆候もチャートに織り込まれていることです。

つまり、価格の動きのみに注目したテクニカル分析であれば、将来の価格も予想することが可能ということです。

分かりやすい例で言えば、三角保ち合いやヘッドアンドショルダーなどのチャートパターンがあります。

参考記事:反転パターン

 

ちなみに、少し難しい言葉で説明しますと、経済学には効率的市場仮説*という考え方があり、市場は全ての情報を織り込んでいて「効率的である」と言ったりします。

*効率市場仮説とは、現時点での株式市場には利用可能なすべての新たな情報が直ちに織り込まれており、超過リターン(投資家が取るリスクに見合うリターンを超すリターン)を得ることはできず、株価の予測は不可能であるという学説である。

(引用:野村証券

トレンドは3つに分類される

二つ目の基本原則は、「トレンドは3つに分類される」です。

ダウ理論では、1回のトレンドの長さが1年から数年継続する主要トレンド、3週間~3か月継続する二次的トレンド、そして3週間未満の小トレンドに分類されます。

3つのトレンド

  • ① 主要トレンド:通常1年~数年間
  • ② 二次的トレンド:通常3週間~3か月
  • ③ 小トレンド:3週間未満

そして、二次的トレンドは、主要トレンドの調整局面で発生。小トレンドは、二次的トレンドの調整局面で発生します。

図で示すと以下の通りです。

まず期間が一番長い主要トレンドがあって、これは高値と安値を切り上げているので上昇トレンドです。そして、主要トレンドの中にも一時的な調整局面(下落)があるわけですが、チャートには様々な時間軸があるので、より短い下位足で見ると、二次的トレンドは下降トレンドになっています。

また同じように、二次的トレンドの中にも一時的な調整局面(図では上昇)があって、ここを拡大すると小トレンドがあります。

上位足と下位足

実際のチャートで解説すると、15分足だけを見ると下降トレンドで売りを狙いたくなりますが、より上位の4時間足などを見ると上昇トレンドの一時的な下落であることが分かり、売りを狙うのは危険であると分かります。

このように、ダウ理論では見ているチャートの期間でトレンドは異なる事を指摘しており、1つの時間足だけを見るのではなくて、上位足と下位足の両方を分析して、それぞれのトレンドが揃った時にエントリーすることで勝率を高めることが出来ます。

チャートは何分足を見ればいいのか?

ここで上位足と下位足は何分足を見ればいいか?という疑問が生じるかと思いますが、これはどのトレードスタイルを採用するかによります。

例えば、数秒から数分でトレードをするスキャルピングであれば、日足や週足を分析しても意味はないので、スタイルに合った時間足を分析する必要があります。

4つのFXトレードスタイル
トレードスタイルトレード時間の目安上位足下位足
長期トレード数カ月以上月足
週足
日足
スイングトレード数日~数週間週足
日足
4時間足
1時間足
デイトレード数時間~1日日足
4時間足
1時間足
30分足
15分足
5分足
スキャルピング数秒~数分1時間足
30分足
5分足
1分足

記事:FXトレードスタイル4つの種類と初心者に合う手法の見つけ方

主要なトレンドは3つの段階から形成される

三つ目の基本原則は、「主要なトレンドは3つの段階から形成される」です。

ダウ理論では、買い手(売り手)の動向によって、上昇(下落)する過程には3つの段階があると説明しています。

① 先行期(第一段階)

市場価格が底値にある状態で、一部の先行型の積極的な投資家が買い(底値買い)を行い、価格が緩やかに上昇する時期です。

この段階では、現在も下降トレンドでここから更に下落するかもしれないというような時に、買い場だと判断して買いをしますので、普通のトレーダーが行うのは難しいです。

② 追随期(第二段階)

景気改善など、ファンダメンタルズの買い要素が確認されて、多数の投資家が参入し、価格が急伸する時期です。

この段階では、上手な一般のトレーダーも買いを入れ、上昇トレンドに乗っています。

③ 利食い期(第三段階)

トレンドの最終段階です。メディアの報道も増え、素人や始めたばかりの初心者の一般投資家も参入し価格は上昇しますが、この時期にプロの投資家(①の時期に買っていた人)は利食いを行います。

上図からも明らかなように、③の段階で買いに入った投資家は高値掴みとなり、その後のバブルが弾けたような急落により大きな損失を被ることになります。

このダウ理論が示す通り、①の段階でエントリー出来ればそれに越したことはありませんが、それは難しいので、テクニカル分析を用いて②の段階が起きそうなタイミングを捉えてエントリーを目指すことになります。

価格は相互に確認される必要がある

四つ目の基本原則は、「価格は相互に確認されなければならない」です。

株式市場では、例えば、工業平均株価と鉄道平均株価の二つのシグナルを持って、上昇トレンドとみなすという考え方です。

これをFXの世界に当てはめると、例えば、為替と金利(債券)のレートで「ドルが上昇している時は、米金利も一緒に上昇していなければならない」や、各通貨ペアで「ドルが相対的に買われている時は、ドル円は上昇、ユーロドルは下落」というような相関関係が見られることに置き換えることが出来ます。

また、為替レートの動きに加えて、「オシレーター系でも上昇もしくは下降を示すシグナルを確認せよ」との意味にもとらえることが出来るのです。

同じシグナル(例えばトレンドとオシレーターが買いサイン)だったら分かりやすいですが、もしシグナルが異なる場合(例えばトレンドが買いにもかかわらず、オシレーターは売り)であれば注意せよ、ということです。

トレンドは出来高でも確認されなければならない

五つ目の基本原則は、「トレンドは出来高でも確認されなければならない」です。

これは、上昇トレンドであれば出来高は価格が上昇するにつれて増加するが、価格が下落するようになったら出来高も減少する、という理論です。

出来高が明示されている株式市場においては分かりやすい理論ですが、世界中で取引されている為替においては出来高を正確に把握することは出来ません。

そこで、この理論をFXに応用させるためにはオシレーターによるテクニカル分析を使用する必要があります。

トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する

そして、ダウ理論の6つの基本原則の中で特に重要なのが、「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」です。

復習ですが、ダウ理論では上昇トレンドは「高値と安値がそれぞれ切り上がり」、下降トレンドは「高値と安値がそれぞれ切り下がる」と定義されます。

ここまでは大丈夫ですね。

そして、ダウ理論では、そのトレンドが『明確な転換シグナル』が発生しない限り続いているとみなします。

では、ここで言う『明確な転換シグナル』とは何でしょうか?

明確な転換シグナルは、上昇トレンドにおいて安値が切り下がる、下降トレンドにおいて高値が切り上がる場合を指します。

つまり、上昇トレンドにおいて高値が切り上がる一方で安値が切り上がらず切り下がった場合、上昇トレンドが崩壊しレンジ相場になったとみなせます。

同様に、下降トレンドにおいて安値が切り下がる一方で高値が切り下がらず切り上がった場合、下降トレンドが崩壊しレンジ相場になったとみなせます。

 

ダウ理論を実際のチャートに当てはめて分析していきましょう。

まず、下図のチャートでは、高値・安値がそれぞれ切り下がり下降トレンドが発生です。

その後、高値・安値がそれぞれ切り上がったので、下降トレンドから上昇トレンドへ転換しています。

 

また、書籍「クイズを解いて勝率アップ!FXチャート&資金管理 実践トレーニング」の中でも、ダウ理論の使い方を詳細に解説しています。

今だけ、FX会社とタイアップを実施しており、書籍を無料プレゼント中です!

ダウ理論の高値と安値の決め方

ここまでの記事を読んで、ダウ理論の「高値と安値ってどう決めればいいの?」と疑問に感じた方もいるかもしれません。

ダウ理論では高値と安値を切り上げ・切り下げでトレンドを判断しますが、その高値と安値の決め方が曖昧だと、一貫性を持ってトレンド判断ができません。

そこで登場するのが、スイングハイ・スイングローという考え方です。

スイングハイ・スイングロー

スイングハイ・スイングローは、以下のような仕組みです。

スイングハイ・スイングロー
  • スイングハイ:高値の左右にそれぞれ高値が低いローソク足がn本以上存在
  • スイングロー:安値の左右にそれぞれ安値が高いローソク足がn本以上存在

 

例えば、「n=5」と決めた時、下図左側では左右に高値を超えない低いローソク足が5本ずつ存在するので、スイングハイにより高値と認識できます。

一方、下図右側では、高値のあとに低いローソク足が3本しか存在せず、4本目のローソク足が高値を更新してしまっています。

よって、「高値の両側に高値より低いローソク足が5本」という条件を満たさず、スイングハイにより高値とはみなしません。

 

このスイングハイ・スイングローで高値と安値を決めれば、ダウ理論のトレンド判断も一貫性を持って行うことができます。

記事:スイングハイ・スイングローとは?ダウ理論で高値・安値の決め方

ダウ理論を使ったFXトレードへの応用

ここからはダウ理論を使った実際のトレード手法について説明をしてきます。

FXのチャートで使い方を説明しますが、株や仮想通貨でも同様な方法でトレードを行うことが出来ますよ。

ダウ理論によるエントリーポイント

どのようにこのダウ理論をFXトレードに適用させればいいのでしょうか?

最もシンプルな使い方は、「トレンドの転換を捉えたエントリー」です。

下図のように、高値3が高値2から切り下がった後、直近安値2の下抜けと同時に売りでエントリーです。

安値2を下抜けた時点で、高値と安値の切り下げが確定し、下降トレンドになったことになりますので、トレンド転換をとらえた勝率の高いトレード手法となります。

リスクとしては、その後レートがそのまま下がればいいのですが、安値を切り下げたと思ったらすぐに反転し、結局高値3、高値2を上抜けて、上昇トレンドは変わっていなかったという可能性もあります。

したがって、図のようにS/L(損切オーダー)は、損失を最小限に抑えたい慎重派は直近安値のすぐ上に、そして、比較的リスクを取れるトレーダーは高値3の上に置くのが定石となります。

ダウ理論を使ったトレード手法

  • ダウ理論でトレンドが切り替わったポイントでエントリー
  • エントリー後、逆にトレンドが発生したら損切り

 

ダウ理論と関連して、相場の今後の動きを予想する「エリオット波動」を学ぶと理解が深まりますよ。

記事:エリオット波動のFX手法を公開!波動の3大ルールと特徴

チャートを使った実践でのトレード

続いて、実際のチャートを使い、ダウ理論による実際のトレードを見ていきましょう。

(チャート:MT4(メタトレーダー4)

上図チャートをご覧頂くと、最初、レートは高値と安値をそれぞれ切り上げており、上昇トレンドが形成されています。

その後、安値3の後、高値2の上抜けを失敗して高値3を付けると、今度は安値3を下抜けて安値4を付けています。

この時点で、高値と安値の切り下げが確定するので、相場は下降トレンドとなりました。

しかし、実際のチャートは窓を開けて一気に安値4まで下落しましたので、ここでエントリーをすることは難しいです。また、水平線(赤い線)が意識され、その後すぐに高値4まで反発しています。

その後、高値4を付けた後、直近の安値4を下抜けしましたので、ここが一つのエントリーポイントとなります。

ダウ理論的にも、きれいに高値と安値が切り下がっており、勝率の高いエントリーポイントと言えるでしょう。

実際に、チャートもその後はずるずると下に下げております。

ちなみに、ダウ理論は水平線やトレンドラインのテクニカル分析と一緒に使うと効果的です。

参考記事:水平線(サポート・レジスタンス)の使い方

参考記事:トレンドラインの正しい引き方

ダウ理論のまとめ

以上、ダウ理論の6つの基本原則の説明と、基本的なトレードへの応用についてでした。

ダウ理論の6つの基本原則

  • 価格(平均株価)は全ての事象を織り込む
  • トレンドは3つに分類される
  • 主要なトレンドは3つの段階から形成される
  • 価格は相互に確認される必要がある
  • トレンドは出来高でも確認される必要がある
  • トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する

ダウ理論で特に重要なのは、6つ目の「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」です。

勝っているトレーダーの多くは、この理論をベースにしてトレード戦略を組み立てています。

数理計算や金融工学など超難解な理論を勉強しなくとも、FXはこれらの基本的なテクニカル分析をしっかりとマスターするだけでも十分勝つことが出来ます。

最後に、ダウ理論による相場環境認識の方法は【相場環境認識とは?FXの勝率を劇的に上げるコツを完全解説】をご覧ください。



もっと本格的にFXのことを学びたい人は、無料学習コンテンツのFXトレーディングカレッジをご利用下さい。


FXのテクニカル分析を学びたい人は、為替チャートにラインを引くだけで予想するテクニカル分析の学習教材「ラインの王道」をご利用下さい。
当サイト経由で、「FXブロードネット」「FXTF」「セントラル短資FX」「DMM FX」の4つのうち、いずれかの口座開設をされた方限定で、為替チャートにラインを引くだけで予想するFXテクニカル分析の学習教材「ラインの王道」のアクセス権を無料でプレゼント!